泉谷閑示「仕事なんか生きがいにするな 生きる意味を再び考える」 | 額縁の外側

泉谷閑示「仕事なんか生きがいにするな 生きる意味を再び考える」

かたつむり読書感想かたつむり

 

タイトルから、私はもう少し軽い印象を受けていたのですが、それがどうして、すっごく濃ゆい本でした。
また、思っていたより・・・最近の読書の中では尖った論調で、
「お、おう」と、感情にちくちくきました。

まず、「金」「生活」のために仕事をするのは、極論、高等な人間ではない。というような感じで。

そこから、芸術書のような芸術論に話は及びます。
大衆におもねった、「キレイ」「ココチガイイ」それだけの作品は本物の芸術にあらず。
苦悩の果てに生み出されたもの、それが滲み出ているものこそ、真の芸術。

ーと、ここまで書きましたが、著者の主張を私も完全には正しく理解出来ていないと思います。
私の曲解もあるかも。

読み始めは、引用が多く、ちょっと私には読みづらく感じました。
著者の文章に慣れてる間もなく、次々色々な人の論文、論説、主張が引用されていきますので。
しかしそれだけに、読み応えのある一冊とも言えました。

高等遊民というのは、現代においては、一握りの特権階級にのみ許された生き方ですね。
多くの人間は、アリなんですよ。
芸術を堪能することもなく、素晴らしい歌声を横目に、明日の飯のために働くだけのアリです。

生きる意味・・・私には著者の提示する生きる「意味」は、解することはできれど、そして憧れることはあれど、実践できず、あぁ、結局生きるのは砂を噛むようなもの・・・そのように感じてしまいました。