
「アカマタ」というのは、南西諸島に生息する無毒ヘビ。
気が荒く、
「アカマタがいる場所にはハブはいない」
といわれているけど、それは迷信。
アカマタとハブは、対決すると、
原則的には体長が大きい方が相手を飲み込んでしまうらしい。
エンジン付き草刈り機で雑草を刈ると、
ハブは真っ先に逃げるけど、アカマタとヒメハブは逃げないので、
草刈り中に刃で胴体がズタズタに切られた死体をよく見る。
「アカマタは気が荒く、人に向かってくる」
とも聞く。
我が家近辺にはアカマタやハブもいるけど、
彼らが私に向かってきたことは一度もない。
もちろん、私もヘビを殺す気はない。
ヘビは目が退化してほとんど見えないから、
温度センサーの舌をチョロチョロ出して、
どんな動物がどのあたりにいるかを判断している。
ヘビからしたら人間や犬は大きいから、
戦うと死を覚悟しなければならなくなる恐れがあり、
ヘビの自衛テリトリー範囲の約1m圏内にさえ入らなければ
ヘビと人間は共生できる、というのが私の考え。
実際に、我が家に隣接する外の納戸付近には
3年前まで成体のアカマタが住んでいた。
胴の直径が約5cmはあったから、おそらく体長は2m超級のはず。
ネズミやカエル、ヤモリ、イモリなどを捕食していたのだと思う。
私が近くを通っても、ほとんど身動きをしなかった。
3年前に、山原(やんばる)には瞬間風速が70km/h級の大型台風が
夏以降相次いで3回襲来したことがあり、
アカマタは、その時に住まいを引っ越したようで、
アカマタの子供は見かけるけど成体の姿は見えなくなっていた。
今朝はRIN(凛)君が、
我が家の西側のブロック塀の外側の草むらに飛びかかった。
ヤツは、草丈が長いと、キツネのようにピョンピョン跳ねて移動する。
なので、何か動物を捕まえるのか、単なる移動なのか見分けがつきにくい。
ヤツはまだ仔犬のくせに、今まで3回も、
草むらに潜むカラスを捕まえて、半殺しにしているので、
ヤツはカラスからは天敵と認定されている。
カラスの場合は、ヤツは飛びかかった時にまずカラスを前脚で押さえつけ、
瞬時にカラスの足を咬んで、カラスを右に左に
ブルンブルンと振り回すのがヤツの得意技。
ヤツにとってはカラスは遊び道具に過ぎない。
今朝も、草むらに飛びかかったので「また、カラス?」と思ったら、
小さなヘビを咥えて、右に左に振り回して、子ヘビを駐車場に放り投げた。
子ヘビをよく見ると、アカマタ。
まだ孵化して、1か月も経ってないんじゃないかな。
おそらくハブと同様に、8匹前後孵化して、
年に1匹ずつ死んでいき、8年目には1匹が生き残るような確率なのだと思う。
コンパニオンアニマルとしての犬や猫が平均15年の寿命だとすると、
野良犬や野良猫の寿命は3~5年といわれる。
過酷な自然界で長く生き残るためには、かなり運が左右するようにも思われる。
ヘビは胴体を車で轢かれるとか、棒で叩かれると、
その場では死なずに、その場から逃げる。
けど、骨折してしまうと、数時間以内に死んでしまう。
ヤツが咬んだアカマタは、駐車場でほどなくして逝った。
可哀そうだけど長く苦しむよりは、まだマシかもしれない。
ヤツもヘビを殺すつもりは無かったのだから傷害致死。
人間でいうなら、
「刑法第205条(傷害致死)
身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、3年以上の有期懲役に処する。」
殺人との違いは、殺意の有無にかかる。
自然界は厳しく、強者が弱者を食べる食物連鎖になっているけど、
今朝のヤツの子ヘビに対しての仕打ちは、残念で後味が悪い。
ヤツに代わって、子ヘビに謝罪し、冥福を祈りたい。