I Gringos non perdonano (白人は許さない)
1965年のヨーロッパ製西部劇です。
ドイツ、フランス、イタリア合作とのことですが
主導はドイツだと思われます。
Die schwarzen Adler von Santa Fe
(サンタフェの黒い鷲)
監督はエルンスト・ホフバウアー氏
Ernst Hofbauer (1925-1984)
オーストリア出身の彼は1950年代から映画紹介で助監督業に勤しんだのち英国TV番組のディレクターとして活躍、その後はドイツでアクション娯楽系の映画監督として名を馳せ、その後はポルノ映画で一時代を築いたそうです。
また、イタリアのアルベルト・カルドーネ氏 も"Albert Cardiff" 名義でクレジットされています。
Alberto Cardone (1920-1977)
「地獄から来たプロガンマン」「砂塵に血を吐け」などマカロニウエスタンではお馴染みの監督さん。
その他多くのスタッフに当時の西ドイツの面々が名を連ねており、やはりドイツ主導で制作されたと判ります。
映画はコマンチ族に襲撃される幌馬車隊という映像から始まります。
1965年、マカロニウエスタンにしては初期の作品で、なんとなくハリウッド西部劇に寄せてるのかな?なんて思いがふとよぎります。
コマンチ族の襲撃をからがら逃れた白人住民たちは米軍イーグルロック砦に逃げ込み難を逃れます。
そして本作の主人公クリス・マクファーソンもコマンチ族の襲撃をかわして砦に到着。
演ずるはブラッド・ハリス氏
Btad Harris (1933-2017)
アイダホ生まれのマッチョマンはスタントマンとして活動開始し、史劇参加のためローマに渡ってペプルム映画でスターとなり、その後もイタリアに残って娯楽映画への出演を続けました。エクササイズ用品を発明し会社を立ち上げるなどもしながら2012年まで膨大な数の出演歴を誇りました。
クリス・マクファーソン、実は現地の紛争に関する真相を突き止めるために騎兵隊に雇われたエージェント。
コマンチ族の襲撃から次々に人々が逃げ込んでくるイーグルロック砦を守る責任者は、米軍ジャクソン大尉。
演じたのはヨアキム・ハンセン氏
Joachim Hansen (1930-2017)
当時東独のフランクフルトに生まれた彼は語学力に優れ(ドイツ語、フランス語、イタリア語に堪能で通訳をやっていたことも)西ドイツ移住後演劇学校に入学、舞台演劇でキャリアを重ねたのちに映画界へ。ナチス将校の配役などで一世を風靡し1960年代後半からは国際的に活躍されました。「鷲は舞い降りた」が有名ですね。西部劇への出演は本作だけのようです。
生真面目でちょっと弱気なジャクソン大尉。彼を鼓舞するクリスをサポートするのがジャーナリストのブレイド・カーペンター。この洒落者な凄腕ガンマンを演じたのはホルスト・フランク氏
Horst Frank (1929-1999)
ハンブルク出身の彼は小劇場での地道な仕事から初めて次第に演劇界で知られるようになり1950年代後半からはTVや映画で悪役として活躍、数え切れないほどの作品に出演しました。マカロニウエスタンでも印象に残る悪役が多いですが、なんと本作ではヒーロー側の役どころ。どんな役でも見事にこなす素晴らしい役者っぷりを見せてくれています。
マカロニウエスタンで「ジャーナリスト」がガンマンとして出てくるのは他にあまり例がないと思うのですが、もしかしたら補作の脚本担当ジャック・ルイス氏が戦闘特派員で名を挙げたジャーナリスト上がりだからかな、などと邪推したりしてます。
砦の中では比較的平穏に暮らすことが出来ているようで、ダンスイベントなんかが行われていたりもします。
そんな中、クリスはコマンチの襲撃から命からがら逃げてきた女性ラナ・ミラーと恋に落ちたりします。
ラナ・ミラーを演じたのはオルガ・ショベロワ女史
Olga Schoberová (1943-)
プラハ生まれ。当初は会社の事務員として働いていたそうですが、お姉さんのエヴァさんがモデル業を営んでおり、多忙の際に容姿が似ているオルガさんに代役を頼んだところ、これが大好評で、あれよあれよと映画主演まで決まっちゃったという逸話があります。ヨーロッパにとどまらず北米でも映画出演などで活躍されました。本作の2年後(共演がキッカケだったかは不明ですが)ブラッド・ハリス氏と結婚されました。
クリスの相棒ブレイドが恋に落ちたのはコーラ・モートン嬢。演じたのはヘルガ・ゾマーフェルト女史
Helga Sommerfeld (1941-1991)
ベルリン出身。10代後半からドイツの演劇や映画に出演し、その後TVでも数多くの出演作を残しました。
コーラ・モートン嬢のお父様は近隣に豪邸を構える大地主。
娘は実情を知らないままなのですが…実はコマンチ族居住地の地下に油田があると知り、米軍とコマンチ族の対立を煽っている黒幕なのです。
モートン氏を演じたのはヴェルナー・ピータース氏
Werner Peters (1918-1971)
