
沖縄は暖かい南風が吹いて、3日前から夏の暑さが続いている。
ヤンバルでも気温は午後には25℃を超え半そででも十分の暑さ。
12月下旬に3日連続で25℃以上の夏日が続いたのは、
1991年以来、24年ぶりのことらしい。
沖縄では、今の時期はウージ(サトウキビ)とススキの銀世界が広がっている。
沖縄でのサトウキビ栽培は、一応基幹産業ということになっている。
沖縄本島でも中南部ではウージ畑をよく見かけられるはず。
たしかにサトウキビ畑の面積は、沖縄県の農地の約半分を占めているけど、
収益性はひどいのひと言。
広大な面積を少人数で管理できるならいいけど、
沖縄の1農家当たりの平均農地面積は約3000坪で、本土の約半分しかない。
しかも、サトウキビは1000坪当たり、25万円もいかないはず。
狭い面積でサトウキビを栽培したら、農家の生活は絶対に成り立たない。
サトウキビは、イネ科サトウキビ属の植物。
11月中旬頃から2月頃にかけて、サトウキビの花(穂)が咲き始め、
一面の銀世界に染まる。
サトウキビの花(穂)はススキに似ているけど、
ススキの穂はお辞儀をするように垂れる。
サトウキビの穂は、真っすぐに直立する。
サトウキビの高さは、真っすぐに伸びたものは4~5mにも成長し、
1~3月が収穫時期。
サトウキビは、年に2回、苗の植え付け時期がある。
「春植え」は3~5月に植え付けし、3月に収穫する約1年モノ。
「夏植え」は7~9月に植え付けし、2年後の1~3月の約1年半モノ。
夏植えは、春植えの約40~50%収量が多いらしい。
サトウキビの花(穂)は、正しくは「出穂(しゅっすい)」といい、
出穂は成長を止め、糖分をたくわえ始めた合図で、
この後収穫時期を迎えることになる。
収獲は、狭い農地だったら人力で、鎌でかき切る。
平坦で四角く、ある程度広い農地では、ハーベスタという刈り取り専用車で刈り取る。
刈り取ったサトウキビは、葉を落とし、抱えられるように束でヒモで巻き、
大型ダンプに満載して製糖工場に運ぶ。
北部での山地ではススキが多い。
観光客はサトウキビなのかススキなのか、勘違いする人も多いはず。
我が家の近郊はススキばかりでウージ畑はほとんど見られない。
ススキは、秋を代表する七つの草花、
・萩
・尾花
・葛(くず)
・撫子(なでしこ)
・女郎花(おみなえし)
・藤袴(ふじばかま)
・桔梗(ききょう)
に入っている。
「ススキが入ってないよ」
というだろうけど、「尾花」がススキのこと。
ススキはイネ科の多年草。
「入母屋(いりもや)造りの茅葺(かやぶき)屋根」
というと、岐阜県の白川郷で合掌造りの古民家とか
最近は田舎でもほとんど見かけなくなった。
私の実家では私が中学生の頃に、
江戸後期から続いた茅葺屋根のや家を、ふつうの家に建て替えた。
ススキは、どこにでも生える雑草なので、有史前から屋根材として利用されていた。
カヤ(茅)はススキのことで、
茅葺き屋根の大部分は、ススキを乾燥させて積み重ねて屋根材にしてある。
また、米俵、炭俵、草履(ぞうり)、箒(ほうき)など
古来からススキはいろいろ利用されてきた。
「秋の野の 美草(みくさ)刈り葺(ふ)き 宿れりし
宇治の京(みやこ)の 仮廬(かりいほ)し念(おも)ほゆ」
万葉集(巻1-7)の額田王(ぬかたのおおきみ)の歌。
ただし「いまだ詳(つばひ)らかならず」と書き加えられていて
「ホントに額田王の作かどうかは不明」とある。
額田王が、かつて旅先で過ごした宇治の仮の宿を懐かしんで詠んだ一首、
ということにしておこう。
「秋の野のススキを刈り、屋根を葺(ふ)いて宿った宇治の行宮での仮宮が
懐かしく想い出されるね」
という意味。
万葉集には、美草、薄などのススキの名で17首、
尾花が19首、萱(かや)が10首と、けっこう多く、
古来からススキが日本文化に貢献していたってことが判る。
ススキの語源は、
「スクスクと育つ木(草)でススキ」
とか
「稲などに似た草ススケが、ススキになった」
とか、
「細い意味を表す「ス」を重ねたススに草(キ)がついてススキ」
とか、いろいろある。
そんなのは、どれでもいいやね。