ハイサイ、RIN(凛)ですニコニコ
琉球犬、縄文犬、天然記念物、猟犬、沖縄犬、 【与那覇岳中腹で霊水を頂いた後に、また小豆と出会った】

突然独りぼっちにされて、行くアテもなく、ただ彷徨(さまよ)い、
空腹で疲れ果て、おまけに目も体も不自由な捨て犬の小豆。

最後の最後になって、信じていた飼い主から見捨てられ
裏切りられた哀しみがヒシヒシ伝わる。


おそらく、仔犬の頃は可愛がられていたに違いない。
飼い主に甘え、いたずらをして、ふざけていたに違いない。
時には高い食材をもらったり、
シャンプーやブラッシングをしてもらったり、
定期的な散歩や、時には車で出かけたこともあったに違いない。
飼い主に気を遣いながら、精一杯飼い主を癒し、
飼い主から愛情たっぷりの笑顔をたくさんもらっていたに違いない。
心から飼い主の家族を愛していたに違いない。
ずっと、その幸せが続くと信じていたに違いない。


しかし、生きていれば年齢を取ってくる。
年齢を取れば衰えて愛らしはなくなり、
おまけに手がかかるようになってくる。


当たり前のことなんだけど、残念ながら、
その当たり前を受け入れられない飼い主が多いのが現状。
小豆の飼い主も、残念ながらそんな人だったんだね。


小豆の可哀そうな姿を見て、
ただ「可哀そう」と同情するだけではなくて、
私が小豆に出来ることは何かを考えたら、

答えはひとつしかなかった。

私が寄り添い、最後の日まで
私ができる限りのことをしてあげようと。
それで小豆を連れて帰る決心をした。
昨日の続編です。

琉球犬、縄文犬、天然記念物、猟犬、沖縄犬、 【ギスギスに痩せこけて彷徨う小豆に、このあと2度目の声をかけた】

私と小豆は初対面なので、
「この犬、触ったら咬むんじゃないか?」
「このオバア大丈夫?私をどうする気?」
という思いが、お互いにあったはずだけど、
助手席のドアを開けたら、
小豆がふらつきながら自ら車に乗り込んできた。
小豆は、車に乗り慣れているみたいだね。

現状の小豆は、ボロ雑巾のように汚く、痩せこけて、
前脚に怪我?フラフラして、ハエがたかっている。
目が全体的に真っ黒で視力が無いに等しいみたい。
また、少し痴呆が入っているのかもしれないし、
どこか病気っぽい。


我が家に向かう道中、
小豆は
「私は、これからどうなっちゃうんだろう?」
という不安で一杯だったろうけど、
私は、
「どうやって飼うか?」
を案じていた。

犬を飼う時って、ふつうは心構えや準備がいるけど、
小豆の場合は、買い物の衝動買いみたいなもので、
事前の準備が、何ひとつないのだから。


小豆は、見た感じでは
「あと1年、生きれるかどうか」
「立てなくなって要介護になる日はかなり近そう」
という容態。
でも、それは覚悟した。

琉球犬、縄文犬、天然記念物、猟犬、沖縄犬、 【3月14日に設置した野犬狩りの檻にはまだ1頭も捕獲されていない】

我が家はRIN(凛)君の犬舎と化しているので、
室内で小豆を飼うのは困難が予想される。

RIN(凛)君の荒々しい性格では、
可愛い牝犬ならともかく、介護が必要な痴呆の老犬と
いきなり同居なんて、ヤツならとても黙っていないはず。


かといって、RIN(凛)君を敬愛する野犬のフサオ軍団だって
元飼い犬で高齢な小豆は、
他の野犬グループとの抗争が日常的にある仁義なき環境では
老犬は厄介な足手まといになるはずで、
仲間に受け入れない可能性は相当高いはず。


なので、第一案は、
「自宅のデッキで飼う」
という方法。


これだと、夜間は兄貴は室内だし、
昼間は兄貴を庭か外に放してしまえば
兄貴と小豆は顔を合わせることが最小限で済むはず。


ウッドデッキは6坪は十分あり、
母屋に隣接し居間のアルミサッシから出入り出来るし、
またデッキから庭に出入り出来る構造になっている。


RIN(凛)君が庭から外に出られないように、
格子状の柵を関所のように2か所作ってあり、

また、低めのブロック塀も、RIN(凛)君が乗り出さないように
バラのブロックやサンゴの化石などを積み上げて、
庭からの脱出や外からの侵入を困難にさせているので、
小豆が居住するには安心とは言えるはず。


