
最近、兄貴の起床が異常に早くなって、明け方の4時前後には起こされる。
理想としては、兄貴だけ早々と外に出してしまって、
私はしばし夢の続きを見たいとこだけど、
兄貴が武闘派野犬軍団との乱闘で怪我するのは自業自得としても
近くの子豚専用豚舎に兄貴が侵入して子豚を襲いやしないかとか、
近所の放任の飼い犬と遭遇して怪我させたりするのが怖いので、
とても安心して寝ることなど出来ない。
私が兄貴に、
「まだ、夜中なんだよっ!この間抜け犬!」
と罵倒して、それが通用すればいいんだけど、
それをすると、兄貴はマヨネーズやケチャップを咥えるとか
室内に吊るしてある服や下着などに飛びついて引きずり回すとか
反抗的態度に出て来ると決まっているので、
兄貴に起床を促された時は、軍人や囚人のように、
私もテキパキと起きざるを得ない。
また、兄貴の気分さえ良ければ、私の着替えの邪魔もされないので、
スピーディに着替えをして布団をたたみ、兄貴の首輪を付けて、
起床5分後には兄貴と外に出られるようになってきた。
一種の訓練みたい。
今日5月10日(火曜)の兄貴は3時50分起床!
今日の沖縄地方の日の出は5時46分だから、
約30分前の5時15分ごろにならないと夜空に星が見えていても
10m先が見えない、月明りだけの外は闇の世界。
ド田舎なので街灯なんて文明開化的ハイカラなものはないからね。
「古いヤツだとお思いでしょうが、古いヤツこそ、
新しいものを欲しがるもんでございます。
どこに新しいものがございましょう。
生まれた土地は荒れ放題、今の世の中、
右も左も、真っ暗闇じゃござんせんか」
というセリフで始まる鶴田浩二の「傷だらけの人生」、
「何から何まで 真っ暗闇よ
筋の通らぬ ことばかり
右を向いても 左を見ても
バカと阿呆(あほう)の 絡(から)み合い
どこに男の 夢がある」
という一番の歌詞を想い出してしまうくらい、
ホントに真っ暗闇じゃござんせんか。
兄貴は最近全身傷だらけなので、
「傷だらけの人生」
は、台湾ハゲができる前には想い出していて、
素行が悪く、全身入れ墨的な兄貴に
何となく「任侠」イメージが重なる部分が多い。
街灯がない時代、明治時代までは
街でも外出には提灯(ちょうちん)が必要だった。
我が家近郊は、なんだかそういう時代を回顧してしまう。
今どき、提灯なんてお祭りや屋台、葬儀以外では、
街の居酒屋、焼き鳥、酒処、おでん、ホッピーとか、
伝統風習やレトロ感覚で使われるくらいで、
一般ではあまり見かけなくなった風物詩だよね。
暗闇だからといって懐中電灯を持つと、
照らした一部分だけが舞台のスポットライトのように明るく、
周りはさらに暗くなるから、
懐中電灯は持たず、月明りだけが頼り。
月明りがない、雲がかかっていたら、
さらに暗闇になってしまう。
こういう暗闇状態で外に出た時は、
「ヘビに近寄らない、踏まない」
ことが注意点の第一番目。
暗闇の地面では、ロープ状のものや20~30㎝の塊はヘビの可能性が高い。
しかも夜行性のヘビは、
猛毒ハブや凶暴アカマタといった沖縄では要注意のヘビで、
我が家近郊は畜産基地といわれるエリアだから、
豚舎や牛舎の畜産飼料を食べるネズミが多く、また、カエルも多い。
獲物が豊富なために、ハブやアカマタは、街では見かけないような大型が多い。
ヘビはロープ状であれば、すぐに攻撃できないからまだ安心なんだけど、
とぐろを巻いた状態であれば、1m以内の射程距離内だと
体長2m前後の成体ハブなら腰のあたりまで、
口を270度に開けて飛んでくるので、
ヘビと共生するには、
ヘビさんには不用意に近づかないことが肝要なんだよね。
ヘビさんに、
「何もしないよ」
というオーラを出して、
「お互いに共生し合おう」
と、それぞれが暗黙に了解し合っていても、
ヘビが最も嫌がる至近距離に近づけば、
その習性から攻撃されるに決まっている。
ゴルゴ13だって、背後に人が立つと反射的に殴ってしまうはずだ。
第二の注意点は武闘派の野犬。
これは粗暴な兄貴が近くにいれば
兄貴は腕の立つ用心棒やボディガードと同等だから安全安心なんだけど、
兄貴が吠える野犬を追って、私が置いてけぼりになった時に、
