
沖縄は12月中旬に大寒波になり、その後25℃を超える夏日が続き、
今日はまた寒波、風雨でより寒く感じる。
体調が悪い中、新垣義雄先生がお昼に我が家を訪問され、
久々にRIN(凛)君とご対面。
また、湧川商会が卸して回収した、期限切れ食品も
毎度のことながら大量に頂いた。
RIN(凛)君は今年の正月に産まれてから、
我が家に届けられるまでの約3か月半、新垣先生に飼われていた。
「犬は三日の恩を三年忘れず、猫は三年の恩を三日で忘れる」
という有名なことわざがある。
「犬は三日可愛がって飼えば、
主人を慕うようになり、その恩を決して忘れない。
まして人間は恩知らずになってはいけない、
恩を受けた人には感謝の気持ちを忘れてはいけない。
猫は三年間飼っても、その恩を三日で忘れてしまう。
猫はつれない動物だよね。」
そういう教え。
RIN(凛)君は4月の2回目のワクチン予防接種、
6月の狂犬病の予防接種と、
3月以降2度も新垣先生の100km超の往診で、
我が家で注射を受けている。
それから半年経ち、
RIN(凛)君が新垣先生にどういう態度をとるのか
いろいろ想定していた。
以下は4、6月の注射往診でのRIN(凛)君の態度。
「新垣先生に、喜んで飛びつき尻尾を振る」
「新垣先生の軽トラックには、連れ戻しを警戒して近づかない」
今回も、おそらく前回と同様だろうな、と予想していた。
「犬は三日飼えば三年恩を忘れない」
のだから。
寒い風雨の中、お昼頃に新垣先生が軽トラックで着いた。
RIN(凛)君は「怪しい侵入者が近づいた」とばかりに、
激しく威嚇して吠えまくる。
この時点で、RIN(凛)君を、一応ロープでつないだ。
新垣先生は、車から降りるなり
「RIN(凛)!久しぶりだな、元気そうだな!」
と、優しく声をかけても、
RIN(凛)君は狂ったように唸り声をあげて飛びかかろうとするので、
私の指に巻いたロープが勢いよく引っ張られて、指が千切れそうに痛い。
新垣先生をデッキのテーブルに案内し、
RIN(凛)君は室内に入れた。
RIN(凛)君は窓ガラスにピョンピョン飛び上がって、
気に入らない不審者を排除しようと警戒、威嚇を続け、
固くて重いアルミサッシを開けて出て来ようとする。
あまりにうるさいから、RIN(凛)君は浴室に閉じ込めた。
「犬は三日飼ったら恩を忘れない」
というのはデタラメだね。
新垣先生によると
「犬は時々会っていれば忘れないけど、
半年も会わないと忘れてしまうことはよくあるよ」
と。
RIN(凛)君はバカ犬ではなさそうで安堵(あんど)。
新垣先生は高齢のために、20頭いた犬のつがい5組を、
琉球犬保存会の仲間、糸満市、与那原町、読谷村、沖縄市、本部町に預け、
「仔犬の譲渡は自由にしてOK、売れない仔犬は引き取る」
ということにして、現在は10頭を飼っているという。
また、日テレの「天才!志村どうぶつ園」から出演オファーがあり、
返事を保留中とか
国頭道の駅のイノブタ料理店での昼食で、
新垣先生が以前、琉球犬の牝犬を譲渡した関さんの奥さんが厨房にいて、
懐かしく話が出来たとか、
名護市立博物館の館長・島袋正敏さんと名護犬(琉球犬)を集めたこと、
島袋氏が山原島酒之会を設立し、昨年7月に82歳で亡くなるまで会長を務め
「古酒は子や孫に引き渡すことのできる文化遺産である」
というのが持論だったことなど、
有意義なお話が伺えた。
本部や大宜味にいるRIN(凛)君の兄弟たちは、
RIN(凛)君よりひと回り小さいらしく、
「RIN(凛)は八重山種の遺伝が濃く出たので大きい」
と言われた。
また、
「RIN(凛)君の母犬が、夏に犬パルボウイルス感染症で3歳で亡くなった」
という悲しい知らせも。
RIN(凛)君は4日後の元旦に満1歳になる。
人間でいえば高校生くらい。
私も高校在学中に母を亡くしている。
私の誕生日も元旦だし、RIN(凛)君とは共通点が多いね。
「犬は三日飼ったら恩を忘れない」
というのは、人間社会では
「一宿一飯の恩義」
といったところだろうけど、
「犬は三日は食事と寝床を与えないと恩義を感じない」
どころか、
RIN(凛)君のように半年会わないだけで不審者扱いする不届き者もいる。
ま、人間でもそういうのは多いよね。
犬の立場で考えてみると、
犬には「恩義」という概念が、おそらく無い。
数千年前に、犬がヒトと暮らすことを選択したように、
人恋しいだけなのかもしれないよね。
飼い主といつも一緒にいたい、
可愛がられ、撫でられ、褒められの「構ってちゃん」でいたい、
人に飛びつくのが大好き、
イタズラが大好き、
人の手や顔をなめるのが大好き。
…
人が好きだから、信じられそうだから
数千年前に犬は人と暮らすことを選択したのかもしれない。
人と触れ合ううちに、犬は
「人間となら、一緒に暮らしていけそうだ」
と思ったに違いない。
また、犬の社会といえば、
リーダーを頂点とする「ピラミッド型」を形成する、といわれている。
単独の一匹狼型より、多頭数で行動する方が攻撃面でも防御でも有利だけど、
それぞれがバラバラで好き勝手の自由行動では群れとしては弱い。
そのため、臨機応変の判断能力があり、グループ内で最も強く、
大勢を引っ張ってくれる頼れるリーダーを頂点とした階級社会が構築されていった、
と考えられている。
人間側からみると、その階級ピラミッドでは
「飼い主がリーダーで、犬を支配している」
と決めつけてるけど、
犬側からすると、必ずしも
「飼い主をリーダーとは思っていない」
のかもしれない。
数千年前、犬がヒトと暮らすことを選択したまま、今に至っているだけで、
人が勝手に
「犬は人の言うことを聞くものだ、言うことを聞くのは当たり前だ」
と、上から目線で決めつけているだけかもしれない。
犬を飼えば、当然上下関係が構築され、
以降「良い関係」を継続することは可能だろうけど、
犬には犬の考えや自己主張があっても、まったくおかしくはない。
なので、素直に言うことを聞く犬と、
RIN(凛)君のように従わないとか逆らう犬がいるんじゃないのかな。
人間社会の中で犬を飼うということは、
犬が人に迷惑をかけないことを前提とした厳しい規制が敷かれ、
「犬は人に絶対的に服従させることが、犬との生活上必要不可欠」
という考え方も、たしかにあるはず。
また、町ではそうしないと人も犬も不幸かもしれない。
犬の性質からすれば、階級の上下関係を完璧に築き、
犬が人の下であることを徹底的に教え込む、
「しつけ」と称する教育が必要だ、という考え方も理解できる。
だけど、犬が「ヒトと暮らす」ことにした、という裏返しで
「ヒトも犬と暮らすことを選択した」
とも言えるはず。
ということは、人と犬は対等な関係ともいえる。
RIN(凛)君は、ちと自己主張が多すぎるけど、
そういう犬がいたっていいんじゃないかな。