防虫ネットも、まだ20m以上は残っているから、
今夜は蚊の対策が出来ないけど、
明日にはデッキは防虫ネットで囲えそうだ。


アルミサッシを開ければ居間からデッキに出られるし、
夜間は電灯を点けておけば、小豆の様子はいつでも見れる。


もし小豆がデッキ居住を気に入らなければ、
RIN(凛)君をなだめすかして自宅内に住ませるしかない。
けど、これはなかなか難問。
この場合どうするかは、その時に考えることにした。


「デッキもイヤだし、RIN(凛)君との同棲生活もイヤ」
というなら、
「野犬のフサオ軍団との相性診断」
が必要になるけど、
これだと、介護が必要になるはずの小豆の面倒は
私は看れなくなる。


なので、
「小豆がデッキを気に入ってくれればいいけどね」
と考えていた。


それを私が気にした理由は、
小豆の右耳がつぶれていたので、
「小豆はケージに長いこと入れられていて、
出ようともがいて耳を傷つけた」
と予想したから。


つまり、小豆は「室内飼い」だった可能性があり、
「デッキといえども外飼いを嫌がるんじゃないかな」
と思ったから。

琉球犬、縄文犬、天然記念物、猟犬、沖縄犬、 【兄貴を敬愛するフサオ分隊だけど小豆は受け入れない、非情だけどしょうがない】

夕方帰宅すると、
野犬のフサオ分隊が門の前で兄貴の帰りを、
今や遅しと待っていた。

なので、最初にフサオ分隊と小豆の相性を
確かめてみることにした。


小豆を助手席で抱き上げ、フサオ分隊の近くに置いて
私が5mくらい離れてみると、
隊員たちが次々に小豆に近寄り、小豆の臭いをクンクン嗅ぎ回し、
そのあと隊員たちは鼻先で小豆を小突き始めた。


小突かれるたびにふらつく小豆は、
怒ろうとするけど怒る気力がなく、
力なくヘナヘナと地面に伏せる状態になり、
分隊は遠巻きに小豆を取り囲んでいた。


要するに、フサオ分隊は
小豆の受け入れを拒絶したということだよね。
それで小豆は「デッキで飼う」ことに決定した。

琉球犬、縄文犬、天然記念物、猟犬、沖縄犬、 【軟弱系フサオ分隊でも小豆は足手まといで入隊拒絶】

デッキに布団と大きめの空の段ボール箱を横にして置き、
水を入れた茶碗と夕食を置いた。

小豆は、かなり古い青い首輪をしているので、
RIN(凛)君の散歩用ロープにつないだ。
小豆は騒がず、静かに寝た。

琉球犬、縄文犬、天然記念物、猟犬、沖縄犬、

翌朝、フサオ分隊は門の前に兄貴を迎えに来て
全員整列しているので、兄貴はフサオたちに任せて開放した。

これで2時間は私も自由になるので、
家の周りを小豆を散歩させトイレを済ませたり、
茶碗の水を入れ替えたり、朝食を出したりして、
小豆はデッキでロープを外して自由にさせた。


家事とか終わらせて、
兄貴を呼び戻して風呂場で脚を洗い兄貴の朝食を出して
小豆の様子を見ると、小豆がいない。


デッキの格子をすり抜けて、
小豆は庭に降りて、地面をフラフラ歩いていた。
同じところをグルグル回るような感じで。


目が悪いのと痴呆が入っていることで、
塀を頼りに進もうとするのだけど、
塀沿いには風除けと外からの目隠しのために植栽がしてあり、
小豆は樹の幹に引っかかって前に進めず、
動けなくなっている。


小豆を引っ張り出しても何度も同じ状態になるので、
小豆はそのまましばらく放置した。


午後になって小豆の様子を見に行くと、また小豆がいない。
デッキから降りた庭は、昨年RIN(凛)君の脱走防止目的で
柵で囲ってあり、小豆は脱走は不可能なはず。
なのに、どこを探しても小豆はいない。


