
チビ子が昨日の明け方に出産してしまった!
しかも、我が家の正門前の繁みで。
最近の兄貴は、AM3:30~4:00に朝散歩に出る。
江戸時代でいえば寅の刻(AM3~5時)で、
梅雨が終わった沖縄でも、まだ真っ暗闇の夜中の時間。
といっても、兄貴に首輪だけして部屋から外に出してしまえば、
兄貴がうるさい野犬軍団を追い回して蹴散らし、
兄貴にひれ伏す弱い野犬たちと一緒に遊ぶので、
3時間前後経過した朝7時ごろには、
兄貴はけっこうな運動量を消化していることになり、
兄貴は疲労困ぱいで自首してくる。
それで、私の朝食も、最近は朝7時になり、
早起きはいいんだけど、私は疲労残りの日々が続いている。
そういう日課だけど、昨日の明け方は、兄貴を門から外に出すと、
正門前の繁みで兄貴が固まっているので、
「ハブがいるのかな?」
と、心配になり
兄貴を待ち構えている遠くの野犬たちの方向に私が小石を投げて
兄貴を繁みから離そうと試みたのだけど、
兄貴はすぐにまた草むらの方へ戻って来てウロウロした。
すると、草むらの中から
「Wooooo!」
という犬の唸り声が聞こえた。
夜中に、家の近くで
野犬たちが争うような喧騒が聞こえていたので、
「噛まれて怪我した野犬が傷を癒すために安静にしているのかもしれない」
と、兄貴を草むらから離すと、、
また兄貴は草むらへ戻る。
そんなことを真っ暗闇の中で何度か繰り返していたら、
出産したらしい仔犬の弱々しい声が聞こえた。
「そういえばチビ子は最近お腹が大きくなってきたような気がしてたな」
と思い出し、
いつもだったら兄貴にまとわりつくチビ子の姿が見えないので、
「チビ子が出産したのかもしれない、困ったな」
と思った。
夜明けが近づき、うっすらと草むらも見えてきて、
母犬がやはりチビ子だと確認できた。
チビ子は時々笑顔を見せるものの、
子どもを守ろうとイラついて唸り声をあげていた。
犬の出産期間は「交配から9週間後」といわれている。
今から9週間前というと、4月下旬頃のGW手前で、
たしかにこの時期は、兄貴や野犬のオスたちが
希少な牝犬を求めて発情しまくっていた時期で、計算は合う。
我が家近郊の野犬の餌場は病死して投げ捨てられた豚墓地で、
鮮度の高い生肉を食べ、汚い廃液のような水をすすり、
雨が降ればズブ濡れになり、
もちろん生まれながらの野犬なので
仔犬の頃に混合ワクチン注射なんか打ってるはずもなく、
不衛生だけどたらふく食べられるけど免疫や抵抗力はない。
3歳まで生きられない環境下で野犬たちは日々生きている。
「犬は安産の神様」
といわれるくらい、
一般的にお産で問題が起こることはほとんどないのだけど、
野犬のメス犬は、不衛生な環境で出産するために、
分娩直後に膣から進入した細菌が子宮に到達する急性子宮炎や、
出産後の病気で衰弱死することが多いみたいで、
とにかく牝犬が少ない。
GW直前あたりは、後肢に障害があるチビ子も
大勢のオス犬たちに追いかけ回されていた。
ふだんチビ子をまるで相手にしない兄貴でも、
チビ子の発情期だけは、
チビ子ストーカーの一員に加わり、
チビ子を追いかけ回していた。
結局、チビ子は「シロ」と私が名付けた、
兄貴と不仲のオス犬を繁殖相手に決めたようで、
5月の中旬頃まで、兄貴は失恋ショックでウツのような体調に陥って
私は安堵していた。
だって、兄貴のようなトゥラー(トラ毛)の仔犬が
ゾロゾロ出てきたら困るからね。
付近の野犬たちは、姿が似ているのが多い。
要するに、兄弟が分裂したり、融合したりして
グループを形成しているように見える。
付近をマクロ的にみれば、
種々の野犬グループがあちこちに住み分けているだけで、
基本的には各派が仲が良いか悪いかは別にして
犬同士からすれば「顔見知りの知り合い」ということになる。
なので、争わないグループ同士は、
出会った時と別れる時に、鼻を突き合わせて別れの挨拶をする。
兄貴も同様に挨拶が出来ているから、
こういうのは本能的なものみたいだね。
もちろん、本島中南部から、わざわざやんばるまでやって来て
家族として育てた飼い犬を捨てにくる不届き者も後を絶たないから、
野犬社会では絶えず招かれざる新人もいるのだけど、
飼い犬は、それまで人から食べ物をもらって生活してきたので、
急に厳しい自然界に放されたら、たちどころに飢餓の状態に陥り、
野犬たちの仲間に入れるのは、ほんの一部だけ。
仔犬とか牝犬とかくらいが野犬グループの配下になり、
成犬のオスは耳をちぎられるとか、縄張りから締め出されるだけで、
飢餓の絶望の中、まだ息がある状態で
カラス軍団たちのエサになっているみたい。
こういう悲惨な光景は、飼い主が見たら、どんな思いがするかな?
