El más fabuloso golpe del Far-West (1972)

フランス、スペイン、イタリア合作のマカロニウエスタン。

"Nevada" の名でも知られてます

なんと、数えきれないほどの悪役、憎まれ役を演じてきたマカロニヴィランの筆頭格であるフェルナンド・サンチョ親分が主人公!という異色作。

雪山マカロニと言ったら「殺しが静かに~」が有名ですが、こちらも負けず劣らずの面白さです。

 

西部きっての堅固な金庫を持つサンバレー

 

この町に集結した7人組。

① リーダー格、ミシガン

演じたのはマーク・エドワーズ氏

Mark Edwards (1942-)

オーストラリア出身。ヨーロッパで俳優活動を開始、英国を中心にホラーなどの分野で活躍。1970年代後半からは母国で活動したそうです。

 

 

目的は金庫強奪。綿密な計画を実行するため、時間はキッチリと…時計が要所要所に映し出されます。

しかもスマートに無血強奪が目標。

 

② 陽気なメキシカン、レイエス。

ご存じフェルナンド・サンチョ氏

Fernando Sancho (1916-1990)

劇団を主宰する兄にあこがれ演技をはじめ、スペイン内戦じに中尉として駐屯したバルセロナでのラジオ出演(ニュースの読み上げだったとか)が本格的芸能活動のきっかけだそうです。その後の活躍はご存じの通り、出演作は生涯で300本を超えるのだとか。

 

③コワモテのジェレマイア。

こちらも悪役でお馴染みピエロ・ルッリ氏

Piero Lulli (1923-1991)

彼も悪役としてマカロニウエスタンに欠かせない存在ですね。若いころはけっこうイケメンなのですが…ちなみに兄はパルチザンとして活躍したのち性格俳優に転身したフォルコ・ルッリ氏(十字架の用心棒に出演のひと)

 

オープニングで、美しい音楽が流れる中

サンチョ親分とピエロ・ルッリ氏が、雪投げ合ってじゃれあうシーンがなんとも印象深い(笑)

 

④曲者のポルド

演じたのはチャーリー・ブラボー氏

Charly Bravo (1943-2020)

モロッコ出身、マカロニウエスタンから「コナン・ザ・バーバリアン」まで60~80年代の娯楽映画で活躍。200本の映画出演と数えきれないTV出演歴を誇る。

 

⑤内気な爆弾マニア、バッド

演じたのはイヴァン・ヴェレッラ氏

Yvan Verella 

実は本作に出演している以外の情報が見つかりませんでした…誰かご存じの方がいたら教えてほしいです涙

 

⑥脱走兵ジェス

フランク・ブラナ氏が演じております。

FrankBraña (1934-2012)

スペインではお馴染みの悪役俳優さんですがドル三部作はじめメジャーな作品にも名を連ねており、西部劇以外のさまざまなジャンルで2000年代まで活躍されました。

 

⑦同じく脱走兵スティーヴ

フェルナンド・ビルバオ氏が演じております。

Fernando Bilbao 

ときにフレッド・ハリスの名でも知られる彼もマカロニはじめ娯楽映画の常連さん。1960年代半ばから2000年代初頭まで活躍されました。

 

この「七人の悪玉」に関わる三人の美女たち

一人目はマリオン

カルメン・セビージャ女史が演じました。

Carmen Sevilla (1930-2023)

スペインきってのアイドル~人気女優の彼女。おそらく人気絶頂の時期ですね。同年には国際的な大作映画「アントニーとクレオパトラ」に主要キャストの一人として出演しておられます。

 

姉マリオンと対立する妹ソフィア。あまり本編ストーリーに関係のない二人ですが、画面に花を添えてくれています。

こちらはバーバラ・キャロル女史。

Barbara Carroll

詳細不明ですが1930年代にアメリカ生まれ、数本のハリウッド映画と10本のイタリア映画(ペプラム3本、マカロニウエスタン4本)に出演されたそうです。本作が彼女の最期の出演作でないかと。

 

三人目はルーペちゃん。演ずるはパティ・シェパード女史

Patty Shepard (1945-2013)

実はアメリカ生まれ。勉強のためにスペイン留学したけどモデル業やCMタレントとして引っ張りだこになっちゃって、女優としてもイタリアやスペインで数多くの出演歴を持っております。

 

さて物語は。七人組が狙うのがサンバレー銀行の金庫

通常の力業の強盗ではなく、綿密な計画で挑みます。

 

あらかじめジェスとスティーブが金庫の真下から離れた洞窟に続く穴を掘っておき、結構当日には酒場での乱闘や町の各所でダイナマイトを炸裂させて堅固なガードマンや保安官たちの気をそらしておいて、金庫の真下からダイナマイトを作用させて金庫ごと地下の穴に落とし、トロッコで運び出す、という作戦。

