ハイサイ、RIN(凛)ですニコニコ
【オキナワシリケンイモリがゆっくり移動中】


RIN(凛)君の朝散歩中にオキナワシリケンイモリと遭遇。
イモリは「井」を守る、つまり水の神。
(ヤモリは家(ヤ)を守る(モリ)家の神、沖縄ではどこの家にもいるよね)
農耕民族にとって、水はその状況によって収穫に直結する重要な要素なので、、
古来から水のある場所、水源地や井戸、水くみ場、池、湖、田などには
「水の神」=「水神」が祀(まつ)られてきた。


水神の象徴として河童、蛇、龍などが神とされたり、
あるいは水神の神使(しんし)とされてきた。

ヤモリは「井」を守ると書くのは、
龍神様の遣い、ともいわれているから敬(うやま)わないといけないのに、
その姿がキモイというだけで気高く思われていないのは可哀そう。
しかも、今は環境省レッドリストの準絶滅危惧に指定されている。
それだけオキナワシリケンイモリにとって
住みにくい環境になってきたってことだよね。

【触るとインヤリして、少し暴れる】


イモリの求愛フェロモンは「ソデフリン」というのだけど、
この由来が興味深い。
ちと長くなるけど、解説します。

今から1347年前の飛鳥時代(668年)、
天智天皇は弟の大海人皇子、群臣、女官たちを連れて、
琵琶湖南部の蒲生野(こもうの)に薬猟(くすりがり)に出かけた。
薬猟とは、山野に出て男性は薬効があるという鹿の角を獲り、
女性は薬草を採る、古代の薬取り習俗のこと。
奈良公園に生息するシカは国の天然記念物に指定されている野生動物らしいから、
奈良から京都にかけて、昔からたくさん生息していたみたいだね。
この時、絶世の美女といわれる飛鳥時代の皇族・額田王(ぬかだのおおきみ)が
大海人皇子(おおあまのおうじ 後の天武天皇)に歌を贈った。(万葉集巻1-20)



「あかねさす 紫野(むらさきの)行き 標野(しめの)行き 
 野守(のもり)は見ずや 君が袖振る」


高校の古文の教科書に出ていた万葉集の有名な歌だから見たことあるはず。
「標野」は皇室の御料地、最後の「君」とは大海人皇子のこと。

大海人皇子からの返歌は、


「むらさきの 匂(にほ)へる妹(いも)を憎くあらば 
 人妻ゆゑに 吾恋ひめやも」


当時、天智天皇の妻となっていた額田王が、
元カレの大海人皇子(後の天武天皇)に対して
「御料地の紫野で、天皇主催の薬狩をしている最中に、
元カレが私に袖を振っている。周りの人に見つかったら大変だよ~!」
という歌を元カレに贈った。
この時代、「袖を振る」のは求愛の合図。
これに対する大海人皇子の返歌は

「上品な美しい紫草のように、つやつやと輝くように美しいあなた…、
もし、あなたのことが憎らしかったら、何もこんなふうに恋い慕いなんかしませんよ。
もう人妻になっているあなたなのに…」

要するに、

「元カレの大海人皇子が、今や兄嫁の額田王に袖を振って求愛行動をした」

というわけ。
兄嫁は元カノというチープな愛憎ドラマみたいだけど、
この額田王の一首と、オキナワシリケンイモリの尻尾が紫色というので、
イモリの誘引フェロモンを「ソデフリン」と命名したらしい。
命名した学者は粋(いき)な計らいなのか、変態チックなのかよく判らないけどさ。

【尻尾が「剣」の形をしてるというので、尻剣イモリ】

オキナワシリケンイモリは、沖縄島、渡嘉敷島にしかいないといわれているけど…。
私が本島南部在住の頃は、除草剤や農薬散布をしているような農地や
これらを流れたため池(ためいけ、溜池、溜め池、かんがい池)付近では
見かけなかった。
当たり前だよね、水も土壌も汚染されてエサもイモリもみんな死んでしまうから。
こういう汚染された水で栽培した農産物も、厳密にいえば安全であるはずがない。
極端にいえば、猛毒ヒ素を微量で毎日摂取するようなもの。
スーパーやファーマーズマーケットに行くと、
生産者の顔写真が出てるけど、汚い親父の顔なんかどうだっていい。
問題なのは「どうやって栽培したのか?」に尽きる。
けど、販売者は「生産者の顔が見えるように」といって、生産者の顔を見せる。
なんか、違うんじゃない?
【裏側の腹部は、全体的にオレンジ色】

ヤンバルクイナの保護活動だって、
天敵マングースの捕獲に異常に力を入れているけど、
それより、ヤンバルクイナの生息区域での除草剤や農薬の
使用を制限するか使用禁止にすべきだと思うよ。
意味がないことに一生懸命になってるってこと、けっこう多い。
オキナワシリケンイモリは雨の日の前後にゆっくり移動しているのをよく見る。
県道や林道では、ペシャンコに轢(ひ)かれた死体もよく見かける。
【私が何か撮影してると、必ずヤツが登場する】

オキナワシリケンイモリの食性は動物食で、
昆虫、陸棲の巻貝、ミミズ、両生類の卵や幼生などを食べているらしい。
南西諸島に棲んでいるアカハライモリと沖縄に棲むオキナワシリケンイモリは、
「近縁種だけど違う」という説と、
日本爬虫両棲類学会では「同類」という説があるけど、
それはどっちだっていい。
イモリが安心して生息できるような環境を
少しでも保全できるようにしてあげたいだけ。
【ヤツはこの後イモリを踏みつけた!】