人知れず土に還るのは、野犬たちだって同じだから、
可哀そうなのは捨て犬だけでなく野犬も同じこと。
希少なヤンバルクイナはたしかに大事だけど、
私は捨て犬や野犬の命もヤンバルクイナと同じとしか思えない。
ヤンバルクイナありきの環境省や、
これにひれ伏す希少動物保護の一部の団体は
命に優劣の順序をつける。
まず人間がトップで、次がヤンバルクイナ、野犬は最後…。
なので、ヤンバルクイナを保護するためには
これを阻害する野犬は殺すべきだという恐ろしく身勝手な考えになる。
「エセ生態系学者=犬殺し」
野犬たちは、見た感じでは似てる体形が多い。
野犬は近親繁殖を繰り返す結果、
生まれてきた子供に様々な欠点が生じる近交退化(きんこうたいか)、
例えば、耐性の低下、体型の小型化、生殖能力の低下…、
などが遺伝して、生命力自体が弱くなる負のスパイラルに陥っている環境も、
野犬が3歳まで生きれない理由の一つなのかもしれない。
野犬の生きる過酷な生活環境は、
そういった近交退化を招くような
オーバーブリード(overbreed)というような近親繁殖の社会で、
そのため、似たような体型の犬が多いのだと思う。
チビ子の出産は干潮の時間帯だった。
「満月の日に出産が増える」
というのは、聞いたことがあるはず。
「女性の体と月の満ち欠けには関係がある」
と、昔からいわれている。
月が新月から満月になり、また新月へと戻るまでに約28日かかり、
これは女性の生理サイクルとおおよそ一致している。
そのため、
「新月から満月に向かうとき」
つまり、月が見えない新月から、満月に向かって大きくなっていく時期は
「体は様々なものを吸収しやすくなる」
イコール
「栄養分を吸収し太りやすい、ダイエットには不向きな期間」
であって、現状維持に重きをおくべし、という時期であり、
「満月から新月に向かうとき」
満月からだんだん月の形が細長くなり、見えなくなってしまう時期は
「体から余分なものが排出されやすくなる」
イコール
「栄養分を吸収しにくく、ダイエットに向いている時期」
なので、この期間に積極的な運動を試みると
ダイエットに効果的だ、というのだけど、
そんなことしてる人は、まあいないと思うけどね。
「満月の日にお産が多い」
という伝承は、
「潮の満ち引きと月の満ち欠けに関係がある」
という考え方が昔からあるため。
潮は干満の差によって、大潮、中潮、小潮の3種類に分けられ、
これは月の動きと太陽の動きが重なって決まっている。
大潮は、満月と新月のときで、干満の差が最も大きい。
コーヒーの開花も、沖縄の場合
満月、新月の大潮を中心とした1週間に集中する。
中潮は、三日月のとき。
小潮は、半月のときで、干満の差が最も小さい。
昔から
「大潮に向かって陣痛が強くなるため、出産が満月に多くなる」
というのが、言い伝えの基になっている。
大潮は満月と新月だから、
「満月だけでなく、新月の日にもお産が多くなる」
というのが本来の言い伝えらしい。
「大潮のときは自然と陣痛が強くなるため
、陣痛促進剤をさほど必要とせず
無理なく生まれるため母子ともに安産になりやすい」
反対に、
「小潮のときにはなかなか陣痛が強くならず、
時間がかかってしまう」
といわれているのだけど、チビ子の出産の昨日
6月26日(日) 旧 5月22日(友引)は「小潮」なんだよね。
チビ子も出産で苦しんでたのかな?
