3 colpi di Winchester per Ringo (1966)

日本では劇場未公開ですが、「対決!ウィンチェスター銃」のタイトルでTV放映されました。

 

当時の反響はリアルタイム世代じゃないと知り得ないところですが、現在では「カッコいいサントラで有名な映画」

と認識してます。

かつては「激レア音源」的なポジションだったそうです。

今や配信でもYoutubeでも気軽に聴けるという嬉しい状況。

イイ時代になったのでしょうが…当時の「乾き」と、それが満たされる喜びを知る方からすれば、今の時代は感動が少ないように思えるのかも知れません。

 

そんな「対決!ウィンチェスター銃」は

世界的マカロニウエスタンブームの真っ只中に作られましたが、ややひねりのある展開で心に残る作品に成っております。

 

友情、そしてその破綻…

 

失われることのない、家族の絆

 

戦争がもたらした数奇な運命…そして盲目というハンデ

 

欲望が、嫉妬が、ひとを悪に駆り立てる

 

 

監督はエミモ・サルヴィ氏

Emimmo Salvi (1926-1982)

映画製作マネージャーとして敏腕を振るい、やがて自らもメガホンを手に。娯楽作品を中心にペプラムや本作はじめマカロニウエスタン、さらにコメディなどを監督、また脚本家としても活躍しましたが不慮の事故で82年に逝去されました。

 

主演はミッキー・ハージティ氏

Mickey Hargitay (1926-2006)

いかにもアメリカンな雰囲気…ですが実はハンガリー出身。アスリート一家に生まれた優れたスポーツマンだそうで、幼少期から兄弟でアクロバットチームを組んで人気者となり(国内ツアーしてたらしい)、20歳で中欧のスピードスケート二冠王(長距離は惜しくも二位)に輝いたそうで。

戦後は米国移住、配管工や大工として暮らしていたところ、かのスティーブ・リーブスに刺激されてボディビルの道へ。29歳でミスター・ユニバースに輝いたそうです!

その後米国で俳優として活躍、イタリアや故郷ハンガリーに

も出演作を残しております。

難病のため2006年にこの世を去られましたが「ボディビルをメジャーな存在に押し上げた重要人物」と評されているようです。

 

彼が演じる主人公リンゴ・カーソンの親友がフランク・サンダース。

こちらはゴードン・ミッチェル氏が演じております。

Gordon Mitchell (1923-2003)

こちらもボディビル出身。軍人~体育教師を経てのボディビルダー、そして俳優。本作はペプラム映画の大御所二人の共演ということになりますね。200本を超える出演歴を誇り、米国やイタリアの作品のみならず世界各国で活躍されたそうです。

 

ヤンチャな男二人、親友でもありいずれも凄腕ガンマン。

賞金目当ての人質救出…救った女の子ジェーンに二人とも惚れて。一方はフラれて腹いせに喧嘩をふっかけ…でもそこは親友同士。思いっきり殴り合えば解りあえる。

そんな二人を変えたのは戦争、時の流れ、運命のいたずら。

 

愛するジェーンと結ばれ、母親とも和解、町の保安官に任命されて息子も生まれ、幸せ絶頂のリンゴ

 

一方サンダースは、敗軍である南軍の兵士。全てを失い敗残兵ゲリラとしてしか生きる道はなく…

 

敗残兵ギャングと市民の小競り合いの中、火事の家に取り残された幼子を救ったリンゴはその代償として視力を失った…奇しくもそのリンゴを救ったのはその場に居合わせたサンダース。

 

そして歯車が動き出す(というか、狂い出す…)

 

渦中のヒロイン、ジェーンを演じたのはミラ・サノナー嬢

Milla Sannoner (1938-2003)

60年代初頭にミス・シネマに選出され、その後90年代まで映画やTVで活躍されました。マカロニウエスタンへの出演は本作以外にコルブッチ監督の「グランドキャニオンの大虐殺」(1963)など。

 

リンゴ、サンダース両者と親友であった「第三の男」トムを演じたのはスパルタコ・コンベルシ氏(クレジットは英語風にスピアン・コンヴェリー)

Spartaco Conversi (1916-1989)

マカロニウエスタンではお馴染みの俳優さん。ローマ生まれローマ育ち、割と悪役が多い印象ですが気のいいオジさんの役も素敵

 

本作のメインヴィランは、町の富の独占を狙うダニエルズ。

演ずるは、こちらのマカロニでは悪役の多いイヴァノ・スタチオーリ氏(クレジットはジョン・ヘストン)

Ivano Staccioli (1927-1995)

イタリア生まれの彼は50年代後半から娯楽映画を中心に映画に多数出演、ペプラムからマカロニウエスタン、スパイものからホラー、コメディそしてセクシー系と

90年代年までイタリアの娯楽映画を支え続けました。

 

ジェーンの父ウォルコムを演じたのはアメデオ・トリッリ氏(マイク・ムーア名義)

Amedeo Trilli (1906-1971)

1930年代からイタリア映画界で活躍した名バイプレイヤー。ペプラム、コメディ、ファンタジー等々130本を超える映画への出演歴があります。

 

リンゴの母親を演じたのはマルゲリータ・ホロヴィッツ女史

Margherita Horowitz (1919-2011)

オーストリア出身。14歳で舞台に立ち、戦中イタリアに移住。戦後は活動の主軸を映画に移して性格俳優として活躍。

 

やや重そうなプロットに思えますが、物語のテンポがいいので飽きることなくエンディングまで進みます。

多才な音楽がそれを後押し。

音楽担当はアルマンド・シャッシャ氏

Armando Sciascia (1920-2017)

バイオリニストとしてキャリアをスタートしたのち、様々な楽団を経て自身のバンドを結成し商業的にも成功。1960年代初頭にレーベル設立し「イ・プー」など数多くのバンドの発掘とプロデュースを手がけたイタリア音楽界の重鎮。

映画音楽も多数残していますがマカロニウエスタンは本作だけと思われます。

 

本作のサントラはマカロニウエスタンファンのみならず

多くの映画ファン、音楽ファンを惹きつける名サントラとして、本作を鑑賞したことのない方々にも知られております。

西部劇らしい外連味とスピード感がかっこいい、ドラマティックなメインテーマ。

(毎度ながら、マカロニ道の先達である保田氏のチャンネルより。登録是非に!)

 

 

劇中曲も印象に残るものが多く、1966年という時代を考えると、シンセの使用はかなり先駆けだったのではないかと思われます。

 

マカロニらしい「いなたい」アクションテーマもかっこいい

 

どことなくブルーノ・ニコライ氏とニコ・フィデンコ氏の作風を併せ持つような印象を受けました。

 

そんなシャッシャ氏の名曲にカバーで挑んでみました。

お聴きいただけたら幸いです。

 

 

 

 

自身のバイオリンをフューチャーしたジャズロックアルバム

"Violin Vertigo - Suoni E Immagini Di Mille Violini" から Emphasis

 

スピード感あるリズム隊とふくよかな音のバイオリンの組み合わせがとっても新鮮で素敵なアルバムです。

 

 

いよいよ春、みなさま健やかにお過ごしくださいませ

 

アディオス、アミーゴ!

(^-^)