I Gringos non perdonano (白人は許さない)

1965年のヨーロッパ製西部劇です。

 

ドイツ、フランス、イタリア合作とのことですが

主導はドイツだと思われます。

 

Die schwarzen Adler von Santa Fe

(サンタフェの黒い鷲)

 

監督はエルンスト・ホフバウアー氏

Ernst Hofbauer (1925-1984)

オーストリア出身の彼は1950年代から映画紹介で助監督業に勤しんだのち英国TV番組のディレクターとして活躍、その後はドイツでアクション娯楽系の映画監督として名を馳せ、その後はポルノ映画で一時代を築いたそうです。

 

また、イタリアのアルベルト・カルドーネ氏 も"Albert Cardiff" 名義でクレジットされています。

Alberto Cardone (1920-1977)

「地獄から来たプロガンマン」「砂塵に血を吐け」などマカロニウエスタンではお馴染みの監督さん。

 

その他多くのスタッフに当時の西ドイツの面々が名を連ねており、やはりドイツ主導で制作されたと判ります。

 

映画はコマンチ族に襲撃される幌馬車隊という映像から始まります。

1965年、マカロニウエスタンにしては初期の作品で、なんとなくハリウッド西部劇に寄せてるのかな?なんて思いがふとよぎります。

 

コマンチ族の襲撃をからがら逃れた白人住民たちは米軍イーグルロック砦に逃げ込み難を逃れます。

 

そして本作の主人公クリス・マクファーソンもコマンチ族の襲撃をかわして砦に到着。

演ずるはブラッド・ハリス氏

Btad Harris (1933-2017)

アイダホ生まれのマッチョマンはスタントマンとして活動開始し、史劇参加のためローマに渡ってペプルム映画でスターとなり、その後もイタリアに残って娯楽映画への出演を続けました。エクササイズ用品を発明し会社を立ち上げるなどもしながら2012年まで膨大な数の出演歴を誇りました。

 

クリス・マクファーソン、実は現地の紛争に関する真相を突き止めるために騎兵隊に雇われたエージェント。

コマンチ族の襲撃から次々に人々が逃げ込んでくるイーグルロック砦を守る責任者は、米軍ジャクソン大尉。

演じたのはヨアキム・ハンセン氏

Joachim Hansen (1930-2017)

当時東独のフランクフルトに生まれた彼は語学力に優れ(ドイツ語、フランス語、イタリア語に堪能で通訳をやっていたことも)西ドイツ移住後演劇学校に入学、舞台演劇でキャリアを重ねたのちに映画界へ。ナチス将校の配役などで一世を風靡し1960年代後半からは国際的に活躍されました。「鷲は舞い降りた」が有名ですね。西部劇への出演は本作だけのようです。

 

生真面目でちょっと弱気なジャクソン大尉。彼を鼓舞するクリスをサポートするのがジャーナリストのブレイド・カーペンター。この洒落者な凄腕ガンマンを演じたのはホルスト・フランク氏

Horst Frank (1929-1999)

ハンブルク出身の彼は小劇場での地道な仕事から初めて次第に演劇界で知られるようになり1950年代後半からはTVや映画で悪役として活躍、数え切れないほどの作品に出演しました。マカロニウエスタンでも印象に残る悪役が多いですが、なんと本作ではヒーロー側の役どころ。どんな役でも見事にこなす素晴らしい役者っぷりを見せてくれています。

 

マカロニウエスタンで「ジャーナリスト」がガンマンとして出てくるのは他にあまり例がないと思うのですが、もしかしたら補作の脚本担当ジャック・ルイス氏が戦闘特派員で名を挙げたジャーナリスト上がりだからかな、などと邪推したりしてます。

 

砦の中では比較的平穏に暮らすことが出来ているようで、ダンスイベントなんかが行われていたりもします。

 

そんな中、クリスはコマンチの襲撃から命からがら逃げてきた女性ラナ・ミラーと恋に落ちたりします。

ラナ・ミラーを演じたのはオルガ・ショベロワ女史

Olga Schoberová (1943-)

プラハ生まれ。当初は会社の事務員として働いていたそうですが、お姉さんのエヴァさんがモデル業を営んでおり、多忙の際に容姿が似ているオルガさんに代役を頼んだところ、これが大好評で、あれよあれよと映画主演まで決まっちゃったという逸話があります。ヨーロッパにとどまらず北米でも映画出演などで活躍されました。本作の2年後(共演がキッカケだったかは不明ですが)ブラッド・ハリス氏と結婚されました。

 

クリスの相棒ブレイドが恋に落ちたのはコーラ・モートン嬢。演じたのはヘルガ・ゾマーフェルト女史

Helga Sommerfeld (1941-1991)

ベルリン出身。10代後半からドイツの演劇や映画に出演し、その後TVでも数多くの出演作を残しました。

 

コーラ・モートン嬢のお父様は近隣に豪邸を構える大地主。

娘は実情を知らないままなのですが…実はコマンチ族居住地の地下に油田があると知り、米軍とコマンチ族の対立を煽っている黒幕なのです。

モートン氏を演じたのはヴェルナー・ピータース氏

Werner Peters (1918-1971)

東ドイツ生まれの彼は10代後半にコメディアンとしてキャリアをスタート。その後は演劇畑で実力をつけ20代後半から映画で活躍。卓越した演技力で東ドイツ国民賞を受賞するに至り、1950年代後半からは西ベルリンに移住し、主に悪役として無数の映画およびTVドラマに出演しました。

 

モートン氏の黒い企みを成就させるべく動く実行部隊の隊長格は「ジェントルマン」と呼ばれる男。

演じたのはピンカス・ブラウン氏

Pinkas Braun (1923-2008)

