皆さんこんにちは。
理学療法士・鍼灸師の李成浩です。
今年は雪が多いですね?
こちらでは外気は寒いのですが雪はあまり降らず業務に支障は出ていませんが、北国や鳥取の大雪を見ていると今年の気候は新年早々とんでもないものと感じてしまいます。
寒さに負けず、健康的に暮らしていきましょう♪
さて今回の「腰イタブログ」ですが、前回と同様内科疾患から起こる腰痛を見ていきたいと思います。
今回の疾患で起こる腰痛は、腰を軽くたたくだけでも痛みが出るようですよ…
どんな疾患なのでしょうか?
それでは、一緒に考えていきましょう
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尿路(尿の通る道)に基礎疾患のない急性単純性のこの疾患の多くは,20〜30歳代の若い女性に多く起こります。
感染経路は先行する膀胱炎から上行・逆行性(膀胱から内側へ逆行する)に感染することが多いです。
臨床症状は急性症状では、悪寒やふるえを伴った38℃以上の発熱と、患側腰部に疼痛があります。
膀胱炎を併発することが多く、頻尿や排尿痛などの膀胱を刺激する症状を伴い、腰背部の叩打痛が認められます。
時に悪心、嘔吐、腹痛など消化器症状を伴います。
血液検査では白血球増多、CRP陽性が認められます。(双方炎症症状が出ているときに血液検査で認められるもの)
尿検査では膿尿、血膿尿、軽度蛋白尿を認めます。
慢性疾患は急性疾患から移行する場合と最初から慢性に経過する場合とがあります。
多くは尿路に基礎疾患を持っていることや、糖尿病や悪性腫瘍などで免疫低下状態の患者に発症するタイプです。
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さて、今回のこの「疾患」はなんでしょうか。
前回は呼吸器疾患が脊柱に転移したものでしたが、今回は転移するではなく、ある臓器が炎症を起こしていることがわかると思います。
「患部の腰部に痛み」という所がポイントであると思います。
そう。
この病気は「腎炎」です。
さらに細かく言うと、「急性腎盂腎炎」という疾患です。
実際に身近な知り合いが発症した疾患で、特に頭に残っていたので今回紹介しようと思いました。
さて、詳しくみる前に腎臓について調べてみましょう。
人体の後方に存在するこの臓器は、およその位置として第11胸椎から第3腰椎の高さにありますが、左右で多少位置が違います。
なぜかというと、右の腎臓の前には肝臓が位置しており、約1.5㎝程下方にあります。
この臓器は細かい構造をしており、腎臓自体を構成する皮質や髄質、腎臓に出入りする血管やリンパ、ネフロンと呼ばれる腎小体と尿細管の集合体、そして今回紹介する疾患名にも入っている腎盂です。
もう少し細分化される部分はありますが、今回はここまでにしておきます。
機能を簡単に説明すると、①血液を濾し②その中から必要なものを再度取り込み③最終的に不要と判断されたものを尿として送り出す臓器です。
そして腎臓で作られた尿は尿管を通って膀胱へ貯められたあと、ある程度溜まったらその刺激が尿意として感じられ、尿道を通って外へ排出されます。
尿の通る道は…
腎臓(作成)→尿管→膀胱(貯留)→尿道→体外
という経路を取ります。
先の説明の中で先行する疾患に膀胱炎が多いと書きましたが、この膀胱炎の原因菌である大腸菌などが尿の通る道を遡っていくとどうなるでしょう。
そうです。
今度は腎臓で炎症が起きてしまいます。
腎臓から尿管へ移行する部分に腎盂という場所が有りますが、ここで炎症が起きることで
「腎盂腎炎(厳密には腎盂炎)」
を発症してしまいます。
この炎症が起きたときの痛みがちょうど腎臓の存在する部分である腰背部に現れるため、ほとんどの方は腰痛が起きたと考えると思います。
また、腎臓の感覚を脳へ伝える神経と、腰背部の感覚を伝える神経がほぼ同レベルの位置の脊髄から伝わるため、腰痛と勘違いを起こしてしまいます。
ここで気を付けたいのは
・どんな姿勢でも楽にならないなど、安静にしていても痛む。
・症状がだんだんひどくなっている。
・温めても症状がよくならない。
・温めるとむしろ痛みがひどくなる。 など…
という点が腰痛症と違う所でしょうか。
炎症は「発赤(赤くなる)」「腫脹(腫れ上がる)」「熱感」「疼痛」という四徴候が有りますが、その際に発痛物質(サイトカインなど)を放出するため、炎症の起きている部分に痛みを感じます。
この炎症が起きている部分を温めてしまうと、さらに炎症症状を強めてしまいますので注意しましょう。
これらのことから腎盂腎炎による腰痛は、
①大腸菌など細菌の上行性感染から腎盂の炎症による疼痛
②腎臓と腰背部を司る神経はほぼ同じ場所を通るため、腰痛として感じてしまう
③普通の腰痛と違い温めても変化なく、むしろ悪化することがある
ということが考えられます。
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いかがでしたでしょうか。
かなり駆け足で説明してしまいましたので、頭の上にハテナが浮かんでいるかもしれません。
腎臓の位置する場所もそうですが、感覚神経が入る脊髄のレベルが同じというだけで、内臓の痛みを腰の痛みと感じてしまうなんて、なかなか不便ですね?
でも、そうやってでも痛みを発信しないと、内臓の機能低下や障害にヒトは気づくことが難しいのです。
皆さんもすべての痛みを不快に思うのではなく、自分に向かって「身体がどこかおかしいよ」というサインを出してくれているということを覚えておくと、痛みも不快ではなくなるのかな?
次回も疾患から起こる腰痛をとりあげますが、結構激痛みたいですよ…
それでは、また2週間後…