ハイサイ、RIN(凛)ですニコニコ
琉球犬、絶滅危惧種、天然記念物、縄文犬、 【何か食べてる夢を見てる兄貴】

名護図書館で、
「琉球動物史」(著・伊波盛誠、ひるぎ書房、1979年刊)
という古い本を借りた。

琉球では有史以前から棲息していた家畜は牛と馬だけで、
豚や山羊(やぎ)、闘鶏チャーン、観音アヒル、烏骨鶏などは
中国や南海諸島から導入されたらしい。


その目的は、明などの進貢や
枯渇に瀕する孤島経済を潤すためだけど、
それらの導入には先人には大変な苦難があり、
先人の功績を称えた興味深い内容が書かれている。

琉球犬、絶滅危惧種、天然記念物、縄文犬、 【バッタが跳ねたら捕まえようかと思案する兄貴】


この本には、琉球犬についての記述もあった。
以下、「古代の琉球犬」のコピペ。


琉球国には古代から畜犬が飼育されていたものと思われる。
本土では第12代景行天皇の皇子日本武尊が東夷征討(4世紀頃)の際、
群馬県下の上野村にご滞在中、同地の犬が主人に従順で
外敵に剛なる点を賞されて
「まれにみる良犬の産地である。今度十石犬と称せよ」
と命名され、住民に対しては愛育せよといわれ、
数匹を従犬として連れていかれたといわれている。


この十石犬は猪狩犬として
徳川時代に日本一の折り紙をつけられたといわれている。


この種の犬は一般に柴犬と呼ばれ、
産地としては群馬、長野、岐阜、鳥取、島根地帯となっているが、
古代の琉球犬は琉球百話にもあるとおり、
その特徴は耳が立ち、尾は巻き上げ、脚が高く、肥満せず、
感覚鋭敏動作敏捷で毛色が淡赤色である点から、
鳥取島根の柴犬と同様な犬が、
琉球内に飼育されていたことが明らかにされている。


この種の犬は、国頭地域に猪狩犬として
大正の晩年まで相当数飼育されていたといわれている。


昭和初期になって時の政府が、琉球犬の保存に努力すべく
沖縄県に調査方を依頼したが、
既に絶滅した後のことで、天然記念物として保護すべき点から
沖縄県としても誠に残念なことだと思われる。

琉球犬、絶滅危惧種、天然記念物、縄文犬、 【離れた渓谷で野犬の吠え声が聞こえて、気になる兄貴。右奥に野犬狩りの檻(おり)がある】

この本が発刊されたのは1979年。
琉球犬研究の権威・新垣義雄先生は
当時県の農林水産部の畜産獣医で40代前半、
県下のあちこちに派遣されて
畜産動物の健康管理に奮闘していた時期にあたる。

名護市を拠点として、国頭村にもひんぱんに来ていたらしく、
沖縄の畜産の歴史にも、新垣先生は詳しい。


新垣先生が琉球犬の種の保存をいつ頃から始めたのかは
直接聞かないと判らないけど、
新垣先生を初代会長とした琉球犬保存会は
1990年(平成2年 )に設立し、
1995年(平成7年)に、
琉球犬が沖縄県の天然記念物に指定されている。


この本の著者・伊波盛誠(いはもりまさ)氏は
1911年(明治44年)生まれだから
1990年で79歳、1995年で84歳なので、
まだ元気だったと思われる。


伊波盛誠氏の略歴では、
1969年(昭和44年、58歳)琉球政府農林局琉球動物検疫所長、
1972年(昭和47年、60歳)勧奨退職となっているから、
新垣先生の30年前後先輩に当たるので、
おそらく県庁職員時代に面識があるはずで、
伊波盛誠氏は後輩の新垣先生が
琉球犬を天然記念物に指定させたことを
喜んでいたんじゃないかな、と思う。


今度、新垣先生に聞いておかないといけない。
電話だと早口で話されるからメモも取れないんだよね。
もっと家が近かったらいいんだけど。

琉球犬、絶滅危惧種、天然記念物、縄文犬、 【気分よく寝ている時に物音がしてボーッとする兄貴】

14世紀の琉球は三山、つまり北山(ほくざん、今帰仁城)、
中山(ちゅうざん、浦添城)、南山(なんざん、大里城)という
三つの王統が並立する時代が約100年続き、
いずれも中国の明帝国から与えられた大型船で
馬などを貢いでいたらしい。

伊波普猷氏(いはふゆう、民俗学、言語学、沖縄学者)の説によると、
「三山時代の南部島尻地区住民は主に漁業、
中頭地区は農業、国頭地区は狩猟を業として生計を立てていた」
と記してあるので、
日本では2度に渡る元寇を撃退した鎌倉時代、
ヨーロッパでは人口の半分以上が死亡したペストの大流行の後、
イタリアルネッサンスが生起した14世紀には、
やんばるでは、琉球犬によるイノシシや山羊猟が
盛んに行われていたことになる。


なにしろ琉球犬は縄文犬といって、
弥生犬の日本犬より歴史が古いのだから、
いわば沖縄の歴史の生き証人といっても過言ではない。


せっかく沖縄県の天然記念物に指定された琉球犬も、
保護活動は個人に任され、県の支援はない。


現在は、保存会は活動休止中。
ピーク時に約1500頭いたといわれる琉球犬は、
今や300頭前後しかいないらしい。


ヤンバルクイナは過剰な保護活動で2000羽以上に増えているはずだから、
ヤンバルクイナより琉球犬の方が絶滅危惧種なんだけどね。


次回に続く。

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