皆さんこんにちは。

理学療法士・鍼灸師の李成浩です。

 

新年あけてもう一ヶ月が経とうとしていますが、いかがお過ごしでしょうか?

 

今年は雪が多く、雪国では雪かき中の事故が多く、身体を壊したり中には残念ながら亡くなられた方もいらっしゃるようで…

街中に暮らしているとはいえ、いつどんなことになるとも限らないので、みなさん気を付けましょう。

 

さて今回の「腰イタブログ」ですが、いつもは姿勢の変化や整形疾患によって起こる腰痛をピックアップしましたが、それ以外にもまさかこんな病気からでもこんな症状が出てくるのか!∑(゚Д゚)

というものをお届けしたいと思っております。

 

一度は聞いたこともあるでしょうし、最近増加傾向にあるあの病気から起こる腰痛です。

(^▽^;)

 

それでは、一緒に考えていきましょう

 

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まずはこの病気について知りましょう。

 

この病気はかつて日本人の死因の第1位(!)でしたが、医療の進歩とともに死亡率が徐々に減少しました。

昔の病気というイメージがありますが、実は平成26年の情報では、年間1万9千人以上の結核患者が登録されています。

 

発病しても、初期症状が他の病気に似ているため、早期発見が難しい病気です。

 

感染経路として空気感染が主で、空気中→人、人→人という経路をたどり徐々に広がっていきます。

 

発症確率は予防接種を受けた人で5~10%。若年者の集団感染では、感染した人の10~20%以上が発病するという報告もあります。

また、感染したもののその時は症状が出なくても、何十年後かに体の抵抗力が衰えたときに発病することがあります。

 

初期症状は、せき、痰(たん)、微熱などの風邪に似た症状が長く続くほか、体重の減少、食欲不振、寝汗などの症状が現れることもあります。

 

重症になると、だるさ、息切れ、血痰(血の混じった痰)などが見られることもあります。

 

主に肺に感染することが多いのですが、肺ではない部位に発症する病変もあります。

咽頭・喉頭、胸膜、腹膜、心膜、リンパ節、中枢神経系(脳、髄膜)、骨・関節、腸、腎・尿器、性器、皮膚、眼、耳など様々な部位に広がることがあります。

 

 

 

 

 

 

ここまで来てわかった方はいらっしゃるでしょうか。

かなり端折って説明しましたが…

 

 

 

そう。

この病気は「結核」です。

 

 

 

え?結核がなぜ腰痛?

 

という方も多いと思います。

ですが先の文章の内、感染部位に「…中枢神経系(脳、髄膜)、骨・関節、…」とありましたね。

 

 

そうです。

骨や関節に転移した肺外結節が原因で起こる腰痛が存在するんです。

 

 

骨・関節に感染した場合

「脊椎カリエス(結核性脊椎炎)

と呼ばれ、血行性播種(血液に乗って様々な部位に感染すること)によるものがほとんどで、元々肺結核に罹患していることが3050%の方に認められます。

この骨・関節への感染は、脊椎(腰椎>胸椎>頸椎)、膝関節、股関節が侵されやすいと言われています。

 

 

 

一般的に脊椎に感染した結核菌は脊椎椎体で感染が始まり、椎体の前後を上下に走る前縦・後縦靭帯に沿って感染が拡大し腫瘍を形成します。

椎体の前後を縦に走る、前縦・後縦靭帯

 

さらに椎体の破壊が進むと楔状に圧潰し、最終的には円背や亀背になってしまいます。

脊椎カリエスに罹患した方のMRI画像です。

 

 

全身的な症状としては元の結核感染と同様な風邪症状(微熱、食欲不振、全身倦怠感など)や、局所症状としては腰背部痛、脊柱の硬直などがみられます。

腰背部痛は化膿性脊椎炎に比べると軽度で、緩やかに経過します。

罹患部位の脊椎の叩打痛(こうだつう:叩くと痛みが出る)も特徴のひとつです。

 

 

また、結核性の肉芽(にくげ)、膿瘍が脊椎に発生すると、圧迫や脊柱変形により椎体の後ろにある脊髄にまで影響し脊髄麻痺を生じることが有り、下肢の脱力、しびれや歩行障害が現れます。

 (膿瘍とは限られたスペース内に膿が充満している状態のこと)

 

 

さらにほかの膿瘍の症状としては、腹部、臀部、鼠径部の突っ張り感や重苦しさですが、腸腰筋膿瘍では筋肉を伸ばした刺激が痛みとして感じられるため股関節の伸展が制限され、屈曲位をとります。

(腸腰筋とは下図の腸骨筋と大腰筋の二つを総称した筋肉の名称です。主に股関節を曲げたり、股関節を固定した状態では体を前に傾けます)

 

 

 

このことから脊椎カリエスによる腰痛は、

①化膿した腰椎の炎症症状による疼痛

②骨・関節の破壊による姿勢悪化から起こる腰痛

③感染した腸腰筋の伸張刺激による疼痛

であると考えられます。

 

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いかがでしたでしょうか。

 

現代では減少していると言われていた結核が最近増加傾向にあり、わからないまま進行してしまうと起こってしまう病気です。

 

風邪症状が治っても咳が2週間以上続くようなら検査してくださいと言われておりますので、疑いのある方は病院で検査を受けてみることが重要と思います。

 

かからないように予防することも重要ですが、かかってしまったらそれ以上広がらないような対処も重要ですね。

 

 

それでは、また2週間後…

 

Life & Body Condition クオリア

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