スイス生まれの彼は16歳で業界に入り演劇界で頭角を現し、その後映画やTVで主に悪役として引っ張りだこに。また俳優としてのみならず戯曲の翻訳者としても知られた存在なのだそうです。

 

ジェントルマンの手下は二人、スリム・ジェームズとブラック・ジェームズ。

スリムの方はトーマス・ムーア名義でエンニオ・ジローラミが演じています。

Enio Girolami (1935-2013)

イタリア映画界ではお馴染みの映画一家の出身で。マカロニウエスタンはもちろん、数え切れないほたどたくさんの映画に出演されました。

 

ブラックの方はセルジュ・マルカン氏が演じました。

Serge Marquand (1930-2004)

フランス出身の彼も、いくつかの印象的な悪役としてマカロニウエスタンのファンにはお馴染みです。実はレーシングドライバーとしても活躍されたそうです。

 

ジェントルマンたちが米兵を装ってコマンチ虐殺を繰り返し

 

業を煮やしたコマンチ族のチーフ "ブラック・イーグル" は白人達との全面戦争を決意します。

ブラック・イーグルを演じたのはトニー・ケンダル氏

Tony Kendall (1936-2009)

ローマ生まれの彼はモデルとして業界デビュー。1960年代前半から映画界で活躍しました。本作で共演のブラッド・ハリスとのコンビは、その後何本もの大ヒット作となったそうです。マカロニウエスタンでも本作はじめ8作で印象的な役柄をこなしております。

 

モートン軍団は知事の使者から手紙を奪い取り改竄し砦に伝えます。ちなみに哀れな使者を、お馴染みロレンツォ・ロブレド氏が演じています。

Lorenzo Robledo (1918-2006)

スペイン出身。マカロニウエスタンに欠かせないといっても過言ではないバイプレイヤーですね。100本ちかい出演作があるとのことですが、有名作品での印象的な役柄が多く、記憶に残る俳優さんです。

 

 

コマンチ族がナバホ族らと同盟を組んで大襲撃を企てているとの情報。気弱な(いや、無謀な争いを避ける懸命な)大尉は、砦からの撤退を決意。

 

 

一方、クリスはブラック・イーグルに真相を告げる。

決定的証拠はジェントルマンがコマンチ虐殺現場に残した薬莢。

 

モートン軍団は砦から出た米兵&民間人たちを罠に誘い込んで殲滅を企てます。

 

同じ頃、ブラック・イーグルはモートン軍団への襲撃を決意し、雄叫びと共に出撃。

 

劣勢の米軍部隊…

 

しかしコマンチ到着で戦況逆転

 

モートン軍団は追い詰められてゆきます。

 

そんな中、モートンの悪行を知ってしまった娘コーラは脚を打たれたブレイドを介抱しますが…

流れ弾に撃たれて絶命してしまいます。

 

最終的には満身創痍のブラック・イーグル自身がモートンを断崖絶壁に追い詰め、ともに転落。

その勇気に大尉たちは敬礼、死を悼みます。

 

見守るクリス、ブレイド、そしてラナ。

 

一見、ネイティヴと白人の対立に思わせて

実は石油利権の独占を目論む地主の悪行を暴き制裁するというお話。

1965年としては、さして入り組んだプロットではないもののハリウッド的な雰囲気とヨーロッパ風な作劇がちょうど良い感じにブレンドされている印象を抱きました。

(ホルスト・フランクが「いいやつ」で活躍してるのが新鮮!)

 

そして、何といっても本作を魅力的にしているのが劇伴です。いわゆるマカロニ節ではありませんが、ハリウッド的な曲想を中心にロック寄りの、力強いビートがクールな楽曲が随所で聴かれます。

音楽担当はゲルト・ヴィルデン氏

Gert Wilden (1917-2015)

チェコ出身、プラハ音楽アカデミーに学び、学生時代にすでに地方放送局の管弦楽団の指揮を務め、その後ミュンヘンに移住してからは映画音楽の作曲家として活躍。ドイツで最も多忙なサントラメーカーとして名を馳せ、その後もアレンジャー、プロデューサーとして、さらにピアニストとして晩年まで活躍されたそうです。

 

本作のメインテーマは、よくあるマカロニの作風(ラテンっぽいメロディやスパニッシュなアレンジ)とは違って、よりストレートでダイナミックな印象。

 

また、ハリウッド西部劇を思わせる作風の3拍子系など

 

こちらのアクションBGMも当時のハリウッド映画風。

 

 

 

この辺を、自分なりに解釈してカバーしてみました。

 

お聴きいただけたら幸いです。

 

 

ちょっと暖かくなったと思ったらまた寒波。

みなさまどうぞくれぐれもご自愛を。

 

アディオス、アミーゴ!

(^-^)

 

 

Adiós gringo (1965)

1965年、「夕陽の用心棒」でマカロニウエスタンへのデビューを果たしたジュリアーノジェンマ氏、なんとこの歳には4本のマカロニウエスタンに主演しております。いきなりのスターダム。

 

「夕陽の用心棒」1965.05.12

「荒野の1ドル銀貨」1965.08.08

「続・荒野の1ドル銀貨」1965.12.08

そして本作「続・さすらいの一匹狼」1965.12.22

 

今では考えられないくらいスケジュールですね!