 

本来は「無血強盗」のはずがちょっとした手違いから幾人かの犠牲者を出してしまったものの、おおむね成功。

 

町はずれの雪山の小屋で一同は集合の予定。

しかし肝心の馬車(ジェスとスティーブ、そして何より大事な金庫が乗ってる)が、いつまで経ってもやってこない。

 

翌朝、馬車はひっくり返った状態で発見

 

ジェスとスティーブは、遭難ではなく何者かによって殺害され、金庫は消えていた

 

この計画を他に知る者はなく

つまり、残り5人のうちの誰かが、ジェスとスティーブを殺害し金庫を独り占めするため何処かに隠した…

 

疑心暗鬼に陥る5人。

そしてさらに、ミシガンも殺害された状態で発見された。

 

動きの怪しいポルドを尋問したところ、自らの犯行を認め

金庫の隠し場所を自白

 

しかし単独犯ではなく、ジェレマイアもグルだった

不意を突かれレイエスとバッドは凶弾に倒れ

ポルドとジェレマイアは湖底に沈めて隠した金庫を引き上げ、ダイナマイトで錠を破壊。

まんまと金塊を独占に成功。

 

有頂天の二人だったが、あることに気づいてブチ切れ

殺害したはずのレイエスの亡骸がない!

血痕が点々と尾根の方へ…

 

防弾版を仕込んでおいたレイエスの周到さが命を救ったというわけです。

 

追ってきた二人とレイエスの銃撃戦。

ここでも頭脳プレーでジェスとスティーブを圧倒しレイエスは一人生き残りました。

レイエス、怒りのウィンチェスターが火を噴く!

 

さあ、これで金塊独り占め!と思った矢先。

獲物を乗せた白馬ちゃんが逃げ出す事態に。

 

追うレイエス。

 

やっと追いつくか…と思いきや、すでに町に戻ってきていた白馬ちゃん。

金が戻った!と大喜びの町人たち。

 

さすがにこれ以上無理、とあきらめたレイエスさん。

もう逃げるしかない…のだが、町人が群がってきて

馬から引きずり降ろされる

 

もちろん強盗犯は縛り首と相場は決まってます。

観念したレイエスのもとに、銀行の頭取が近づく…

 

よくぞ金を取り戻してくれた、ありがとう。

お礼として、1万ドルは君のものだ!

 

なんと、極悪人たちの醜い闘争を生き抜いた

極悪人の中の極悪人がヒーローになって

どでかい報酬を手にしちゃった、という。

レイエスのカメラ目線のこの表情、最高です。

(第四の壁を破る表現、マカロニウエスタンでは珍しいかも)

 

なかなか素敵なプロットですし、キャストの妙で

傑作と呼べる完成度に至っております。

監督はホセ・アントニオ・デ・ラ・ロマ氏

José Antonio de la Loma (1924-2004)

スペイン出身、当初は学校教師など教育に人生をささげていたそうですが、趣味が高じて演劇~監督業がいつしか本業に。冒険もの、マカロニウエスタンなどを経て、やがて社会派の映画を製作をへて「シネ・クインキ」と呼ばれる独特なジャンルの勃興と隆盛をもたらしたそうです。

 

音楽はステルヴィオ・チプリアーニ氏

Stelvio Cipriani (1937-2018)

ローマ出身、もとはジャズ畑のピアニストで渡米してデイヴ・ブルーベック氏に師事したそうです。

副業でボイトレ講師をやってて、その中の生徒の一人がトーマス・ミリアン氏で、その紹介で「ガンクレイジー」のサントラを担当したのが映画音楽に関わるきっかけだといいます。作曲のみならず、編曲、指揮、演奏も可能な部分は可能なだけ自身で、というモットーを持った職人気質の音楽家ですね。

 

このチプリアーニ氏の音楽が実にいい!

とくにOP曲でもある主題歌 "They call it gold" は絶品!

ストリングスやその他の繊細な音色、ドン・ポウエルの優しくも力強い歌が、物憂げなバラードから雄大なワルツへ。

雪山の凛とした美しい景色と相まって、本当に素晴らしいサントラだと思います。

 

今回もハードルが高く感じましたが、頑張ってカバーしみました。お聴きいただけたら幸いですm(_ _)m

 

 

ちなみにカルメン・セビージャ女史のインタビューと

美しいお姿のあれこれを楽しめるのがこちら。

本当に国民的な女優さんだったんですね~

 

 

春はもうすぐそこ、ですね

 

アディオス、アミーゴ!

(^-^)