午後、RIN(凛)君と一緒に小豆を海に連れて行き、
小豆を海水で浸してあげようと思っていたのに。


「犬を海で泳がせれば皮膚病が治る」
と、琉球犬研究の新垣先生から、だいぶ前に教えて頂き、
昨年亡くなったラブラドールレトリーバーのRIU(琉)君が
元気な頃から、海は犬散歩に欠かせない場所になっている。


私は動物病院に行かない主義。
予防を心がけて、病気になっても
自然にある薬草などで直すように心がけている。
もちろん犬だけでなく、私も同じで、
もし私が癌になっても治療はしないと心に固く決めている。
ありのままを受け入れる主義だから。


実際にRIU(琉)君は海水だけで皮膚病が何度も治癒した。
RIN(凛)君にギシギシやハイビスカスを使うのもその一環。

琉球犬、縄文犬、天然記念物、猟犬、沖縄犬、 【皮膚病予防に効果がある雑草というより薬草ギシギシ】

小豆が、もしかしたら脱走したのかもしれないと思って
外もあちこち探したけど、どこにもいない。
フサオ分隊のいじめを受けたような様子もない。

不思議に思いながらも途方に暮れてあきらめかけていたら、
夕方デッキの下から小豆が這い出してきた。
デッキの下は懐中電灯で照らしたのだけど、
何かの陰で発見できなかったみたいだね。


夜になって、小豆は放心状態なのか心神喪失なのか、
布団に横たわり、寝てばかりになった。
少し環境に慣れて、安心して落ち着いたのかもしれない。

琉球犬、縄文犬、天然記念物、猟犬、沖縄犬、

小豆を連れて来てから2度目の朝を迎えた。
小豆は昨夜から布団に横たわっているけど、
トイレのために、首輪にロープをつなぎ
家の周りを歩かせた。

昨日よりゆっくり歩き、黄色い濃いおしっこを大量にした。
腎臓や肝臓機能がかなり悪化してるみたいだけど、
小豆は痛みや苦しみがどうなのか、
とにかく声を出さないし、表情がないので判らない。


そんな無表情の小豆が、朝散歩で2回笑った。
想い出し笑いのように、ニカッとして
遠くを見るように10秒ほど笑った。


昔、元の飼い主との楽しかった頃を思い出したのか、
痴呆なので、私を元の飼い主と間違えたのかもしれないね。

琉球犬、縄文犬、天然記念物、猟犬、沖縄犬、

散歩といっても100mも歩いてないし
途中休憩が多く、20分程度で終わりだけど、
トイレも無事に済ませたし、デッキに戻り横たわる。
琉球犬、縄文犬、天然記念物、猟犬、沖縄犬、 【小豆の体を何度も拭いてあげると綺麗になった】

小豆はとにかく汚れているので、
バケツに水を入れて、何度も汚れをふき取り、
ブラッシングをしてみた。

もちろん痛がるなら止めようと思っていたけど、
小豆は何となく気持ちが安らいで
喜んでいるように見えた。

琉球犬、縄文犬、天然記念物、猟犬、沖縄犬、 【かなり古い首輪をしていた小豆、仔犬の頃から交換せずにずっとしていたんだろうね】

小豆の体は見違えるように綺麗になったけど、
右腰や右肩など、3か所に穴が開いているのを見つけた。

そこには1cm前後のウジ虫が湧いていた。
それで異臭がしてハエがたかっていたんだね。


見えるウジ虫を割り箸で取り除いた。
37匹もいた。
体の穴は体内から出来たようで、血は出ていない。


元の飼い主は、小豆の余命が短いことを知ったうえで
捨てたに違いない。
ひどいヤツだね。

琉球犬、縄文犬、天然記念物、猟犬、沖縄犬、 【左肩の穴にもウジが湧いていた、まさに満身創痍の小豆】

小豆は体が少し楽になったのか、
安堵したような穏やかな顔になったのだけど、
今度は小豆の体が冷えてきたので、
小豆にマッサージをした。
琉球犬、縄文犬、天然記念物、猟犬、沖縄犬、 【犬用マッサージの本はけっこう出ている、もちろん兄貴にもしてるよ】