さらに翌1966年には「南から来た用心棒」「さいはての用心棒」、1967年には「星空の用心棒」「荒野の一つ星」「怒りの荒野」と主演作が目白押し。

当時のマカロニウエスタンが如何に勢いづいていたか、またジェンマ氏の人気が如何に高かったか、が窺えます。

 

本邦では1967年に公開されております。

ちなみに「さすらいの一匹狼」は、クレイグ・ヒル氏が "ランキー・フェロー" を演じた傑作マカロニウエスタン(監督はトニーノ・ヴァレリ氏)であり、本作とは無関係です(マカロニあるある)。イタリア本国では「続~」の方が先に公開されたという、これまたマカロニあるある。

 

また本作は少年現代の昭和42年(1967年~本作の日本公開年)8月号の付録としてコミックが発売されたそうです。

(残念ながら読んだことない…)

ジェンマ氏の人気は日本でも爆発!といったところですね。

 

「続・さすらいの一匹狼」の監督は

ジョルジオ・ステガーニ氏

Giorgio Stegani (1928-2020)

ジョルジオ・フェローニ監督の下で脚本家としてキャリアをスタート、その後助監督を経て "Da 077: criminali a Hong Kong" で監督デビュー(もちろん脚本も自身)。

その翌年に本作でマカロニウエスタン監督デビューとなるわけですが、同年公開の「荒野の1ドル銀貨」(フェローニ監督作品)のキャストが本作とかなり被ってます。師匠(?)フェローニ氏との関係が窺えますね。

その後は "Gentleman Jo...Uccidi" と「風の無法者」でマカロニウエスタンに大きな爪痕を残し、その後はエロティック系の作品の2作で監督を務め、1990年代にはTV番組で俳優としても活躍されたそうです。

 

さて本作の内容は…

主人公はブレット・ランダースという男。

もちろん演ずるはジュリアーノ・ジェンマ氏

Giuliano Gemma (1938-2003)

言わずと知れたマカロニ大スターの一人。10代の頃は器械体操とボクシング三昧、バート・ランカスターに憧れて俳優を目指しつつ、サーカス団で空中ブランコを披露していたこともあったとか。スタントマンなどで映画に関わるうちに、かの「ベンハー」への端役での出演に目をつけたドウッチョ・テッサリ監督によってイタリア映画界のスターへ。そして来るマカロニウエスタンブームの申し子として大活躍したのは周知の事実でございます。ブーム終焉後もアクションにドラマにと映画界の一線で活躍を続け、生涯100本以上の映画に出演し数多くの受賞歴を誇っております。

 

ブレットはいわゆる「いいヤツ」

親友である彼に盗品を平気で売りつける「ワル」がジル・クラウソンという男(こんなやつ本当に親友なの?)

演ずるはこちらもご存じネロ・パッツァフィーニ氏。

(ジェンマ氏の敵役には彼がよく似合う気がします)

Nello Pazzafini (1933-1996)

なんと元サッカー選手(セリエDのオスティア・マーレと同じくセリエDのサンセポルクロに在籍)。その後ライフガードなどの職歴を経てスタントマンとして映画界で大活躍。まあ長身だしいいガタイなので目立ったのでしょう、どんどん悪役が舞い込んでくることに…。その後の活躍はご承知の通り、マカロニウエスタンのみならずイタリア映画界の悪役トップスターとして無数の映画に出演されました。

 

ジェンマ氏とパッツァフィーニ氏。二人ともガチのスポーツマンでスタントマン出身ですから、そりゃアクション映画での相手にはもってこいですね!このお二方の出演されてる映画はなるほど面白いわけですな。

 

ジルが格安で売った牛たちは盗品。これを連れてジョンソンシティ来たところ

 

通りかかったのは本来の所有者、スタン・クレベンジャー。

「待て待て、これは俺の牛じゃないか。牛泥棒め!」

演ずるはグラント・ララミーことジェルマーノ・ロンゴ氏

Germano_Longo (1933-2022)

ローマの国立映画学校を卒業ののち1954年から2012年までの長きにわたって様々な役柄で映画出演、「ひまわり」などに出演した他、マカロニウエスタンに於いては "La Colt è la mia legge" "Kidnapping! Paga o uccidiamo tuo figlio" 「5匹の用心棒」などに出演。また吹き替え声優としても大活躍されたそうでイタリア放映の「ルパン三世」で次元大介の声を当てていたそうです。

 

「牛泥棒は追放か死だ!」

ブレットに向かって拳銃を向けるクレベンジャー氏、

三つ数えて出て行かなかったら撃つ!と。

話し合おうとするブレット。その間にカウント3…

有言実行、引き金を引いたクレベンジャー氏。

しかし3発撃っても当たらない(ブレットの身軽さが際立ちます)…

命の危機を感じたブレットが反射的に撃ち返した弾丸が致命傷となり、クレベンジャーは還らぬ人に…。

クレベンジャー氏の妻モードは怒り心頭。

同情したジョンソンシティの人々はブレットをリンチからの絞首刑にしようと迫りますが、ブレットはなんとか脱出に成功。

 

怒りの収まらないモード夫人はブレットに懸賞金を。

モード夫人を演じたモニーク・サン・クレール (Monique Saint Claire)  女史については情報を得られませんでした、知っている方がいたらご教示いただけると嬉しいです。

 

冤罪を晴らすべく、ジルの足跡を追うブレット。

近くの装蹄師からジルたちは三人組で、「灼熱の土地」と言われるメザスに向かったと情報を得る。

 

そこで彼が見たのは、乱暴され全裸で放置された女性。

駅馬車強盗の被害者です。

(家族は皆殺しにされたとのこと…)

 

彼女を救い出したものの、駅馬車強盗一味の手下と思しき4人が二人を追ってきました(彼女を襲ったのは他の三人で、その中の主犯格が「殺害を確認しろ」と命じたようです)。

 

そのうちの一人を演じているのは、お馴染みフランク・ブラナ氏。スペイン出身のグレイトな俳優さんで200本を超える出演作を誇ります(写真中央)。

Frank Braña (1934-2012) 

