皆さんこんにちは。
理学療法士・鍼灸師の李成浩です。
そういえば、梅雨に入りましたよね?
梅雨前線はどこに行ったのやらというような晴天が続いていますが、ここ最近梅雨入りしたら雨が降らず、梅雨明け宣言がされると雨が降るというのを繰り返しているような気がします。
なかなか外出の予定がたてにくい時期ですね?
f^_^;
さて、今回の「整形疾患ブログ」ですが、今回は指を見ていきたいと思います。
生活に必要な様々な動きを行う指ですが、みなさん怪我したことがあると思います。
そのような場合、どのような不都合が起こるのでしょうか。
それでは一緒にみていきましょう。
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みなさん、「槌指」や「マレットフィンガー(mallet finger)」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
この整形疾患は、いわゆる「突き指」によって手指の一番先の関節(以下DIP関節)が、外力によって強制的に屈曲(曲げる)方向へ曲げられたときに起こる疾患です。
野球による突き指でよくみられるため、ベースボールフィンガー(baseball finger)とも呼ばれます。
突き指をするとどうなるかというと、まずDIP関節が曲げられ、末節骨(指の末端の骨)に付着する指の伸筋腱が伸ばされます。
普通に曲がる程度であればいいのですが、強く勢いよく曲げられてしまうと、その伸筋腱の断裂や、付着部の剥離骨折を生じます。
そのため、他人の力で伸ばすことは可能ですが、自力では伸ばすことができなくなります。
指を伸ばす方向の力が入れられないということは、指が力無くだらんと曲がるようになってしまいます。
さらに指を曲げる作用がある屈筋腱の作用で特徴的な屈曲位を呈します。
この時の指の形が「木槌」のように見えるということで、「槌指」と呼ばれるそうです。
槌指の分類としては、
1. 腱断裂型
2. 剥離骨折型
3. DIP関節脱臼骨折型
の3種類に分類されます
1と2は保存療法で十分治癒しますが、DIP関節を伸ばした状態でシーネもしくはスプリントという装具で6~8週間固定します
この固定期間中は常に装具を装着しなければならず、普段の生活に支障が発生するため、患者の理解と協力がなければ良好な治癒が望めません。
3のDIP関節脱臼骨折型では骨片が大きく、関節面積の1/3以上を占め、末節骨が手のひら側へ脱臼しているものは手術が適応となります。
ピンやキルシュナー鋼線というものを使用し、骨折部を整復した後に固定をしますが、指を曲げた状態で骨片のずれを修正し、DIP関節を伸ばした状態で関節を固定する方法です。
これは皮膚の上から直接内部に差し込むことから、清潔面に注意しなければなりません。
ピン刺入部を観察して、シャワーで洗い流すように清潔にします。
リハビリとしてはこれまでに紹介した固定や装具の徹底、固定期間中に受傷部より身体に近い部分の関節運動を行う事が重要です。
固定しまったく動かさないでいると、筋や腱の伸張性が低下しますし、何より関節の拘縮を起こさないようにしなければなりません。
また、癒合がしっかりしていない時期に強く筋収縮を行うと、骨折部が剥離したり偽関節*化する可能性が有るので注意しなければいけません。
(*偽関節:骨折部が完全にくっつかず、実際には関節ではない部分が関節のように動いてしまう状態)
そのため、初期はタッピング(指先で軽くたたくような動作)や指先を使うような活動を徐々に行います。
その後は、他動運動→自動介助運動→自動運動と段階的に負荷を強くしていきます。
(他動:セラピストに動かしてもらう、自動介助:自力+セラピストの介助運動、自動:自力での運動)
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いかがでしたでしょうか。
今回は指のお話でした
突き指はどの年代でも起こることですが、ひどいけがですとこのようなことが起こってしまうので、突き指と侮らないことですね…
次回も手関節付近についてお話ししたいと思います。
それでは、また2週間後…