皆さんこんにちは。
理学療法士・鍼灸師の李成浩です。
一週間のうちに二回更新は大変でしたが、何とか無事に生きてます(笑)
8月後半ですがまだまだ熱く辛い日々が続きます。
体調に気を付けて、仕事や学業を頑張りましょう!
今回の「整形疾患ブログ」ですが、今回も手に起こる疾患をとりあげます。
最後になぜ⑤~⑦を取り上げたか、関連付けたいと思います。
さて、今回はどのような病気なのでしょうか。
それでは一緒にみていきましょう。
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⑤、⑥と神経障害による手部に起こる疾患を取り上げましたが、今回も神経障害による疾患です。
⑤が正中神経、⑥が尺骨神経での障害に対し、今回は橈骨神経麻痺についてお話ししたいと思います。
この橈骨神経、元をたどると第5頸髄~第1胸髄神経から構成され、首~手の後ろ側を通りその走行途中の筋や皮膚の支配をしています。
この走行途中で損傷や圧迫を受ける事で起こるのが、橈骨神経麻痺です、
どの部分で多く損傷をうけるのかと言うと、上腕骨後面外側部にある「橈骨神経溝」と言う部分で損傷を受けやすいそうです。
橈骨神経の走行上という事もあり、腋下(脇)や前腕部での神経圧迫でも症状が出現します。
上腕部での麻痺の原因は、開放創や挫傷(ケガ)、上腕骨骨折や上腕骨顆上骨折などの骨折、圧迫などにより生じます。
また、松葉杖を使用している時、腋下(脇)部を長期間圧迫する事でも、橈骨神経の障害が起きる事があります。
前腕部の橈骨神経の枝である後骨間神経麻痺の原因は、ガングリオンなどの腫瘤・腫瘍、Monteggia骨折(尺骨の骨折と橈骨頭の脱臼)などの外傷、神経炎、運動のしすぎによる絞扼性の神経障害などで生じます。
橈骨神経麻痺には別名「Saturday night palsy」というものや「ハネムーン症候群」というものがあります。
Saturday night palsyとは土曜の夜の麻痺という意味です。
土曜の夜は休みの前日で、恋人などと一緒に寝る機会が増えるという意味で、これをさらに詳しくしますと、腕枕などで長い時間、橈骨神経を圧迫してしまうと次の日などに麻痺のような症状が現れるという意味から取られています。
またハネムーン症候群も内容的には同じようなもので、つまり簡単に言ってしまえば腕枕が原因であるということですね。
腕枕による神経の圧迫は今では多いのか少ないのかはわかりませんが、別名がつくほど多いようなので今でも原因としてはかなり高いものであるといえるでしょう。
さて、絞扼・圧迫箇所で高位・低位麻痺と分類されますが、障害部位によって症状が変化します。
高位麻痺 |
低位麻痺 |
手関節や指を伸ばすための ※伸筋群が麻痺 ※伸筋群:腕橈骨筋、長・短橈側手根伸筋、尺側手根伸筋 指・小指伸筋、示指伸筋 長・短母指伸筋、長母指外転筋 |
指を伸ばす伸筋群は麻痺するが、手首を伸ばす筋肉の麻痺は免れる 手関節を伸ばす力は弱く、伸ばす時に親指側へ偏移する |
変形 |
|
下垂手 |
下垂指 |
手関節から下に垂れ下がる |
指MP関節が屈曲変形しやすい |
治療には手術と保存療法が選ばれますが、神経断裂や麻痺の回復が不良な例では、障害されている手関節や指の機能の再建術が行われるようです。
特に回復のみられないものには、手関節屈筋腱を伸筋腱に移行する腱移行術などがあります。
橈骨神経麻痺に対するリハビリの基本方針は
1. 二次的損傷や合併症の予防
・知覚障害部皮膚の保護と熱傷、外傷を予防
・麻痺筋の過伸展の予防
・関節拘縮の予防
2. 筋の再教育と筋力の回復
3. 知覚の回復
4. 正常な手の機能の回復
とされています。
伸ばす筋の筋力低下だけでなく、曲げる筋力も低下したり短縮する事もあるそうで、筋力維持・増強運動や関節可動域運動、筋伸張運動が大切です。
下垂手や下垂指による関節拘縮の予防とADL制限の代償を目的に、コックアップスプリントやオッペンハイマー型装具が処方されます。
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さて、冒頭に今回までの3部に関連性を持たせると話しましたが、学校で教えてもらったごろ合わせがあったんです。
ブログの⑤が正中神経、⑥は尺骨神経、そして今回は橈骨神経と、最終的に指まで走行しているこの3つを
1. 神経名
2. 変形
3. 装具
あわせて一つの文章になるように作られていました。
どれだけ時間がたっても頭から離れないので、ここにも残しておこうと思いました(笑)。
わしゃーなー、コックの加藤まさるたい。
これだけ見てもよく分からないので、一つずつ分解します。
まずは色づけ
わしゃーなー、コックの加藤まさるたい。
わ |
しゃー |
なー |
鷲手 |
尺骨神経 |
ナックルベンダー |
コックの |
加 |
藤 |
コックアップスプリント |
下垂手 |
橈骨神経 |
ま |
さる |
たい |
正中神経 |
猿手 |
対立副子 |
というかんじで、3つの神経の各変形・装具のごろ合わせでした。
正中神経の「正」を「ま」と読むことや、最後の「たい」なんて博多弁の「~たい」と言う語尾みたいですし、よくこんな分かりやすい物を作ったなぁと、先人の知恵に感謝です(笑)。
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いかがでしたでしょうか。
3部作のような扱いにしてしまった⑤⑥⑦のブログでした。
手の疾患ですので、発症すると日常生活に支障が出てしまうので、注意したいところですね。
それでは、今度はまた2週間後…