 

早撃ちで3人を電光石火に葬り、もうひとりはナイフで撃退。ブレットは彼女を近くの町グレンブルへ連れて行き治療を受けさせます。

彼女の名はルーシー。実はこの町の学生さんでした(お父さんも町の有名な牧師さん)

ルーシーの口から彼女を襲ったのは三人組と訊いたブレットはジルたちだと確信します。

ルーシーを演じたのはエブリン・スチュワートことイダ・ガリ嬢

Ida Galli (1939-)

もともと教師を目指していた(教員免許持ってる)はずが、偶然の出会いから映画界へ。ミュージカル作品でデビューののち、1960年代から70年代にかけて様々なジャンルの映画に多数出演されました。

今でもお綺麗なイダ嬢(2024年時点で85歳!)

 

心の傷を癒やすのはブレット、そして体の傷を癒やすのが "ドク" バーフィールド氏。

演ずるのはロベルト・カマルディエル氏

Roberto Camardiel (1917-1989)

こちらもマカロニウエスタンではお馴染み。けっこう医者役が多いですね。スペインのアラゴン出身で、家族の受難とともに14歳でサラゴサに移住。やむなく14歳で労働を始めると同時にアマチュア劇団を結成したそうです(そのうちの一人はのちにサラゴサ市長になったとか)。その後正式に演技を学ぶもスペイン内戦のため5年間兵役。その後首都マドリッドで劇団員として、コメディアンとして活躍の場を拡げていったそうです。マカロニウエスタンに限らず幅広い役柄でたくさの映画に出演されました。

 

駅馬車強盗の真相解明に乗り出したのは地元の保安官スローター。しかしブレットが犯人ではないかと疑ったり、信じたり、また疑ったり…ともあれ良い味出してます。

演じたのはヘスス・プエンテ氏

Jesús Puente (1930-2000)

マドリッド出身、医学の道を志しながらも医学部4年時に演劇界に身を投じたそうです。シェイクスピア俳優として鳴らしたのちラジオ界、そして声優を経て映画界へ。また当時新進気鋭のTV業界でも黎明期から活躍されたそうです。晩年にはTV番組での司会業など、全部あわせると途轍もない数の出演数になるようです。

 

ブレットとドク、保安官の三人の関係性がじつに面白く、この点で他のマカロニウエスタンとちょっと趣を異にしています。

 

駅馬車強盗の主犯格はエベリー・ランチェスターという男。ジルの子分でもあります。

演じたのはマックス・ディーンことマッシモ・リギ氏

Massimo Righi (1935-1983)

ローマ生まれ、1959年に映画デビュー、79年までの間に35本の映画に出演、本作でマカロニウエスタン初出演を果たし、その後8本のマカロニウエスタンに名を連ねているとのこと。

 

エベリー自身は気の弱い小悪党な感じなのですが(ジルの言いなりだし)、父親の存在がヤバい。

保安官でさえビビる地元の有力者クレイトン・ランチェスターがその人。

演じたのはピーター・クロスことピエール・クレソワ氏

Pierre Cressoy (1924-1980)

フランス出身、なんと彼も医学生(1年で中退)。20歳で劇団員となりその後イタリアに移住、映画俳優とした数多くの作品に出演し、ハリウッド作品に名を連ねたことも。マカロニウエスタンでは「さすらいのガンマン」の悪徳医師チェスターが印象的です。

 

息子を信じつつも「真相を明らかにするより他ない」と誓いますが

その直後ブレットはジル一味に拉致られます。

とはいえ「俺のダチをあんまり虐めるなよ」のジルの言葉に、まだ友情のカケラは残っているのか、と淡い期待を寄せてみたり。

 

しかしブレットが納屋に縛られている間に、ジルの手下がブレットのナイフを使って保安官助手を殺害。

「ブレットが真相が暴かれるのを恐れて逃げ出した」と吹き込まれるとともに、ジョンソンシティからのブレットの手配書を手にしたランチェスター。

 

愚かな息子を信じてしまっているランチェスターは、町民を焚き付けます。

「この町に犯罪者がいる!俺たちの町を守らねば!」と。

 

酔った勢いでサディスティックな魂に火がついた町民たちは、地元の名士と盲信するランチェスターに引き連れられるがままに保安官事務所へ。

「ブレットとルーシーをだせ!」と。目的はもちろん殺害(もしくはリンチ)。

このあたり、冒頭のブレットが冤罪で町民からのリンチを食らいそうになるシーンや、ルーシーが惨めな姿で町に戻ってきたときの町民たちの恐ろしいまでの嘲笑や冷たさと相まって「群衆」の怖さというか、人間の心理の闇を突いていて単なる娯楽作品にとどまらない深みを感じます。

 

腹をくくった保安官(これが妙にかっこいい)とドクがいきり立つ群衆に立ち向かう。

 

その間にブレットとルーシーは脱出

 

脱出は結局バレてしまいますが、保安官たちの時間稼ぎが功を奏して逃げ切りに成功。

 

しかし、鼻が利くジルが彼らを見つけます。

まともに戦ったらブレットが手強いことを知っているジルは策を弄して…

 

取引を持ちかけますが、ブレットは完全拒否。

 

(もと)親友二人の壮絶なバトル(殴り合い)は、拳銃を手にしたジルに凱歌が上がった…

はずだったが、ルーシーが手にしたウィンチェスターの一撃がジルを葬ります。

自らの手で復讐を遂げたルーシー。

 