昨年亡くなったRIU(琉)君の介護は1年半くらいかかり、
その時に犬マッサージの要領を学習した。
きっと犬マッサージの国家資格があれば、
私は合格できるレベルのはず。

体重が40kg近かった大型犬のRIU(琉)君からすると、
小豆は小さく軽いので、マッサージも楽だった。


マッサージをしているのに小豆の体温は冷える一方。
マッサージ効果なのか、うんちが少し出た。


それから5分ほど経った午後1時半、
私の手の中で、小豆はあっけなく
苦しまずに息を引き取ってしまった。

琉球犬、縄文犬、天然記念物、猟犬、沖縄犬、 【静かに眠るように息を引き取った小豆】

車がアイドリング状態の時に、コトンとエンストみたいに
目も開けたままで身動きせずに逝ってしまった。

小豆は寂しくて、誰かに看取られたかったんだね。
本当は飼い主に看取って欲しかったに違いないけどさ。
でも連れて来てから2日目で死ぬなんてまったく予想外だった。


私に面倒をかけまいと気遣いしたんだろうね。
そんな遠慮はしなくて良かったのにさ。
小豆との想い出をたくさん作ろうとしていた、
まだ始まりだったのに。

琉球犬、縄文犬、天然記念物、猟犬、沖縄犬、 【兄貴に見送られて、小豆はニライカナイへ旅立った】

与那覇岳の霊水は、半月前から行く予定だったけど、
雨天が多かったりして伸び伸びになり、
2日前に急に思い立って行った。

当日もほんの5分も違ったら、小豆とは出会っていないはず。


しかも最初の出会いでは小豆は車に乗らず、
私が霊水を取りに約40分かかって戻ってきたら
また小豆に出会い、今度は車に乗り込んできた。


なので、小豆との出会いは必然としか思えない。
出逢うべくして出逢った、運命としか思えない。


小豆が亡くなった3月9日(水曜)の明け方は、
小豆が横たわるデッキに向かって、
RIN(凛)君が10分くらい激しく吠えていた。


RIN(凛)君が小豆に吠えたのは、
小豆が車に乗り込んだ時と、この明け方の2回だけ。
小豆の両親や先祖たちが、
明け方お迎えに来ていたのかもしれないね。


また、小豆が逝った3月9日は新月の大潮で、
午後1時半は干潮に重なる。


「人は満潮のとき生まれやすく、干潮のとき亡くなりやすい」
とか、
「満月の夜は犯罪が多い」
とか、
「満月や新月の時に生理になる人が多い」
とか、
潮の満ち引きが地球の動植物の生態に影響があるとか、
そんなの迷信で因果関係がないとか、
いろいろな説があるけど、
小豆が新月の干潮に亡くなったので、引力説は信じたい。


小豆の遺体は、我が家に隣接するバナナ園内の
昨年亡くなったRIU(琉)君のお墓の隣に埋葬した。
その前後30分だけ、青空が出た。


RIU(琉)君には
「小豆の面倒をみてあげてね」
とお願いしておいた。


小豆との不思議な出逢いと別れは、
心霊研究家のつのだじろう氏や
超常現象探求の中岡俊哉氏に聞いてみたいくらい。

琉球犬、縄文犬、天然記念物、猟犬、沖縄犬、 【小豆が生きてるうちに海に連れて行ってあげたかった】

アニマルセラピーで、
近年は高齢者が犬を飼うのが流行っている。
飼い主が病気になったり、引っ越したり、
飼い主には色々な事情があると思うけど、
犬は使い捨てのおもちゃではなく、
尊い命がある生き物で、家族なんだから、
ただ「可愛い」というだけで飼ってはダメだよね。

犬は半年くらいまでは無邪気で可愛い。
でも、10年も経てば老犬になり、
その後は目は見えなくなるし、ボケるし、
おもらしもするし、足が弱くなって立てなくなったりする。
人間と変わらない。

最後まで責任を持って飼う気がないのなら
最初から飼わなければ良い、というより
犬を飼う資格がないと思う。


犬は可愛がった分だけ癒してくれる。
癒してくれた犬へのお礼は、
最後まで感謝しつつ看取ってあげることだと思う。


哀れな小豆、ホントの名前は何?

琉球犬、縄文犬、天然記念物、猟犬、沖縄犬、