皆さんこんにちは。
理学療法士・鍼灸師の李成浩です。
そろそろ梅雨時ですね?
しとしと、じめじめとあまり歓迎したくない季節ですが、この時期にしっかり雨が降らないと作物が上手く育ちませんし、水不足で節水なんてこともあります。
私たち人間にも水は不可欠なものですし、水不足にならない程度に降るくらいにしてほしいですね。
さて、「腰イタブログ」始めようと思いましたが、これからは様々な部位の整形疾患に関して、改めて見ていきたいと思います。
今回から上肢、つまり肩から手までの疾患を挙げていきます。
それでは一緒にみていきましょう。
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みなさん、「橈骨遠位端骨折」や「コーレス骨折」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
この骨折は手関節つまり手首の骨折で、転倒時に地面に手掌をついて身体を支えようとしたときに起きてしまう骨折です。
手首の骨折は他にもありますが(スミス骨折、バートン骨折など)、今回は「コーレス骨折」についてお話ししたいと思います。
骨折全体の中でも約10%を占めるほど多く、高齢女性に多くみられます。
特に橈骨遠位端は海綿骨が多く、骨粗鬆症の影響を強く受けることによると言います。
スポンジ状で内部に空洞を有する海綿骨は、骨粗鬆症によってさらにスカスカになってしまい、外力によって骨折しやすくなってしまうことがその理由と思われます。
骨折部位は橈骨の手首から約1~3㎝のところで、斜め上方に骨折線が入ります。
骨片は手背側、橈骨側、回外転位を取ると言います。
外観は側面から見るとフォーク状に変形し、手背側から見ると銃剣状に変形してみえます。
骨折しておりますので、骨折部位から先に腫脹(腫れ)や内出血、痛みが出現します。
治療法はまず保存療法を選択し、整復後にギプスでの固定が行われます。
骨折部が不安定であったり、重度の粉砕を伴い整復後に再転位の可能性がある場合、手術による鋼線固定やプレート固定が行われます。
気を付けないといけないのは、骨折後に起こり得る合併症です。
代表的なものを挙げていきますと、
1. 反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)
2. ズデック骨萎縮
3. 神経損傷
4. フォルクマン拘縮
5. 関節拘縮
等です。
特にRSDははっきりとした成因はわかっておりませんが、骨折や脱臼によって起こる血管運動機能不全と言われています。
激しい痛み、著しい腫脹、関節機能障害、皮膚色調異常を主症状として、特に痛みは灼熱痛と言われるほど強い痛みだそうです。
合併症は早期診断や早期の治療が重要です。
固定が除去された後、医師の診断や理学療法所見を基にリハビリが開始さされますが、固定中に行われる患部外トレーニングも重要となっています。
すなわち手関節を除いた肩、肘、手指の各関節に対して可動域訓練を実施した場合、未実施と比べて固定除去後の手関節可動域が良好で、手指拘縮が予防されたという報告もあります。
自主トレーニングも重要で、自己管理できるように促します。
ある報告では、個別リハビリと自主トレーニングとを比較しても、有意な差が認められなかったというものもあるそうです。
固定による不動や浮腫による末梢循環障害は、骨萎縮を促進することにもつながります。
浮腫や骨萎縮、拘縮予防のためにも、固定中の手指運動は必要不可欠と言えます。
受傷後に手関節の動作が正常までに回復するには、手術した場合で約3~6か月、保存療法で1年以上必要と言われています。
もしこの骨折をしてしまったとしたら、可能な限り動かせる部分を動かしていきましょう。
確かに動かすことによって痛みや骨折端の転位などの不安感があり、動かすことに消極的なってしまいがちですが、医師やリハビリスタッフとの相談、今後の生活を考え、回復期間の短縮を目指し、トレーニングを行えるようにしましょう。
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いかがでしたでしょうか。
今回から上肢の整形疾患についてお話ししていきますが、日常的によく使う手のことですから、この骨折をしてしまうと生活に支障をきたしてしまいます。
他の骨折でもいえることではありますが、それが利き手となると…
( ̄□ ̄;)
考えただけでも生活が大変そうですね…
(^▽^;)
次回も手関節付近についてお話ししたいと思います。
それでは、また2週間後…