その後エベリーが襲撃してきますが、銃のスキルも格闘能力も格が違います。ブレットによって捕獲。

そこへやって来たのはいきり立つ町民たち。

1vs多数の壮絶な銃撃戦の火蓋が切られます。

(自分に銃を向けて撃ってきているとはいえ、名も無き町民たちを射殺していくあたりはちょっと疑問符ではありますが…)

 

弾薬も尽きた二人。覚悟を決めたようです。

 

ついにブレットが囲まれ、万事休すか…

 

颯爽と現れたのは保安官とドク。そしてUSマーシャル。

手下もいっぱい

 

真相を明らかにしてやる!と息巻くランチェスターは自信たっぷりに、ブレットが吐露した「カネの在処」である馬車の荷台へ向かう。

 

しかし、そこにいたのは我が子。

エベリーもエベリーで「ブレットに無理矢理やられた」とでもウソをつけばよかったものの、逆上して拳銃を手に。

 

慌てて駆け寄る父親に向かって誤射…

 

かくして駅馬車強盗一味は壊滅。

描かれてはいないけれど、USマーシャルがバックについてるし保安官も冤罪晴らしに協力するって言ってるし、ブレットはジョンソンシティで無実を証明してもらえたんだと思います。

(クレベンジャー氏の殺害に関しての正当防衛が証明されるかどうかは不明ですが…)

 

腕を組んで去って行くブレットとルーシー。

「アディオス!」

見送るドクと保安官。

「賞金ともサヨナラだな…」

名優二人の顔芸が素敵。

 

ジェンマ主演作に比較的多い

冤罪~ロマンス~ピンチ~仲間の助け~ハッピーエンドという鉄板西部劇パターンではありますが、ところどころに本作を特徴付ける要素(先述の群集心理や保安官の好キャラっぷり)が散りばめられており、かなり楽しめる作品です。

 

そしてもう一つ、ときに勇壮ときにもの悲しく、ときにサスペンスフルなサントラが本作のレベルを上げております。

 

 

音楽担当はベネディト・ギリア氏

Benedetto Ghiglia (1921-2012)

作曲およびピアノを専攻し音楽院を卒業、当初はピアニストとして活躍、チェロ奏者とのデュオで名を馳せたのち、舞台演劇の音楽を担当し名を上げやがて映画音楽の世界に参入。ジャンル問わず数多くの素晴らしサントラを提供しました。とくにドキュメンタリー映画のサントラの第一人者とのことです。

 

主題歌を歌っているのはフレッド・ボングスト氏

Fred Bongusto (1935-2019)

学生時代からバンドで才能の一端を披露していた彼は大学の邦楽部で学んでいたところ本格的に音楽家の道を目指すようになり、当初はギタリストとして活躍していたようです(セルジオ・エンドリゴがボーカルとベースで、フレッド・ボングストがギターというバンドでツアーしてたりしたそうです!)。その後別バンドでリードボーカル兼ギタリストとして1959年レコードデビュー。1960年代にはイタリアを代表するシンガーソングライターと称されるまでになり数々の賞を手にし、イタリアのTV番組で俳優や司会者としても活躍、1970年代以降は本国のみならずブラジルなど南米でも人気を博したとのこと。

2000年以降は闘病しつつもステージを続け、イタリアの最高位の勲章を授与されたそうです。

 

そんな「続・さすらいの一匹狼」の素敵なサントラを

僕もがんばってカバーしてみました。

お聴きいただけたら幸いです!

 

YouTubeが今回は厳しくって、一部の国でブロックされちゃいましたので、静止画スライドショーヴァージョンも作ってみましたので、あわせてお楽しみいただけたら幸いです。

 

 

さて今週は大雪予報 (°o°)

みなさまのご健勝をお祈りしておりまする。

 

アディオス、アミーゴ!

(^-^)

 

I vigliacchi non pregano

(卑怯者は祈らない)1968

 

英語タイトルは "Taste of Vengeance"(復讐の味)

 

いわゆるマカロニウエスタン作品群の中にあって、比較的マイナーな一本ではありますが中々に味わい深い映画です。

 

かいつまむと…

南北戦争からの帰還早々に襲われ妻を乱暴され殺害されるという悲劇に遭い、重傷を負いつつも友人に命を救われた元南軍兵が

復讐を誓いつつも、いつしか芽生えた狂気がみるみる増大し、

やがてギャングのボスとなり大切なはずの人々を犠牲にする羽目になり、

最期は親愛なる友人の手で悪事を命で精算する結末を迎える、というお話。

 

よくある復讐劇のようなスタイルで始まりつつも

結果的には相手には結局出会うことはなく、ひたすら主人公の狂気が突っ走る、というちょっと独特な風味というか奇妙な印象を抱くのですが…

 

主人公は戦争帰りです。

人間性すら奪われる極限状況からやっと解放された直後に悲劇に襲われ、やがて狂気じみた世界に足を踏み入れてしまうという様は

かの名作「ランボー」の如く、戦争という狂気から逃れられない男の悲哀を描いているのかも知れません(主人公が射撃の腕など戦闘スキルにやたら長けているというところも共通点ですね)

 

戦争体験と復讐心を糧に、己の力が強大になってゆくのを自覚した男が、ワイルドウエストでその力を試しながら支配欲という本能の一部を肥大化させてゆく、というのは案外ありがちなケースなのかもしれません。

 

そして「ヴィランの誕生譚」の先駆けとも言えるのではないでしょうか。

昨今の作劇では「ヴィランがなぜヴィランたり得たか」が説得力を持って描かれるようになりました。

「ジョーカー」 しかり「鬼滅の刃」しかり「クルエラ」しかり、最たるものはスターウォーズのダースベイダー。

 

