ハイサイ、RIN(凛)ですニコニコ
イルカンダ、幻の花、琉球犬、縄文犬

先週、沖縄のTV局のローカルニュースで、
「幻の花イルカンダが開花した」
という報道を何度も観た。
沖縄のローカル紙、沖縄タイムスや琉球新報にも記事が出ていたらしい。

このイルカンダの花はRIN(凛)君の散歩コースでも見れる。
「幻の花」というのは、ちょっと大げさだと思うよ。


ニュースでは「4年ぶりに咲いた」と言っていた。
たしかに4年前の夏には3回続けて瞬間風速70m級の超大型台風が
やんばるを横断したり接近したりで、
やんばるは大被害を受け、
いまだに森林や林道(崩落)は、その後遺症があって回復途上だけど、
「みごとに咲いたのが4年ぶり」
というのが正しい表現だと思う。


私の住むエリアでは、
一昨年から小ぶりなイルカンダが4月に咲いていたけど、
たしかに今年の花は、久々に見事と言える。
イルカンダを初めて見た時は「巨峰」に見えたけど、
今年の花はそういう感じに見える。

イルカンダ、幻の花、琉球犬、縄文犬

そういえば、
「このあたりにイルカンダの花を見れるところ、ありますか?」
と、県道70号線で犬の散歩中に
過去に2,3回聞かれたことがあった。

この辺りは過疎の山だから、場所の説明はなかなか難しい。
コンビニや郵便局、信号、美容院、飲食店など、街だったら
目印になりそうなポイントを教えることが出来るけど、
山林を切り開いたところに道路だけがあるようなところでは、
どうやって具体的な場所を説明するのかは難しい。


相手は急いでいるようだし、たいてい
「向こうに500メートルくらい行った左側」
みたいなことを言うのだけど、
後で考えると
「あれ?1kmくらいあったかな?」
とか、かなりのアバウトさに気づいて
「あの人、見れたかな?」
と後で気になってしまうんだよね。


「あのババア、いいかげんなデタラメ言いやがって!」
みたいに思われているかな、とか心配になる。


この逆バージョンで、私が場所を聞く側になると、
ウチナーンチュは
「行けばわかるよ」
と簡単に答える人が多いのだけど、
そういう時に限って、簡単に場所が判明したことは一度もない。


答えに困って
「行けばわかるよ」
的に言ってしまうんだろうね。


その証拠に、何とか苦心して目的地にたどり着けた後に、
道を聞いた人にお礼を言うと、
「よくわかったね」
なんて言われたことがある。
最初から
「わかりにくいよ」
と言ってくれたらいいのにね。


でも、イルカンダとか、特定の植物名を名指しするのは
かなりの「やんばる通」に違いないよ。

イルカンダ、幻の花、琉球犬、縄文犬

沖縄にはテレビ局は4局ある。

公共という名の政府広報局NHKの他に、
・RBC琉球放送(JNN系列、沖縄タイムスとのつながりが深い)
・QAB琉球朝日放送(テレビ朝日系だけど琉球放送の傘下)
・OTV沖縄テレビ(FNN系列、フジテレビ番組が主でテレビ東京番組も一部観れる)
という民放があり、
沖縄では日本テレビは観れない。
まあ、観たい番組もないからいいけどさ。


先週のローカルTVのNEWSでは、各局が、
「幻の花イルカンダが国頭村の大石林山で開花した」
という、映像まで同じ内容を流していた。


「大石林山(だいせきりんざん)」というのは
沖縄本島最北端の辺戸岬の近くの、
東京ドーム11個分の広さの
熱帯カルストのテーマパークみたいなところ。


2億年前の石灰岩が、雨水などで長い年月をかけて侵食されて
ギザギザに突き出した奇岩巨石が広がる地域で、
「ぜひ行った方がいい」
とは、お世辞にも言えない観光地。


数年前に全国的にパワースポットが流行したよね。
その多くは、町おこししたいけど、
名物も何も無い過疎地が編み出した
究極の苦肉観光戦術が「パワースポット」なんだろうけど、
この「大石林山」は、琉球の歴史においては由緒ある聖地であり、
たしかにここがパワースポットといっても
非現実的な景観からの単純なこじつけだけではない。


日本の国づくりの神話は、
「古事記」や「日本書紀」に記されているけど、
琉球の創生神話は、袋中(たいちゅう)という
江戸時代前期の浄土宗の僧侶の「琉球神道記(1608年)」、
「おもろそうし(1623年完成)」、
琉球王朝の正史「中山世鑑(ちゅうざんせいかん、1650年)」などに
記されている。


ちなみに、袋中上人は1603年、51歳の時に、
明に渡ろうとして東シナ海で船が難破して琉球に渡来し、
袋中上人が浄土真宗布教のために創作した念仏踊りが、
現在のエイサーになったという、いわば袋中上人は
「エイサー創作のレジェンド」
でもある、琉球の歴史では著名な人物。


琉球王朝の正史「中山世鑑」には、
「天城に阿摩美久(あまみく)という神があり、
天帝の命によって、
それまでは東海の波は西海に打ち越す状態だったところに、
土石草木を天から賜(たまわ)って島をつくった。
さらに、国頭(くにがみ)の辺土(へど)の安須森(あすむい)を始めとして
島々国々の御嶽(うたき)をつくった。
阿摩美久の願い出により、天帝が自らの御子を地上に送り、
やがて二人の間に子供ができる。
長男は国の王、次男は諸侯、三男は百姓、長女は君々(高級神女)、
次女は祝女(ノロ)の始めとなった。
さらに阿摩美久は、天から五穀をもらい受け、島々に植えた」
と記されているように、
大石林山の辺りは、琉球最古にして最大の聖地といえる。


なので、パワースポットや御嶽(うたき)巡りをしたい人には
「大石林山」は最高の場所といえるだろうけど、
一般的にはガッカリ度がハンパないと思うよ。


なにしろ、ここは観光地なので入山料を取られる。
大人820円、小人520円(小5~中学生)とボッタクリ。


こんなとこ、入山料が大人200円だとしても高いと思うよ。

この大石林山は、南城市玉城(たまぐすく)の
「おきなわワールド」を経営している株式会社南都(本社那覇市)が
事業運営してることもあってか、
国頭村民にとっては関心度は極めて低い。


「おきなわワールド」 は、
10年くらい前までは「玉泉洞(ぎょくせんどう)」といって、
昔は鍾乳洞の中に水が溜まって、
それを抜くのに大変だった時期がある。
ここは南部観光の拠点なんだけど、
その話は、またいつかしましょう。


沖縄のTV局のローカルNEWSで何度も垂れ流されていた
「幻の花イルカンダが開花した」
というのは、
要するに、赤字の大石林山が客寄せのために
ニュース・ソースとして情報提供したってことだよね。


なので、
「幻の花は大石林山に行かないと見れないよ」
みたいな話になってるんだけど、こんなのウソだよ。
カネ儲けのためにデタラメ言うな!

イルカンダ、幻の花、琉球犬、縄文犬 【「右見て熊?」先週末はずっと雨模様、お客さんはあまり来なかったんじゃないかな】