暗闇からの野犬の吠え声には恐怖を感じることがある。
どこから野犬が飛び出してくるか判らないから。
野犬は人を忌み嫌っていて、逆に野犬が人を恐れているので、
人には威嚇するだけで今のところは襲いはしないし、
武闘派でも穏便派でも、野犬が私に近づこうとすると、
兄貴が正義の味方みたいにどこからともなく現れて、野犬を撃退してくれる。
こういう時は、昔でいえば、
ナショナルキッドや月光仮面、七色仮面といったようなヒーローと
兄貴が重なって見えて頼もしい。
兄貴に明け方の4時に叩き起こされて、
真っ暗闇の外に連れ出され、ヘビや野犬の恐怖におびえても、
良いこともある。
ひとつは一日が長く使えること。
また、4時に兄貴を放せば、
7時には兄貴は3時間も自由散歩を満喫出来て
ヘトヘトに疲れて、自ら出頭してくる。
今までのように、捕まえようとして兄貴が逃げる、
無意味な追いかけっこもしないで済むようになってきた。
兄貴も、さすがに朝食後は昼寝をするので、
私は午前中は有意義に使える。
途中、私も猛烈に睡魔に襲われる時もあるけど、
そういう時は短時間でも横になってしまうことにしている。
それに、超早起きは、朝寝坊するより断然快適。
また、空が澄みきっていると、
満天の星が、降るほどに空いっぱいに見えることが多い。
「星って、こんなに多かったのか」
と感動して、ついつい見入ってしまう。
昭和のムード歌謡 コーラスグループ、
敏いとうとハッピー&ブルーの大ヒット曲「星降る街角」、
「星の降る夜は あなたと二人で お、お、お、お、お、お、踊ろうよ
(チュルル、チュルル、チュルッル~)
流れるボサノバ 触れ合う指先 ああ恋の夜
いたずら夜風が 頬にキスしても 二人は
何も言わないで 瞳見つめ合う あの街角
(ワッチュー!)」
ずっと気になってるんだけど「ワッチュー」ってなに?What you?
カラオケで誰か「星降る街角」歌うと、異常なノリで
「夜夜夜夜長い夜」
とか、合いの手を出すのは決まっておばはんなんだよね。
ま、それはいいとして、
1960年代から1970年初め頃、
ベトナム戦争(1960年~1975年)と重なり、
米軍統治下の沖縄の米軍基地からB52が出撃した。
当時のライシャワー駐日大使は
「沖縄は100万人が住むアメリカ植民地」
と言っていた。
ま、今も日米の植民地だけどね。
米大統領選で共和党指名候補のドナルド・トランプ氏は
「在日米軍駐留経費の日本側負担」
を求めているけど、
もうそれだったらいっそのこと、御一行様には
特に沖縄からはお引き取り願ってもいいかもね。
ベトナム戦争当時は、羽田利用航空機の40%が米軍チャーター機になり、
国鉄も米軍物資を輸送し、米軍の空母6隻、700機の基地は横須賀や佐世保。
米軍機や戦艦、車両などの修理や補給は沖縄と日本で行われ、
医療保養基地として、米兵負傷者約30万の75%は日本で治療。
日本は全面的に米軍の後方支援をして、
輸出総額の約2割がベトナム戦争特需で、
トイレットペーパーからミサイルまでベトナムに供給した。
当時も今も、日本は米国の言いなり、情けないね。
韓国は日本よりも利益享受国になった。
輸出は6倍増、約2万人が南ベトナムに出稼ぎに行き、外貨の2割を稼ぎ出した。
「漢江(ハンガン)の奇跡」も、この特需で実現できた。
この、ベトナム特需で浮かれていた時代、
ナイトクラブや酒場などのネオン街を舞台とした
大人の男女の恋愛を描いた歌詞で、
歌謡曲にハワイアン、ジャズ、ラテンなどの要素を取り入れたムード歌謡が全盛で、
敏いとうとハッピー&ブルーの他にも和田弘とマヒナスターズ、
ロス・プリモス、鶴岡雅義と東京ロマンチカ、内山田洋とクール・ファイブ、
ロス・インディオスなどが、TVの歌番組で見ない日はなかった。
私の住む集落にはコンビニはもちろん、
郵便局や小中学校、病院はないし、信号や横断歩道だってない。
「テレビも無え ラジオも無え
自動車もそれほど走って無え
ピアノも無え バーも無え
巡査毎日ぐーるぐる
朝起きて 牛連れで
二時間ちょっとの散歩道
電話も無え ガスも無え
バスは一日一度来る」
という、吉幾三さんの「俺ら東京さ行ぐだ」に近い。