でも当時は「悪役は悪役」であり、登場した時点で悪人であるケースがほとんどではないでしょうか(「続・夕陽のガンマン」でトゥコが「貧乏人は聖職者か盗賊になるしか食う道が無かった」と語ったり、「ウエスタン」でフランクが一介のガンマンから悪のボスに変貌してゆく様が描かれたり、という描写はありましたが)

そういった意味で「よく見る悪役」が、もしかしたらこういう事情があって悪の道に走らざるを得なかったのかも、と思わせる。そんな深い見方もできる作品ではないかと。

 

 

さて。

 

主人公ブライアン・クラークは南軍の帰還兵。

演者はご存じジャンニ・ガルコ氏。

マカロニ後期のサルタナシリーズやホーリーゴーストなど、元気いっぱいコミカルな芸風とはひと味違って、本作では深くて濃厚な演技が光っています(「砂塵に血を吐け」の "オリジナル・サルタナ" と同じ匂いを感じました。

Gianni Garko (1935-)

本名ジャンニ・ガルコビッチ、現クロアチア出身で20代の頃からイタリアの映画界で活躍、2000年代以降はイタリアRAIのTV出演および制作者としても活躍されました。2022年アルメリア西部映画祭でタベルナス・デ・シネ賞を受賞し名実ともにマカロニウエスタンのレジェンドであることが証明されました。

 

つらい闘いの日々から解放され、妻(恋人?)との安らかな日々が待っていたはずでした。

未クレジットながら彼女を演じたのは、のちに実際のジャンニ・ガルコ夫人となるスザンナ・マルティンコヴァ嬢。

Zuzana " Susanna " Martinková (1946-)

チェコ生まれ、16歳のとき本国で映画主演デビューしその後イタリアに渡って多くの映画に出演、1999年に引退し現在はワインの醸造家として暮らしているそうです。

 

しかし、そんな安らぎは束の間…

北軍の自警団が突如彼らの家を訪れ、彼女に乱暴した上で殺害(殺害のシーンは描かれていませんが)。

丸腰のまま抵抗を試みるも、ブライアンは腹部に銃撃を受けて瀕死の状態。

薄れゆく意識の中、ブライアンの目に焼き付いたのは自警団リーダーの胸に光る星形のバッジ。

 

ブライアンを救ったのは友人ダニエル

演ずるはイヴァン・ラシモフ(いつもの如くショーン・トッド名義でクレジットされてます)

Ivan Rassimov (1938-2003)

セルビア系イタリア生まれ、マカロニウエスタンはじめ数多くの映画に出演したのち1980年代後半に引退、出版社の取締役として活躍されたそうです。ちなみに妹のラーダさんも有名な女優さん。

 

全てを失ったブライアンはダニエルに同行するものの…

野営中にダニエルの銃と馬を奪い、逃走してしまいます。

(復讐の旅に出たのかな?)

 

ひとりぼっちのダニエルは、砂漠でギャングと遭遇。実はダニエルの弟はこのギャングたちに誘拐されていました。

銃も馬も、もちろん身代金もないダニエルですから、兄弟は窮地に…

 

ギャングのボスを演じたのはロレンツォ・ロブレド氏

Lorenzo Robledo (1921-2006)

スペインの俳優さんですが、マカロニウエスタン30本に出演しております。ドル三部作や「ウエスタン」など超有名作品への印象的な役どころの参加で記憶に残る名バイプレイヤーです。

 

ダニエルの弟ロバートはジェリー・ウィルソン名義で参加のロベルト・ミアリ氏

Roberto Miali (1939-??)

1940年生まれという資料もありますが、ともあれイタリアはトリエステ生まれ、数多くの映画出演だけでなく2000年代には自ら脚本を手がけた映画を監督しリリースしたりしています。

 

ダニエル&ロバート兄弟のピンチに颯爽と現れて、華麗なガンアクションで救ったのはブライアン。

(ちゃんと馬二頭と拳銃をダニエルに返却しました)

 

反射的にギャングを射殺しようとするブライアンをダニエルはなだめます。正式な裁判を経て裁かれるべきだ、と。

 

こうして意気投合(?)のブライアンとダニエル&ロバート兄弟の三人はシルバーシティへとむかってギャングを連行。


その道中…

ギャングの拍車が陽光に光るのを目にしたブライアンは、事件当夜にもうろうとする意識の中に見た例のバッジの光がフラッシュバック。

反射的に拍車を撃つという行為に。

 

 

このあたり、ブライアンの狂気の萌芽がみてとれます。

 

シルバーシティに到着早々、捕らえたギャングの手下との銃撃戦。見事な腕前(と戦術)で敵を一掃したのブライアン。

 

ここに居合わせた元南軍仲間のジョン・マーレーという男が、ブライアンの腕を見込んで仕事を依頼。

演じたのはジュリオ・ペーニャ氏

Julio Peña (1912-1972)

スペインの俳優一家で生まれ、当然彼も演劇界へ。若い頃に本国での戦争を避け渡米、ハリウッドで活動しその後帰国、1940年代のスペイン映画界および演劇界を支える大活躍をしました。1972年に急病でこの世を去るまでに数え切れないほどの映画に出演されました。

 

マーレーがブライアンたちに託した高額な仕事とは、当地の支配権争いの絡んだ殺し。

広大な力を持ち無法者の部下を抱えるブレイク牧場に出向いたブライアンたちは、見事なスキルでブレイク一家の若旦那を殺害に成功。

マヌエル・ガリアナ氏がアート・ブレイクを演じました。

Manuel Galiana (1941-)

スペインでは大御所の俳優さん。若手時代から数多くの映画やTVで活躍し、本国では演劇関連の多くの受賞歴があり後進の指導にも当たっているとのことです。

 

