皆さんこんにちは。

理学療法士・鍼灸師の李成浩です。

 

最近は朝晩ととても寒くなり、布団の中から出にくくなってきました。

 

ただ、寝落ちすることが多くなって、なにもかぶらずに寝てしまい、寒くて目が覚めるということがしょっちゅうあります(汗)。

 

風邪をひかないように注意しないといけませんが、いつの間にか寝てしまってて、気付いたら何もかも付けたままということがよくあります(;一_一)

 

皆さんも、この時期は日中と朝晩の寒暖差が激しいので、身体にお気を付けください。

 

今回の疾患は前回の続きと言いますか、拮抗する動きをする筋肉の付着部のお話をしようかと思います。

 

さて、今回はどのような病気なのでしょうか。

 

それでは一緒にみていきましょう。

 

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今回取り上げるのは、上腕骨内側上顆炎です。

 

前回と何が違うのかと言いますと、下の画像をご覧ください。

上腕骨の末端には前回紹介した「外側上顆」と、反対側には「内側上顆」という部分が有ります。

 

今回はこの肘の内側に痛みを発症する、有痛性の関節疾患です。

 

では、なぜこの場所に炎症が起きてしまうのかを考えてみましょう。

 

発症する年代として30代後半から50代にかけて多く、発症する原因も使い過ぎや疲労の蓄積によるものと、外側上顆炎と似ています。

 

しかし、外側上顆炎より発症頻度が少なく、その理由としては内側上顆から起こる筋肉は、外側上顆から起こる筋肉より強いということが挙げられているそうです。

 

この上腕骨内側上顆には肘関節や手関節を曲げたり(肘・手関節屈曲)、手を内側へ回す(回内)動きを担う筋肉が付く場所です。

上腕骨内側上顆から起こる筋肉

①円回内筋

②橈側手根伸筋

③長掌筋

④尺側手根伸筋

⑤浅指屈筋

 

 

その動作によって肘の内側に痛みを訴えるとき、上腕骨内側上顆炎の疑いが発生します。

 

この上腕骨内側上顆炎の診断基準として、以下の三つが挙げられます。

①     抵抗性手関節掌屈運動で肘内側に疼痛が生じる

②     内側上顆の屈筋群起始部に最も強い圧痛がある

③     腕謄関節の障害など屈筋群起始部以外の障害によるものは除外する

とあります。

 

前回の診断基準と違う部分として、

①は手のひら側へ手関節を曲げる際に痛みが出る

②は痛む場所が内側上顆となっている

③は「…屈筋群起始部以外の…」

となっています。

 

 

炎症が起きている部位を特定し、どのような炎症であるかを鑑別するという意味では、外側上顆炎と同じことをみていると言えます。

 

検査は前回と同様ストレステストを行い、どこに痛みが起こるかを検査します。

 

テスト方法は次の2つです。

①     Wrist flexion test(リストフレクションテスト:手関節掌屈テスト)

②     Foresrm pronation test(フォーアーアームプロネーションテスト:前腕回内テスト)

①は被検者に手を手のひら側へ曲げ、②は被検者に前腕を内向き(手を内向きに回す動作)に動かしてもらいますが、検査者は反対向きに抵抗を掛けることで、内側上顆部に痛みが起こるかを調べるテストです。

 

上腕骨内側上顆炎の重症度と、日常生活やスポーツ復帰までのおおよその目安は以下の通りと言われています。

 

軽度

中等度

重度

握力(反対側と比較)

2/3以上

2/3以下

1/3以下

痛むタイミング

動いた後に痛む

前腕を捻じると痛む

握るだけで痛む

復帰まで

1~4週

1か月以上

2か月以上

 

鑑別が行われたら治療を行いますが、前回の外側上顆炎と同様に急性期は安静とアイシング、炎症がおさまり痛みが弱くなるに従いストレッチや筋力トレーニングを導入していきます。

 

痛みの強い急性期には注射による疼痛緩和が行われることもありますし、アームバンドによる圧迫など、前回と同様な治療の流れを取ります。

 

また上腕骨内側上顆炎にも俗称がありまして、こちらはフォアハンドテニス肘やゴルフ肘・野球肘とも呼ばれます。

 

テニスやゴルフではラケットやクラブでテイクバック(構え)からインパクトまでの間で、野球では投球動作のうちコッキング期からアクセラレーション期までの間に前腕屈筋群を過剰に使うため、これらスポーツで起こるということからつけられているようです。

(四角で覆った部分が、筋肉をたくさん使うと言われている部分です)

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いかがでしたでしょうか。

 

今回は肘の内側に起こる整形疾患でした。

 

プロ選手はいかにけがをせず長くプレーしていくかが命題になるはずですから、必要となる筋肉に対するトレーニングや、プレー後のフォローアップをしっかり行う事で怪我のしにくい体を作っていると思います。

 

どのような職種でもいえますが、事前準備(トレーニング)→仕事(プレー)→整理整頓(フォローアップ)と結びつければ、同じことをしているとも言えますね。

 

次回も肘についてお話ししたいと思います。

 

それでは、また2週間後…