次は中期・亜急性期のリハビリですが、この時期から徐々に変形や機能障害が進行し、生活に支障が出始める時期です。

 

装具や生活指導をこの時期から行い始め、運動療法も継続して行ないます。

 

運動はこれまでに行われているものはもちろん継続しますが、この時期は等尺性ではなく等張性収縮運動(isotonic contraction exerciseを選択します。

 

等尺性と違い、等張性収縮は関節を動かし筋肉の収縮を促します。

 

この時、重りやセラバンド(ゴムバンド)を使うと効果的に運動が行えますが、負荷をかける場所に気を付けないといけません。

 

例えば先程のように上腕二頭筋を等張性収縮運動で鍛えようとしますが、手首に重りを巻いてしまうと手首の関節(手関節)に過剰な負荷がかかってしまい、痛みや変形を増強してしまいます。

 

手首よりもう少し肘に近いところで巻けば、手首に負担が掛かりませんし、安全にトレーニングできます。

 

次に装具ですが、RAに対する装具療法の主な目的は、安静固定(炎症の増悪防止又は沈静化)、関節変形予防、関節の機能・支持性の補助であると言えます。

 

装具の中でもスプリントと呼ばれるものがありますが、装着が容易で軽量、強固な固定をしないため適度な固定性可動性を備え機能を妨害しません。

 

また軽量で小さいスプリントが開発されていますので、通気性や外観も良く、柔らかい素材の為装着感が良いとの事です。

 

手指の尺側側への変形・偏位に対しては手首から指にかけての装具がありますし、指の変形でしたらもっと小さい装具があります。

 

スワンネック変形を例にとりますが、3点支持スプリント(セーフティーピン)というものがありまして、両端2点は下方向へ、中央は上方向へ力がかかりますので、自然と本来の指の位置に矯正されるという事です。

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ではボタン穴変形に対してはどうでしょう。

 

簡単ですね。

反対の向きのスプリントを装着すればよいのです。

 

他にも装具はたくさんありますが、全部紹介するととんでもない量に…

 

 

他には生活時の動作指導が行われます。

 

各関節に負担を掛けないような生活で「関節保護の原則」を考慮した方法が取られます。

 

関節保護の原則

1.筋力と関節可動域の維持

2.変形肢位の回避

3.動作に有効な負荷に耐性ある関節の使用

4.解剖学的・機能的に安定した関節の使用

5.正しい動作パターンを守る

6.長時間の同一肢位保持は禁忌

7.直ちに中止できない活動の回避

8.疼痛への配慮

 

指先を使いすぎない、回す動作(ドアノブや蛇口)に注意、重い物を持つときは必ず両手など、片手で行わず両手で行ったり、体全体を上手く使うように動きます。

 

以下に上肢や指の関節保護を考慮した動作を掲載します。

 

普段の生活場面で必要な動作を助けてくれる自助具も下に掲載します。

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指先を上手く使えないので、大きな柄であったり持ち手をつけることで楽に操作できたり、リーチャー(マジックハンド)で遠くのものを取ったり、様々な道具で生活を補助できるようにしています。

 

 

最終的に機能障害や変形が重度な時期を晩期・慢性期と呼びますが、日常生活にも大きな支障が生じてきます。

 

この時期のリハビリは身体機能や生活機能の維持が主目的となる場合が多く、装具や生活指導は状況に応じて変更しながら行なわれます。

 

運動や装具などはこれまでのものを参考にしていきますが、今まで以上に関節の変形に注意しながら強いストレスを掛けずに行えるようにします。

 

変形を助長してしまっては、元も子もありませんからね。

 

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いかがでしたでしょうか。

 

今回もリウマチをとりあげましたが、治療や運動、日常生活に必要な動作の指導など様々な方法が症状の進行によって行われます。

 

これまで出来ていたものが出来なくなった…

手の変形を見られるのが怖く恥ずかしい…

身体が痛くて、外に出かけたくない…

・°・(ノД`)・°・

 

このような状況が続いてしまうと、更なる身体機能や精神状態の低下に繋がります。

 

これを改善するために私たち医療従事者がおりますので、気になったという方がおられましたら一度ご相談ください。

 

解決に向けて一緒に考えて行きたいと思っています。

 (^^)

 

それでは、また2週間後…