また、ここでブライアンはブレイク家に囲われているジュリーという女性と出会い、恋に落ちます。

ジュリーを演じたのはエリサ・モンテス女史

Elisa Montés (1934-2024)

スペインの女優さん。若い頃から舞台女優としてキャリアを積み本国以外にもヨーロッパ各地の映画に出演するなど2017年まで活躍しましたが昨年、逝去されました。マカロニウエスタンでは「地獄から来たプロガンマン」が印象的ですね。

 

無事依頼をこなし一件落着と思いきや、ブレイク一家の残党がマーレーを殺害。

ブライアンは単身彼らに対峙します。

決闘の相手はブレイク一家の若頭格トム

演じたのはルイス・インドゥーニ氏

Luis Induni (1920-1979)

対戦時はイタリア軍人、敗戦後はスペインに逃げ込んでホームレス生活だったという彼を救ったのが映画業界。掃除夫として日銭を稼ぎ、いつしか名バイプレイヤーに。マカロニウエスタンでもお馴染みの俳優さんです。

 

ブライアン vs トム

圧倒的なスキルでこれを制したブライアンに、ブレイク一家の残党が従うことになります。

ブライアン軍団、誕生。

 

そしてブレイク家のトップ、トムを返り討ちに。

トム・ブレイクを演じたのはミゲル・デル・カスティーヨ氏

Miguel Del Castillo (??-??)

スペインの俳優さん。1930年代から1983年までの間に100本を超える映画に出演したレジェンド。マカロニウエスタンへの参加は36作品とのこと。

 

ブライアンは果たして、ジュリー姫を救出した王子様なのでしょうか…

 

日に日に暴力とカネ、権力の虜になってゆくブライアン

 

手下のロッドという男とのいざこざを切っ掛けに

親友ダニエルはブライアント袂を分かちます。

 

ちなみにロッドを演じたのはフランク・ブラナ氏

Frank Braña (1934-2012)

貧しい家に生まれ、若い頃は炭鉱労働で家族を養い、このため珪肺を患っていたそうです。病にも関わらず200本を超える映画出演を果たし「アラビアのロレンス」や「ドクトル・ジバゴ」といった超大作にも出演しているというレジェンドです。彼もまたアルメリア西部映画祭の特別功労賞受賞者であります。

 

ダニエルの弟ロバートも兄を行動を共に…

(もともとロバートはブライアンに心酔していたはずなのに)

 

そしてジュリーまでも、ブライアンの下を離れ…

 

狂気の高笑いは、悲しみを紛らすためか

あるいは、ついに手にした自由を実感したからなのか

 

ここから第二章。

 

正義感の強いダニエルは、戦後の腐敗した町フォートシティで保安官に就任しました。

力こそすべて、の無法の町フォートシティ

 

あくまで彼は法の下に秩序を保つため尽力します。

 

新体制に不満な者たちとの対立が耐えません。

ダグラス夫人(演:カルロ・カロ女史)や

Carla Calò (1926-2019)

若い頃は舞台女優として、1940年代後半からは映画女優として数々の作品に名を連ねるイタリアのレジェンド女優さん。

 

ビル・パーキンス(演:ルチアーノ・ピゴッツィ氏)

Luciano Pigozzi (1927-2008)

アラン・コリンズの変名で知られる彼もイタリアの名バイプレイヤーとして数え切れない作品に名を連ねております。マカロニウエスタンでも比較的重要な、印象に残る役柄が多い印象です。

 

彼ら百戦錬磨の強者たちを相手に、正義と法を盾に一歩も引かないダニエル。頼りがいのある男です。

もちろん保安官ですから、必要があれば銃を手にします。

冷静さと信念の強さには、町の人々も驚くほど。

 

そんな彼に下った指令が、無法者の賞金首ブライアンを仕留めること…

 

当のブライアンはジュリーに会うため、こっそりとフォートシティにやって来ていました。

 

いや、あるいは当地にある銀行の襲撃の下見のため

こちらが主目的なのかも知れません…

 

悪党への道をひた走るブライアンがやって来ることを心配したダニエルが部屋を訪れますが、ジュリーはブライアンを庇ってしまいます。

悲劇の結末へ向かう、破滅的な愛…

ブライアンの心は日に日に不安定に。

 

ふとジュリーに亡き妻の面影をフラッシュバックさせてしまったブライアンは思わず激昂してしまいます。

この声に駆けつけたロバートは、賞金首ブライアンがここにいることを認知しつつも、見逃します。

(命の恩人ですし、かつて心酔した相手でもありますから…)

 

親友たちの気遣いを余所に、ブライアンの暴走は止まりません。

ついに銀行襲撃、無実の人々が犠牲に。

駆けつけた保安官、ダニエルが制止しようとしますが…

 

ブライアン軍団の手下からの銃撃を受けてしまいます。

 

トドメの一撃を放とうとする部下を制するブライアン

「やめろ、ヤツは友達なんだ」

この時点でまだ、友情は生きていました。

 

一命を取り留めたダニエル。政府からの要請でブライアン軍団を食い止めることは必須の課題になっています。

 

アジトの場所を知らされたダニエルは、いつでもブライアンを狙撃出来る状況に。

 

しかし撃てないダニエル。

弟ロバートも、まだブライアンの良心を信じています。

 

かくして丸腰のロバートは単身、アジトに出向き説得工作を試みます。

 

ロバートとブライアン、魂が乗り移ったかのように激しい言い争いに。ロバートの説得にブライアンの心も氷解しつつあったように思われます。

まだこの時点ではブライアンにも良心のカケラが残っていたのではないでしょうか。

 

