皆さんこんにちは。

理学療法士・鍼灸師の李成浩です。

 

このところ雨が続きますが、みなさんいかがお過ごしでしょうか。

 

台風も近付いていることもあり、気が気ではありませんね…

 

もうそろそろ天気も安定してほしいところですが、天の采配ですので何ともしようが有りませんね…

 

今回も肘周囲に起こる疾患についてお話をしようと思います。

 

さて、今回はどのような病気なのでしょうか。

 

それでは一緒にみていきましょう。

 

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以前変形性股関節症や膝関節症を取り上げたと思いますが、何も下肢だけに起こる病気ではありません。

 

脊椎や上肢にも起こります。

 

今回お話しするのは、変形性肘関節症(以下肘OA)です。

 

まずは肘関節についてみていきましょう。

 

肘関節を構成する骨は、①上腕骨②橈骨③尺骨の3つです。

右の上肢を正面から見た場合の骨の並びは以下の通りです

 

①上腕骨

上腕部

②橈骨

③尺骨

前腕部

 

よく聞くのが「え?肘から手首の間に骨が2本あるの?」という質問です。

 

そうです。

この橈骨と尺骨の2つがないと、手を内に回したり(回内)外に回したり(回外)する動きはできません。

 

肘関節は3つの関節から構成され、先ほどの3つの骨がそれぞれ関節を作ります。

①腕橈関節

②腕尺関節

上腕骨と橈骨、尺骨が

それぞれ関節を作る

③上橈尺関節

橈骨と尺骨が関節を作る

 

この3つの関節によって肘を曲げ伸ばしたり(屈曲・伸展)、前腕を回す(回内回外)運動が行われます。

 

この肘関節は、皆さんご存知の通りものを持ちあげたり、ドアノブを回したりとたくさんの動きをこなします。

 

そのため、関節の痛み、動作制限が起こると、日常生活に問題が生じます。

 

今回紹介する肘OAも同様に、日常生活障害が発生します。

 

では、疾患の概要をみていきましょう。

 

まず他のOAと同様に原因不明な場合もありますが、主に軟骨の退行性の変性が起きてしまい、骨棘形成(骨の先が棘のように変形)や骨硬化が伴います。

 

正常な肘関節

変形性肘関節症

OAになる前に骨折や関節炎など、関節面に変化をきたしたことがある人に、二次的に起こることがあるそうです。

 

軟骨変性はまず腕橈関節の内側に起きます。

本来腕橈関節の上腕骨と橈骨の軸はまっすぐなのですが、軟骨変性が起きることでお互いの軸がずれてしまいます。

 

この状態で前腕を外に回すと橈骨は外向きの力(外反ストレス)がかかりすぎてしまい、更なる変性がおきます。

これにより腕橈関節の機能に破綻が生じます。

 

また、橈骨の動きにつられて尺骨にも外反ストレスがかかりやすくなり、外力による加齢性の変化が促進されてしまい、肘関節全体の変形に繋がります。。

 

肘OAによって起こる痛みとして、関節の圧痛、運動時痛があり、痛みによる運動制限が起きてしまい、肘関節の屈曲動作の制限による整髪や洗顔、着衣動作などのADL障害に直結してしまいます。

 

また、変形が肘関節の内側にも起きてしまうと、以前紹介した肘部管症候群の原因にもなってしまいます。

 

肘OAの治療として、他の整形疾患と同様手術や保存療法が選択されます。

 

手術は変形の進行に応じて様々な方法が取られますが、ここでは省きます。

 

保存療法ではまず三角巾、シーネ・装具を用いた肘関節の安静、消炎鎮痛剤や関節内に注射をする薬物療法、温熱療法・レーザーなどを用いたり、筋力トレーニング・ストレッチングなどの理学療法があります。

 

鎮痛に対する注射や炎症を抑えるためにアイシングをしても痛みが引かない場合、ロッキング(骨棘や関節内に遊離体が入り込むことによって、関節が動かないこと)がある場合は手術が選択されることが有ります。

 

また、関節を動かさないことによる拘縮を予防するため、関節の可動域訓練を行いますが、可動域の目安として、食事の際にはしやスプーンを口へ運ぶのに肘の屈曲110°。回外は30°、洗顔動作では肘の屈曲20°、回外50°が必要とされているそうです。

 

普段の生活で肘を動かさないで動くことは困難であるので、肘を酷使するスポーツや仕事で肘を使わざるを得ない場合は、適度に休息をとり、氷などで冷やし炎症を抑えることで、再発や炎症の予防をするようにしましょう。

 

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いかがでしたでしょうか。

 

今回は肘関節の変形に関しておはなししました。

 

身体のどの部分でもいえますが、使いすぎてしまうと疲労の蓄積や炎症が起き、それでも酷使してしまうと取り返しのつかないことになってしまいます。

 

適度な休憩を取り、普段から予防に努めたいものですね。

 

それでは、また2週間後…