東ドイツ生まれの彼は10代後半にコメディアンとしてキャリアをスタート。その後は演劇畑で実力をつけ20代後半から映画で活躍。卓越した演技力で東ドイツ国民賞を受賞するに至り、1950年代後半からは西ベルリンに移住し、主に悪役として無数の映画およびTVドラマに出演しました。
モートン氏の黒い企みを成就させるべく動く実行部隊の隊長格は「ジェントルマン」と呼ばれる男。
演じたのはピンカス・ブラウン氏
Pinkas Braun (1923-2008)
スイス生まれの彼は16歳で業界に入り演劇界で頭角を現し、その後映画やTVで主に悪役として引っ張りだこに。また俳優としてのみならず戯曲の翻訳者としても知られた存在なのだそうです。
ジェントルマンの手下は二人、スリム・ジェームズとブラック・ジェームズ。
スリムの方はトーマス・ムーア名義でエンニオ・ジローラミが演じています。
Enio Girolami (1935-2013)
イタリア映画界ではお馴染みの映画一家の出身で。マカロニウエスタンはもちろん、数え切れないほたどたくさんの映画に出演されました。
ブラックの方はセルジュ・マルカン氏が演じました。
Serge Marquand (1930-2004)
フランス出身の彼も、いくつかの印象的な悪役としてマカロニウエスタンのファンにはお馴染みです。実はレーシングドライバーとしても活躍されたそうです。
ジェントルマンたちが米兵を装ってコマンチ虐殺を繰り返し
業を煮やしたコマンチ族のチーフ "ブラック・イーグル" は白人達との全面戦争を決意します。
ブラック・イーグルを演じたのはトニー・ケンダル氏
Tony Kendall (1936-2009)
ローマ生まれの彼はモデルとして業界デビュー。1960年代前半から映画界で活躍しました。本作で共演のブラッド・ハリスとのコンビは、その後何本もの大ヒット作となったそうです。マカロニウエスタンでも本作はじめ8作で印象的な役柄をこなしております。
モートン軍団は知事の使者から手紙を奪い取り改竄し砦に伝えます。ちなみに哀れな使者を、お馴染みロレンツォ・ロブレド氏が演じています。
Lorenzo Robledo (1918-2006)
スペイン出身。マカロニウエスタンに欠かせないといっても過言ではないバイプレイヤーですね。100本ちかい出演作があるとのことですが、有名作品での印象的な役柄が多く、記憶に残る俳優さんです。
コマンチ族がナバホ族らと同盟を組んで大襲撃を企てているとの情報。気弱な(いや、無謀な争いを避ける懸命な)大尉は、砦からの撤退を決意。
一方、クリスはブラック・イーグルに真相を告げる。
決定的証拠はジェントルマンがコマンチ虐殺現場に残した薬莢。
モートン軍団は砦から出た米兵&民間人たちを罠に誘い込んで殲滅を企てます。
同じ頃、ブラック・イーグルはモートン軍団への襲撃を決意し、雄叫びと共に出撃。
劣勢の米軍部隊…
しかしコマンチ到着で戦況逆転
モートン軍団は追い詰められてゆきます。
そんな中、モートンの悪行を知ってしまった娘コーラは脚を打たれたブレイドを介抱しますが…
流れ弾に撃たれて絶命してしまいます。
最終的には満身創痍のブラック・イーグル自身がモートンを断崖絶壁に追い詰め、ともに転落。
その勇気に大尉たちは敬礼、死を悼みます。
見守るクリス、ブレイド、そしてラナ。
一見、ネイティヴと白人の対立に思わせて
実は石油利権の独占を目論む地主の悪行を暴き制裁するというお話。
1965年としては、さして入り組んだプロットではないもののハリウッド的な雰囲気とヨーロッパ風な作劇がちょうど良い感じにブレンドされている印象を抱きました。
(ホルスト・フランクが「いいやつ」で活躍してるのが新鮮!)
そして、何といっても本作を魅力的にしているのが劇伴です。いわゆるマカロニ節ではありませんが、ハリウッド的な曲想を中心にロック寄りの、力強いビートがクールな楽曲が随所で聴かれます。
音楽担当はゲルト・ヴィルデン氏
Gert Wilden (1917-2015)
チェコ出身、プラハ音楽アカデミーに学び、学生時代にすでに地方放送局の管弦楽団の指揮を務め、その後ミュンヘンに移住してからは映画音楽の作曲家として活躍。ドイツで最も多忙なサントラメーカーとして名を馳せ、その後もアレンジャー、プロデューサーとして、さらにピアニストとして晩年まで活躍されたそうです。
本作のメインテーマは、よくあるマカロニの作風(ラテンっぽいメロディやスパニッシュなアレンジ)とは違って、よりストレートでダイナミックな印象。
また、ハリウッド西部劇を思わせる作風の3拍子系など
こちらのアクションBGMも当時のハリウッド映画風。
この辺を、自分なりに解釈してカバーしてみました。
お聴きいただけたら幸いです。
ちょっと暖かくなったと思ったらまた寒波。
みなさまどうぞくれぐれもご自愛を。
アディオス、アミーゴ!
(^-^)










































































































































