しかし、ふとロバートの胸元に見えた保安官バッジ

ブライアンに悪夢がフラッシュバック。

 

反射的にロバートを撃ち抜いてしまいました。

 

もはや闇墜ちを加速させるブライアンは制御不能に。

弟の十字架を目の当たりにしたダニエルは怒りに唇をかみしめます。

 

仲間と共に逃亡するブライアン。目指すは国境。

 

負傷した仲間を「足手まとい」と言わんばかりに葬り去る程度に、完成された悪人になっています。

 

弟を殺害されたダニエルが遂に追いつき、かつて親友だった二人は正々堂々「素手での勝負に」

一進一退の攻防

 

そのとき手下がブライアンに銃を手渡してしまいます。

卑怯にも銃を手にしたブライアンは銃弾をロードし構えます。「さあ撃て」と腹を決めたダニエル。

 

そのとき、黄色いリボンの政府軍が現れ、さすがのブライアン軍団も降伏せざるを得ませんでした。

 

投獄されたジュリーとブライアン。

 

二人は命がけの脱出を試みます。

 

美しく見えさえする、愛の逃避行

 

もちろんダニエルはじめ政府軍が必死に追う。

 

ひたすら逃げる二人。

 

ついに国境を越え、政府軍の力の及ばない場所へ。

 

保安官バッジを返上したダニエル

ブライアンを追うことを決意させたのは

正義感ゆえか、弟の仇を討つためか、親友の闇墜ちを食い止められなかった自責の念か、せめて自らの手で葬ってやりたいという慈悲か…

 

追い詰められたブライアンに逃げ場はない

 

立ちはだかるダニエル

 

物語の当初から一貫しているブライアンの「反射的に撃つ」癖が、ここで悲劇を加速させてしまいます。

背後の物音に反応し、正確な射撃…そこにいたのは最愛のジュリーでした。

 

完全に、全てを失ったブライアン。

 

しかし、本当に全てを失っていたのでしょうか。

ダニエルは、ここでもまだブライアンの良心が残っていることを信じていたような気がします。

 

最後の銃弾を撃ち尽くしたブライアンは、逃げ回るしかありません。

 

しかしダニエルは撃とうとしなかった。

 

しかし、この期に及んでまだ卑怯な反撃を試みるブライアン

そして暗闇の中で、二発の銃声。

 

ゆっくりと、揺れながら近づいてくるトンネルの出口。

これはブライアンの目線。

そして揺れはだんだん激しくなる…

 

弱々しい足取りでまぶしい日の光の中に出てきたブライアン。その後にダニエルがゆっくりと。

焦点の定まらない目であちこちを見回しながら、動きがゆっくりになってゆくブライアン。

 

ダニエルの視線の動きが、ブライアンの死を見事に描写していました。

 

ブライアンとダニエル、かつて親友だったもの各々の心中に去来するものは何であったのでしょうか。

 

 

以上、長々とストーリーを追いましたが

まあ、なんと素晴らしく深い作品でしょう。

名作といっていいんじゃないでしょうか、これ。

マカロニウエスタンの中でもあまり有名な作品じゃありませんが(本邦未公開だし)、もっと認知そして評価されていい映画だと思います。

 

 

監督はマリオ・シチリアーノ氏

Mario Siciliano (1925-1987)

1962年に自らの会社を立ち上げオーナーおよびプロデューサーとして映画制作に関わり、やがて監督業もこなすように(20本の映画でメガホンをとっております)。さらに脚本家としても力を発揮されたそうです。

マカロニウエスタンでは "Alleluja e Sartana figli di... Dio" や "Trinità e Sartana figli di..." が知られております。

 

物憂げで、ときにクラシカルときに叙情的なムードで盛り上げるサントラ担当はジャンニ・マルケッティ氏

Gianni Marchetti (1933-2012)

ピアノを始めたのが12歳とのことですが、その5年後にはローマのジャズバンドでプレイしていたという才人。海軍に入隊し少尉まで昇進しつつも1960年代以降はRCAの作曲家として活躍し売れっ子となり、60年代後半からは映画音楽に着手、約60本のサントラを手がけたそうです。本国イタリアだけでなくフランスでも活躍するなど、幅広い分野で才能を発揮しました。

 

ちなみに本作、タイトルクレジットでは音楽担当が

"Manuel Parada" となっているのですが

おそらく共作なのだろうと思います。

現在リリースされている音源はすべてマルケッティ氏なので、あくまでメインはジャンニ・マルケッティ氏だとは思いますが。

 

マヌエル・パラダ

Manuel Parada (1911-1973)

スペイン出身、幼少期から音楽に親しみスペイン内戦では軍楽隊に所属、1941年から映画音楽の仕事をはじめ、最終的に200本を超える映画の音楽を担当したとのこと。さらに演劇のための音楽や交響詩、TVニュース番組のジングルやCMソングなど多才ぶりを発揮したそうです。

 

 

本作の主題曲はパッと聴き地味な印象なのですが

この物憂げで、ちょっと優しくももの悲しいメロディが本編の内容にとてもマッチしていて印象的な楽曲です。

いつもながら我がマカロニ師匠の保田さまのチャンネルからの引用です。

チャンネル登録ぜひ!

劇中曲はこの主題曲のバリエーションがたっぷり楽しめる他、勇壮なアクションテーマや、もの悲しい変奏など実に多彩です。通常のマカロニウエスタンに比べて随分凝ってるなあと印象受けました。

 

そのためカバーもけっこう大変でしたが、自分なりに頑張ってみましたのでお楽しみいただけたら幸いです。

 

さて、今年もがんばっていきましょう~^^

 

アディオス、アミーゴ!

(^-^)