
4年前までは、我が家に隣接するバナナ園に、
リュウキュウイノシシがひんぱんにやってきて、
バナナの株を掘って食べていた。
夕方、イノシシと遭遇したことも数回あった。
当時は約50本のバナナを栽培していたけど、
40本はイノシシ害に遭った。
その招かざる客が、ピタリと来なくなった。
「まあ、野犬も増えているしね」
と、その理由は簡単に済ませていた。
やんばるの亜熱帯の森は、
ブナ科のイタジイやマテバシイ、オキナワウラジロガシ、ウラジロガシ、
アマミアラカシの5種類のシイノキが約7割を占めていて、
それらの大量のドングリがエサの少ない冬場に、
リュウキュウイノシシや、ケナガネズミ、オキナワトゲネズミ、野鳥など
多くの生き物が、シイの実に支えられて生きている。
リュウキュウイノシシが里に下りてくるのは、
森にドングリが少ないことを意味する。
やんばるの森は、シイ系やタブノキ、ホルトノキ、
ヤマモモ、イジュなどの高木が林冠となっていることで、
森を覆う高木が、近年の台風の大型化で著しく被災してしまい、
本来は一年中常緑の密林みたいな森の樹木が、
本土の高原の白樺(しらかば)のような殺風景な景観になって、
動物の食糧源になるどんぐりの量が激減しているため、
イノシシは里に下りて来ざるを得ない。
実際、RIN(凛)君散歩で林道を上がっても、
道端でどんぐりを見かけることはほとんどない。
先日、RIN(凛)君がウリ坊と遭遇した時に、
そのウリ坊を元々追っていた野犬がいた。
彼らは、食糧難の森から里に下りて来るイノシシを、
里の手前の森で獲って生活しているに違いない。
里に近い森に棲む野獣系狩猟派の野犬がいる一方で、
我が家近辺の、阿呆豚舎や死の谷の
野ざらし病死豚を当て込む軟弱系の野犬もいる。
「不衛生でも、確実に食べられる方がマシ」
「イノシシは獲れない日があり、不安定だからイヤ」
という考えは、決してネガティブとはいえない。
ある意味、安定性を求める就職の公務員志向みたいなものだから。
人間でも肉食系と草食系がいる。
この場合は、肉好き派とベジタリアンという食べ物での分類ではなく、
体育会的ガテン系ムキムキ男性と中性的穏便系軟弱男性という分類。
草食系男性は、とにかく争いが苦手で嫌い。
傷つけられることも嫌いな平和主義というタイプ。
ふつう「コテコテ」というと、大阪弁で、
大阪っぽさをベタに表わそうとするような意味だけど、
RIN(凛)君の「コテコテ」というのは、
野犬が次々にコテンコテンと横になって仰向けになり、
お腹を見せてGIVE UPの降参状態になって、
RIN(凛)君にモミ手すり手でゴマをすり、
RIN(凛)君を兄貴とあがめたてる弱っちぃ野犬のことをいう。
最近は、この「コテコテ」が増えている。
RIN(凛)君が追い回すと、ゲームのようにとにかくパタパタ倒れ
RIN(凛)君を兄貴と敬愛する。
我が家付近の草食系野犬たちは、尻尾を振って兄貴を迎えに来たり、
兄貴の散歩に付いて来たりするのも現れている。
軟弱軍団からすると、肉食系武闘派の野犬野武士軍団の襲撃から
縄張りを守るために、真田幸村や源義経、
三国志の張飛、関羽、趙雲、呂布といった
猛将タイプのリーダーに統率してほしい。
それでRIN(凛)君を頭に迎えたい、と
三顧の礼を尽くしているのかもしれない。
今や、我が家近郊ではRIN(凛)君は牢名主状態。
だけど、RIN(凛)君は
「コテコテ」犬は苦手というか嫌がっている。
「コテコテ」にはほとんど相手しなくなってきた。
野犬は野獣系と軟弱派に別れたので、
RIN(凛)君がウリ坊と遭遇した時に出てきた野犬は、
野獣系ムキムキ派だったんだね。
どうりで吠え方に迫力があったし、吠え声も大きかった。
RIN(凛)君は野犬を追いかけたけど、
野犬は弱いから逃げたのではなくて、
野犬のアジトの方に兄貴をおびき寄せて、
仲間に包囲させる戦術だったのかもしれない。
野獣系と軟弱派がいるなら、
クレオパトラや西太后、神功皇后、卑弥呼のような女帝や
ジャンヌ・ダルクや巴御前のような女傑のいる軍団もあるかもしれないし、
精鋭の女傑たちで結成したアマゾネス軍団がいても
おかしくはない。
RIN(凛)君は野獣系の男軍団には気を抜かないだろうけど、
宮崎ゲス不倫元議員や狩野英孝みたいに、
オンナで自爆しかねないから、
アマゾネス軍団にはくれぐれも注意してほしい。
まあ、RIN(凛)君はセンテンススプリングには載らないと思うけどさ。