なので18歳未満の子供を抱える家族やふつうの感覚の人では
こういうド田舎で生活するのは、まずムリ。
ここが故郷で、ここで暮らさざるを得ないとか、私のような変人とか、
「ここに住む」という強い気持ちがないと、とても住めないと思うよ。
ド田舎は人が生活するには不便なことが多いけど、
夜の満天の星空だけはホントに凄い。
まさに星が降る村。
全国の都市にはプラネタリウムが360施設もあるらしく、
沖縄県にも2つある。
・国営沖縄記念公園 海洋文化館(本部町石川)
・ほしぞら公民館(那覇市安里)
多くの人はプラネタリウムに行ったことがないんじゃない?
私は一度も行ったことがないし、行く気も興味もなかった。
人工的に光と音を演出させながら臨場感を出すのだろうけど、
なんだか、はく製の動物を見るような感じでニセモノ感というか、
文科系ヲタクのデートスポットのような感じもして
興味がなかったんだけど、今は後悔して
予備知識の必要性を痛感している。
夜空に瞬く北斗七星を眺めながら、星座を探す。
というより、夜空に散りばめられた無数の星の中で、
どれをどうつなげたのが星座なのか、
要するに、私自身が何もわかっていないことに今さらながら気がつき、
その無知ぶりに呆れて落胆してしまう。
夜空の星たちを結んで、いろいろな動物や道具、
人物などに見立てたものが星座だけど、
もともと星座は、古代エジプトで
星の並びを人の形などに見立てていたのに始まり、
ギリシャに伝わって神話と結びつき、
広く親しまれるようになった、といわれている。
私でも北斗七星くらいは簡単に見つけられるのだけど、
それが、おおぐま座のしっぽの一部だといっても、
それなら他の星をどう結べばいいのかが判らない。
占いなどでおなじみの12星座と、そのSTORYが判るなら、
満天の夜空はもっと楽しめることだろう。
欧米文化は、
日本人の想像以上にギリシャ神話の影響を受けている。
「故ダイアナ妃」の「Diana」は、
ギリシャ神話に出てくる 月の女神「Diana(ディアーナ)」から
とられているとか、
コンピューターのハードディスクやメモリの単位「Giga(ギガ)」は、
ギリシャ神話に出てくる巨人「Gigantes(ギガンテス」からとられている。
ギリシャ神話は「オリンポス12神」と呼ばれる神々が、
メインとなるSTORYだけど、その中でも
主神となる三男「ゼウス」、次男の「ポセイドン」と長男「ハデス」、
この兄弟3神が、それぞれ主要となる役目を負っている。
ゼウス、ポセイドン、ハデス はギリシャ語名で、
英語名では
ゼウス(Zeus)=ジュピター(Jupiter)
ポセイドン(Poseidon)=ネプチューン(Neptune)
ハデス(Hades)=プルートゥ(Pluto)
と、英語名では太陽系の惑星の名前にもなっている。
ジュピター(Jupiter)といったら木星だけど、
金星は「ヴィーナス(Venus)」、ギリシャ語では「アフロディテ」。
アフロディテ(ビーナス)は、「美の神様」なので
現代でも「美の象徴」として生活に浸透している。
水星は「Mercury(マーキュリー)」、
アメリカの最初の有人宇宙飛行のプロジェクト名「マーキュリー計画」は
ここから使われている。
ギリシャ語名「ヘルメス( Hermes)」は
フランスのエルメス(Hermes)の社名でそのまま使われている。
冥王星の英語名「Pluto(プルート)」は、
ミッキーマウスのペットの犬。
ディズニーのプルートが誕生した1930年は、
冥王星が発見された年で、それにちなんでいるらしい。
惑星の日本語訳でも、
ポセイドン(Poseidon)=ネプチューン(Neptune)=海の神様=海王星
ハデス(Hades)=プルートゥ(Pluto)=冥界の神様=冥王星
とか、
ギリシャ神話の神に関係のある日本語を当ててある。
日本は八百万神(やおよろずのかみ)の国、
自然信仰からはじまった神道(しんとう)では、
森羅万象すべて神の発現とした古代日本の神観念があり、
日本を代表するのは天照大神(=太陽)で、
一週間の曜日、月、火、水、木、
その他、海、山、空…、
あれ?何か足らないな?と思ったら「星」の神って日本にいるの?
