2016.6-2018.8 沖縄タイムス+プラス 連載
2018.9 ポリタス 掲載原稿 を加筆修正
2020.6 発行
樋口 耕太郎∥著
1965年生まれ。岩手県盛岡市出身。
’89年、筑波大学比較文化学類卒業、野村證券入社
’93年、米国野村證券、’97年 ニューヨーク大学経営学修士課程修了。
2001年、不動産トレーディング会社レーサムリサーチへ移籍し金融事業を統括
’04年、沖縄のサンマリーナホテルを取得し、愛を経営理念とする独特の手法で再生
’06年、事業再生を専業とするトリニティ設立、代表取締役社長。
’12年、沖縄大学人文学部国際コミュニケーション学科准教授。
内閣府・沖縄県主催「金融人財育成講座」講師、沖縄経済同友会常任幹事。
本書が初の著書
この本は
おわりに、第5章、第4章と、234ページを後ろから章ごとに読みました
結論を知りたかったからですが、やはり
結論はさておいて、後半はさておいて、第1章に戻るほど、なるほどと感じる部分はありました
加筆修正されている部分だったようでテンポよく私の知らないこともわずかながらあり
そういう見方で書かれた本なのだと知りました
田舎に生まれた若い人が世界のあちこちで生活した後に、縁があって移住した沖縄という小さな島の貧困の原因を書いてみた本 というのが私の感想です
「若い人」なので、「浅い」と感じる点は多々あります
共感することもそれはほんの一部だよと感じる点もあります
この本の感想を書く前に
私の経験した40年前の沖縄の話を最初に書いてみます
ビール券は40年前沖縄では普及してなかった
換金の時間が長いのが酒店には問題だった
私が勤めていた内地の会社で当時
景品にオリオンビール券を大量に購入した
最初の購入時、会う必要もなかったが、若い役員が出てきて会った
ビール券は景品としては不評で大量に残った
前島の小さな酒屋で、ビール券を使い、すぐ近くの知人宅に、ビール瓶で配達してもらうように依頼した
「あれはどこで買ったの?」
賞味期限切れのビールが大量に届いたと後から聞いた
小売り酒店の在庫管理のせいか、ビール券だったからかは知らない
今の時代は知らないが
ビール券を渡すときに、店主がとてもイヤそうだったのはおぼえている
オリオンビールから再度ビール券を大量に購入する予定は消え
少しの追加を依頼した時に、また出てきた前回会った若い役員に
この期限切れビールが配達された話とビール券の関連を聞いた
苦虫をかみつぶしたような顔をされていたのが印象的でした
あまり人がいない会社だなと、今、社員数を見てわかる
少ない社員でよく頑張ってこられた
私の思い出話はここまで
この本の第1章
「オリオン買収」は何を意味するのか
より、以下、引用
2019年1月、オリオンビールは遂に自力再建をあきらめて、野村ホールディングスと米投資ファンドのカーライル・グループへの身売りを決断した
その背景には、48年間継続した酒税の優遇措置が、そろそろ廃止されるのではないかという見通しがあると言われている
はじめに 沖縄は、見かけとはまったく違う社会である p11
第1章 「オリオン買収」は何を意味するのか p27
第2章 人間関係の経済 p73
第3章 沖縄は貧困に支えられている p109
第4章 自分を愛せないウチナーンチュ p131
第5章 キャンドルサービス p171
おわりに これからの沖縄の生きる道 p215
付記 p229
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図書館の予約件数が2ケタと格段に多い
先生の本だから、大学の授業の課題図書になってるのかなと思う
沖縄は内地の図書館とちがい、むやみやたらに同じ本を何冊も購入して一時的に多い予約に対応することがない
オリオンビールは地元企業ということで沖縄の優良な不動産を、活用できない地元から依頼されてかなり持っていた魅力ある企業と新聞で読んだことがある
沖縄から、オリオンビールの名前が消えることはないだろうと思っていたが、ゆくゆくは人の記憶から消えていくかもしれない
以下、引用、あちこちから抜粋
私たちの人生は、自分を愛する旅である
自分を愛するという、人生最大の課題をクリアしない限り、すべてのモノを手に入れても、苦しみの人生を歩むことになる
人が自分を愛するため、私たちが究極的にできることは、「その人の関心に関心を注ぐこと」
誰かの幸せに役に立つことができたと感じた瞬間、人は、自分に価値があると思える
自分とはまったく利害のない人の役に立つことができたと実感して夜眠りにつくことは、私に生きる意味を与えてくれた
・・・人の役に立つということは、他人のためだと思っていたのだが、私は思い違いをしていた
自分が人の役に立っているという実感は、他人を幸せにする以上に、自分を幸せにしてくれる
他人を癒す力は、自分を活かす力でもある
無償の愛で人に接することは、ありのままの自分に価値を与えてくれる
水曜から土曜日の毎晩、
午後8時半ころから午前2時前後まで、那覇市の繁華街・松山の「ある店」
カラオケもなく、女の子もいないので、基本的に会話だけで成り立っている場所
毎晩「キープ料金」を払って、水を飲んでいる
人の話に耳を傾けることの方が多い
毎日平均8名、年間で2000名の客が来店
もう16年間これを続けているので、延べ3万人の人たちと約2万時間、心の会話を続けてきた
店であることの良さは、私が出会う人を選べないことだ
私の普段の生活では、接点が生まれそうにない人たちの話に耳を傾けることができる
私がこれから本書で言語化を試みる沖縄の社会問題の原因は、この店での約2万時間の会話に加えて、学生たちから拾った数千のデータ、学生たちとの直接の会話、および16年間の私の沖縄での生活体験から導いた仮説をまとめたものである
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沖縄から出たことがない人に沖縄の問題はわからない(ちがいがわからない)
沖縄の問題は日本の問題でもある
日本からほぼ出たことがない私には日本の問題はわからない
沖縄の問題は著者と似て、多少わかる
著者とのちがいは
もう少し幅広く沖縄のことを知っている点と
必要ならいつでもわからないことを聞ける点
繁華街に飲みに来る限定された人やほんの1部の限定された学生の話でない
もっと普通の昔からの沖縄の人たちの話をもっと昔から聞いてきたこと
もういいかな