老人の壁  超 老人の壁 | 猿の残日録

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いろんなことがあるが、人生短いから前だけを見たほうがいいですよ。江原啓之 今宵の格言

壁シリーズで、「老人の壁」 一昨年の本 と その続編

 

「超 老人の壁」 去年の3月出版  養老孟司 南伸坊  対談形式の本




「老人の壁」は 一昨年出版  80になる養老さん 67の南さん



人間がなぜ考えているのかというと、脳が大きすぎるから、人間は考えているんじゃないかと思っているんです。
器官というのは、機能しないと退化しますからね。人間は脳みそを退化させないために考えているんですよ。
ここまで大きくなってしまうと必然性が無いので、しょうがないから中で回してるの。
もう僕は退化したっていいんですけど(笑)




今の人は「自分探し」って言うんですよ。本来の自分っていうのがすでにどこかにあって、
探し出せばいいっていう考えなんだけど、それ、たぶん違うんです。
自分というのは、探すものではなくて作るものなんです。

(中略)

僕は、「人を変えるのが教育でしょう」って言ってるんだけど、「そんな恐ろしいこと」と今の先生方は思ってるんです。
親に恨まれると思ってるんでしょう。
個性なんてみんな、生まれつき持ってるんだから、何も教える必要はないわけで、「上手に飾りつけてくださいね」って
教師は頼まれているわけですね。





健康な間だけ生きてりゃいいんですよ。長生きってなんですか?

(中略)

普通にしておくと自然に逝くと思うんですよ。
余計なことをするから、ややこしいことになってる。
脳死が典型です。
人工呼吸器を作ったから、脳死が起こり、脳死の患者さんがいるから、移植が成立する。
人工呼吸をやめたら、全部なくなりますよ。

(中略)

80とか90になっても「死にたくねえ」という考えになる。
全部、先延ばしにしてきたから、まだ先があるような気がするんでしょう。
老人があんなにお金を持ってるじゃないですか。
なんであんなに持ってるかって、考えてみると、使わないで取ってたんですよね。
使わないで取ってて、何かに使おうと思ってるんでしょう。
で、訊くと、「いざっていうときのため」って言う。
「いざ」って、あなた、死ぬだけだろうって(笑)

先々考えて人生をやっていくっていうのは、立派なようで、じつは根本のところに、大穴が開いてるんじゃないかと。
生きるっていうことは、考えて生きることなのかっていう話です。

(中略)

先々どう生きるかでなく、生きるとはどういうことなのか、考えてみるべきなんです。






痛みを苦痛とする脳の部位も、もうわかってるんですよ。
「前帯状回」っていう場所なんですけど、逆に言えばそこを麻酔してやると、痛みははっきりわかるんですけど、「そこが痛い」ってわかるのだから、別に苦痛じゃなくなるんです。
まさに麻酔なんかは、もっとはっきり脳のほうを麻痺させてるから、痛みはあるんだけど苦でない。






人間には長い間の経験があって、権力を分割するわけですよね。
お金の権力と政治の権力、名誉の権力っていうのがあって、みんな分けているでしょう。
天皇陛下と政治家がケンカしないのは、名誉と権力を上手に分けているからです。経済もそうでしょう。
世の中、大雑把に分ければ、その三つでやってるんじゃないでしょうか。
古くなればなるほど、それが一致するんです。
国王が権力を持っていて、しかも大金持ちっていう、これはまずいですよね。
フランス革命になっちゃいますから。

 




ここからが、「超 老人の壁」




アメリカ人なんか、話を単純にして、主体が絶えず選択を繰り返すことによって人生が成り立つと思っているから、
単純に選択を繰り返した結果、ホームレスになったら、「お前が悪いんだろう」っていう。
彼らの自己責任ってそういうことなんですよ。
人生の分かれ道で絶えず悪い方を選んできたあなたが悪い。
こうなってるんだ。そんな主体、日本人にあるかって(笑)

(中略)

なんで「藪の中」が、世界中で読まれたかっていったら、一神教の世界の逆をいってるから。
誰が本当のことを言ってるか、わからないまま物語が終わるでしょ。
でもクリスチャンが読むと、あれは終わりじゃなくて「本当のことを言ってるのは誰だ」
っていうストーリーを作るんでしょうけど。

文書にたとえれば、点と丸を打つ場所が、日本じゃ逆なんです。

(中略)

こういう違いも意識がやってることでしょ。その意識って、毎日無くなりません?
何度もなくなるでしょ。
でも、戻ってくるとき、意識は同じって思う能力を人間は持ってるんです。
途切れてるのに、同じ私だっていう理屈です。
それだけのことなの。
だから、本人はつながってるつもりなんだけど、実際には途切れとぎれ。
「主体」なんてものは、断続的にしか存在していません。


だから、「人生、点線だよ」って僕は言うんです。
意識はつながってる、つまり「前の自分と同じだ」っていう確信が付属しちゃってるから、気づかないだけなんですね。
目が覚めるたんびに別人になってたら、面倒くさくてしょうがないものね。
街でも学校でもそうでしょ?
何年か経ったら中身がみんな入れ替わってるんだから。
同じ私なんていうのは、「頭の中」にしかないんですよ。





現代人のみんなが抱えている最大の問題の1つが、毎日、毎日、日々新たっていう、生きる感覚がね、どんどん消えていくことですね。
同じっていう世界を作ってきちゃったから、その感覚を逆に積極的に消してるな、と思うんだけど、
そういう意識がない。
ビルの中でずぅっと仕事をしてる人って、何をやってるんだい? と思うわけ。
ビルの中にいたらさ、明るさ、変わらないでしょう。外にいたらどんどん変わるんだ。
風が吹くでしょう、温度が変わるでしょう、それ、全部、ないじゃない。
徹底的に「違い」をなくしているんですよ。
そうでしょう?
感覚を全部、閉じてるんですよ。


(中略)


人生はそれぞれに違う。生きるというのは日々新しいものと出会うことだ。
だけど、そうは思えない。

そう思わせているのは、例えば、東京だったら小学校の校庭が全部、舗装されちゃっている。
土がない。硬さを同じみたいなものに、均一化してしまう。
子どもたちに、差異があるのはよくないって、暗黙に教えてね。
だから、きっと「かけっこは手をつないでゴールイン」になるんじゃないの。
同じにしないと気が済まない。同じほうが楽なんです。

意識が進んでいった方向ですね。
「同じにする」って人間しかできないっていうのが、僕の意見。
人間にしかできないんです。
 

 

 

 

台風12号が、明後日28日21時頃、東海地方に到着、西へ大阪、中国地方へ抜ける

 

名古屋の平均気温 と 那覇の最高気温が ほぼ同じ

ここまで内地が暑いのは記録的

 

那覇も暑いけれど、直射日光が痛いだけで、日射しを避ければなんとかなる

リビング  夜 29℃   54%  エアコン冷房 快適

私の部屋 夜 32.7℃ 57%  扇風機2台 強風で、体感温度だけ下げてる

  寝る時は、28℃冷房か除湿設定 8時間タイマー 扇風機2台 最弱風 ずっと

 

  風邪はウイルスでない限り、1日の温度変化ないので、ひかない