保育園や幼稚園、あるいは宝塚歌劇団には「星組」があるけど、
「星神」って聞いたことがない。
なので名護図書館で、日本の「星の神」を調べてみたら
一つだけあった。
「天津甕星(あまつみかぼし)」という神、聞いたことないよね。
「古事記」には登場せず、「日本書紀」の神代下第九段本文に登場している。
本文では、
「経津主神(ふつぬしのかみ)、武甕槌命(たけみかづちのかみ)は
不順(まつろ)わぬ鬼神等をことごとく平定し、
草木や石までも平らげたが、
星の神の香香背男(あまのかがせを)だけは服従しなかったので、
倭文神(しとりがみ)建葉槌命(たけはづち)を遣わし懐柔した」
としている。
要するに、
国津神平定のために、大将軍、経津主神・武甕槌神を送ったが、
高天原にいる天香香背男、別名を天津甕星(あまつみかほし)という悪い神が服従しないので、
倭文神建葉槌命(しとりがみたけはづちのみこと、天照大御神が天岩屋に隠された際、
大神に献上する文布(しずを織った神)を送り込んで説得し、
葦原中国(あしはらのなかつくに)を平定した」
というもので、
天津甕星(あまつみかほし)の「甕(みか)」は、
「厳(いか)」の意で「金星」を表し、
天香香背男(あまのかがせを)の「香香(かが)」は「輝く」の意で、
星が輝く様子を表している、とされているらしい。
そもそも、「古事記」や「日本書紀」は、
天皇家が葦原中国(あしはらのなかつくに)を征服した事を正当化するために
編纂された本であり、さらに「日本書紀」は、藤原氏の都合がいいように
編纂された本で、史実かどうかは疑わしい。
天皇家が、武力で国を強奪したのではなくて、
「前の支配者から、より優れた支配者に禅譲した」
というSTORYにすれば、
天皇家は侵略ではなくて天命ということになるし、
征服された国津神(くにつかみ)の側も面子が潰れずに済む、
ということになる。
王朝が変われば、前の王朝は徹底的に攻撃されて叩き潰される。
「前の王朝が徳が無かったから潰れた」
「なので、自分達の征服行為は正義だ」
というのが、孟子の易姓革命の基本的な考え方。
なので、
だから、「古事記」だけに登場する、
最後まで抵抗した「建御名方神(たけみなかたのかみ)」は悪神だし、
身内なのに国津神(くにつかみ)征服に賛同しなかった
天津甕星(あまつみかほし)も悪神にされている、と考えるのは自然なはず。
古代から星や月を神格化した神は世界各地に見られ、
古代ギリシャのように星神を主祭神とするところもあるのに、
日本神話では、
「星神は服従させるべき神」
つまり、
「まつろわぬ神」
として描かれている。
こうなると、
「星神を信仰していた部族があり、
それが大和王権になかなか服従しなかったことを表している」
とする説も、なかなか興味深い。
ともかく、日本では星神は悪い神とされている珍しい国だけど、
満天の星空を眺めても、星座やSTORYがチンプンカンプンだと
ただ見とれるだけではもったいない。
「北斗七星をたどると、北の方角の目印である北極星が見つかる」
というのだけど、
夜空には無数の星が瞬いているので、
七星のどこを基準に、どっちにどこまでたどればいいのか判らない。
星座について知りたいのだけど、どうもよく判らない…。
私自身の無知、無教養を思い知らされる場面でもあって、残念。
兄貴はDOG=GODで神だけど、
星神ではなくて屋根に上がらない生きるシーサー=家の守護神。
気分屋でうるさい犬だけど、
我が家の用心棒だし、許してやるよ!