「小潮」の明け方の干潮時間に、チビ子は出産し
小さい体ながら8匹も産んでいた。
チビ子の兄のフサ尾が、そういえば数日前から
我が家の近くで、やたら穴を掘っていた。
チビ子の出産した草むらにも、穴を掘った跡があった。
犬の祖先であるオオカミが出産するときは、
外敵から見つからない場所に穴を掘り、その中で出産するらしいから、
チビ子やフサ尾にもそういうDNAがあり、
他の野犬軍団や宅配便、郵便局員など
外敵から見つかりにくい出産場所を本能的に探した、
ということなんだろうね。
AM5:39日の出後に、怒ってるチビ子に警戒しながら
仔犬の数を数えると8匹いた。
出産場所が、さすがに我が家の正門前だと
外敵に発見されやすいので、
自宅の裏の方で雨が当たらない場所に
チビ子と仔犬たちを移そうと考えていたのだけど、
チビ子がとにかくイラ立って威嚇するので
噛まれても困るから、後回しにしたんだよね。
その後、雷雨というか、近くに落雷が何度かあり、
短い停電が3回続く猛烈な豪雨になった。
出産直後のチビ子と仔犬たちは豪雨に打たれるまま。
1時間くらい経ち、雷雲が抜け小雨になると、チビ子の姿がない。
ようやく子育ての場所を移すと決め、
仔犬を1匹ずつ移動するつもりらしい。
出産の穴に雨水が溜まり、2匹が溺死していた。
雷雨の前に移転すべきだったよね。
私はチビ子が仔犬を全員引越しさせると思い込んで、
自分の仕事に集中していた。
数時間後に出産場所の草むらを見ると、
6匹の仔犬の死体が横たわっていた。
仔犬たちは雨に打たれ体温が低下しただろうし、
吸乳が出来なかったとか、鳴きながら動き回ったための
酸欠によるチアノーゼとかの衰弱子犬症候群だったのかもしれない。
死体の中には噛まれた跡もあったから、
チビ子が噛んだ可能性もある。
体温低下や病弱で生きられないと判断したとか、
栄養不足の環境下における口減らし、
初めての出産とイライラで噛んでしまったとか、
そういう理由かな?
死んだ仔犬は、野犬かカラスに食べられてしまうので、
私がバナナ園のRIU(琉)君の墓の近くに埋葬したのだけど、
私が仔犬を奪ったと誤解したチビ子が、
私の近くを走り回り、威嚇して唸り声をあげるのには
ホントに困った。
おそらく残りの2匹も死んでしまった可能性もある。
全員が元気ですくすくと成長した方が良かったのか、
可哀そうだけど、出産後に亡くなって良かったのか…。
人間への警戒が強く、人工的なものには近づかない野犬。
老人や子供であれば、攻撃してくる可能性もあるだろう。
だけど、だたらといって「目障りだから殺す」というのでは
あまりに短絡的だと思う。
解決策は「共生」しかないはずだ。
先週の日曜日だったかな、TVの志村動物園で、
「NPO法人 ハート徳島」
(代表スーザン・マーサー)
という、野犬や野猫の保護施設を紹介していた。
以下はここのHPのコピペ
「ハートは、犬や猫にとって
苦しみや虐待の無い地域社会を創ることを目的とした動物福祉団体です。
私たちは、捨てられたり虐待を受けた動物たちの
保護、治療、里親探しを行っています。
また、動物の避妊・去勢手術の奨励、
飼い主としての責任を促す活動も進めています。
「避妊・去勢によって、恵まれない犬や猫を減らす」
という長期的な目的を達成するために、
ハートは、四国地区のアニマルレスキューセンターとして、
2006年に設立されました。」
と書かれている。
沖縄にも、こういう保護施設があってもいいのにな。