皆さんこんにちは。

理学療法士・鍼灸師の李成浩です。

 

暖かい日が続き、やっと服装を春らしくすることができました。

 

しかし、突然の気温変化が有りますので、まだまだ油断ならない時期ですので、みなさまご注意を。

 

 

さて、今回も「腰イタブログ」始めていきましょう。

 

 

先週まで内科疾患に焦点をあてた「腰イタブログ⑨~⑬」でしたが、ここで一度振り返ってみましょう。

 

 

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⑨結核による「脊椎カリエス」を併発した場合の腰痛

「急性腎盂腎炎」による腰痛

「尿路結石」による腰痛

「胆石症」による腰痛

「大動脈解離」による腰痛

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それぞれ特徴のある疾患だったと思います。

 

⑨・⑩は菌性炎症による疼痛、⑪・⑫は血中成分の結晶化による疼痛、⑬は動脈硬化や高血圧による血管組織破壊による腰痛でした。

 

一番注意したいのは、体の痛みを感じてもどこに病変が有るのか、どこが悪いのかわからないところです。

 

腰が痛いからマッサージやお風呂に入って緩和しようと思ったら、症状が変わらず逆に悪化してしまうこともありますので、痛む部分だけ見るのではなく身体全体を見直してみるといいでしょう。

 

尿量の減少や頻回なトイレの回数、黄疸、移動する痛み、七転八倒する激しい痛みetc…

 

普段の自分の様子と違うことが起こっているというのは、身体が不調であるということをサインとして出しています。

 

悩まないで、一度受診したり周りに相談する事をおすすめします。

 

 

さて、前回最後に整形疾患より起こる各所の痛みに着目すると書きましたが、今回は腰痛に対するセルフケアについてのお話しに変更しようと思います。

 

現在様々なセルフケアが存在しますが、その中で体操がありますのでいくつか紹介したいと思います。

 

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体操と言ってもたくさんありますが、理学療法の分野においてよく耳にするのは

①Williams(ウィリアムス)の腰痛体操

②Mckenzie(マッケンジー)の腰痛体操

の二つです。

 

他にもKelly、Pheasant、Kendall & Jenkins、Caillietの腰痛体操と様々な方が提唱しています。

 

それぞれ基本となるのは腰部を伸展もしくは屈曲させることで腰椎の可動域や腰部筋の伸張増加、リラックスさせる事を目的としています。

 

詳しい内容を全て載せてしまうと膨大な量となりますので、今回はWilliams(ウィリアムス)の腰痛体操を紹介したいと思います。

 

 

①Williams(ウィリアムス)の腰痛体操におけるポイントとして、

●骨盤後傾運動

●腹筋筋力増強運動

●背部、腸腰筋、ハムストリングスのストレッチング

が挙げられます。

 

つまり腰椎前弯が問題となっているケースに対するものであると考えらえます。

 

体操の方法は6つあり、以下の通りです。

 

1.腹筋運動

オヘソを見るように頭部を少し浮かせる(反復or持続的保持)

息を止めず、上げる時に息を吐く。

 

2.ブリッジ

お尻を少し浮かせ、腹筋と殿筋を収縮させて骨盤を後傾させる運動。

 

3.膝抱

腰部脊柱起立筋や腰部多裂筋、殿筋群などのストレッチにより筋の伸張性や循環改善が腰痛緩和に寄与することもあります。

また、脊柱管狭窄症にフォーカスするのであれば、「椎間孔や椎間関節を拡大することで神経の圧迫を減少させる」ことも目的となります。

 

4.長座位体前屈

背筋と胸背筋膜およびハムストリングス(太もも裏)の伸張が目的となるらしいです。

ハムストリングスは「脊柱管狭窄症」による姿勢戦略として腰椎前彎(骨盤後傾)を防ぐために常に収縮し、筋繊維が短縮してしまう可能性のある筋の一つと言え、ハムストリングスの短縮に伴う二次的な機能障害を予防するためにも重要となります。

 

5.股関節屈筋ストレッチ

股関節屈筋群(腸腰筋など)のストレッチによる、股関節の伸展可動域の改善が目的です。

個の筋群は若年者であれば「腰椎前彎の強い人」、あるいは高齢者であれば「不良姿勢で股関節屈曲している人」で短縮を起こしやすいと考えられます。

股関節伸展の可動域が不十分な場合、腰椎伸展で股関節の動きを代償してしまうため、腰痛に繋がってしまう可能性もあるので、(腸腰筋の柔軟性も含めて)股関節の柔軟性は大切となります。

 

6.スクワット

腰仙部筋群のストレッチと大腿四頭筋の筋力増強が目的と言われています。

やはり下肢筋力強化は重要で、下肢症状を誘発しないよう工夫しながら強化することはとても重要です。

症状が誘発されないなら普通のスクワットでも大丈夫です。

 

 

と、ここまでWilliams(ウィリアムス)の腰痛体操を紹介してまいりましたが、すべての腰痛に必ずしも当てはまる体操ではないという点にご注意ください。

 

この体操は体幹の屈曲運動を中心として、腰椎の前弯角度の減少に主眼を置いたものです。

 

しかし、体幹を屈曲するということは脊柱を屈曲することとなり、椎間板内圧の上昇を招くことで痛みが強くなったり、ヘルニアの悪化や椎間孔(脊柱から神経が出る場所)の狭小によって神経症状が強く出ることがあるため、そのような症状が出た場合は体操を中止することをお勧めします。

 

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いかがでしたでしょうか。

 

今回は腰痛体操の紹介をしてみましたが、実はそこまでEBM(Evidence Based Medicine:科学的根拠に基づく医療)のグレードは高くないと言われています。

(高ければ高いほど有用)

 

ですが試してみて症状緩和に役立つのでしたら、使ってみるのも良いと思います。

 

次回はもう一つの体操であるMckenzie(マッケンジー)の腰痛体操を紹介いたします。

 

それでは、また2週間後…