Uomo avvisato mezzo ammazzato...parola di spirito santo (1972)

”聖霊曰く、備えあれば憂いなし”

といった意味でしょうか。

 

英語タイトルは "His name was Holy Ghost" あるいは "They call him Holy Ghost"

 

「聖霊」を名乗る白ずくめの男が肩に白い鳩を乗せ

メキシコ革命の真っ只中に出現し金鉱をめぐって大暴れ!

という痛快マカロニウエスタン。

 

監督はアンソニー・アスコットこと

ジュリアーノ・カルニメオ氏。

1970年代に入ってからの娯楽マカロニウエスタンの巨匠です。「サルタナ」「アレルヤ」「トレセッテ」「カンポサント」などのシリーズでお馴染み

Giuliano Carnimeo (1932-2016)

ちょっと荒唐無稽な娯楽アクション系マカロニウエスタンで活躍したのちはセクシーコメディ系の作品をよく手がけたようです。全く余談ですが僕と誕生日が同じ。

 

主演はジャンニ・ガルコ氏

Gianni Garko (1935-)

彼とカルニメオ監督、そしてブルーノ・ニコライ氏の組み合わせは安定の面白さ。70年代のマカロニを支えたと言っても過言ではないと思います。

 

謎機関銃がメキシコ軍を一掃!

カルニメオ監督の作品には大概ふしぎな機関銃が登場する印象

 

マントは裏地が鏡面反射。目つぶし攻撃!

マントに隠してあったのでしょうか

いつのまにか両手に握られた拳銃が火を噴く!

チーフスペシャルっぽいダブルアクション…時代を先取りしすぎというか

 

変装して敵地に潜入。粋なハットは手榴弾に早変わり。

 

防弾装備は、まさに「備えあれば憂いなし」

 

そして鳩。その名も「イーグル」

彼(彼女?)、なかなかイイ働きします。

「ガンマン大連合」のマーシャとは違います(あっちは本当に鷹)。

 

まるで劇画のような颯爽とした登場。

 

金鉱を求めてメキシコまでやって来たものの

場所を記した地図の肝心なところに穴が。

 

金鉱探しに奔走しつつ気づいたらメキシコ革命のお手伝いをしちゃってた的なストーリーです。

 

本作も濃いキャラが多数登場して各シーンを盛り上げてくれます。錚々たるメンツが揃ってますね

 

コワモテのメキシコ正規軍ウバルテ将軍

演じたのはポルド・ベンダンディ氏。

Poldo Bendandi (1920-1991)

独特の風貌で60年代から80年代にかけて娯楽映画を中心に活動しましたが、性格俳優としても優秀とのこと。またローマのレストラン経営者としても活躍されたそうです。

 

金鉱の半分を所有する実力者サミュエル・クロウ

演ずるはポール・スティーブンスことパオロ・ゴズリーノ氏

Paolo Gozlino (1929-1992)

実はダンサー出身。RAIのお抱え振り付け師として名を馳せ、その後すぐれた身体能力を生かして俳優としても大活躍。個人的には「ジャンゴ・ザ・バスタード」のロッド・マードック役が印象的でした。

 

スマートな兄貴に比べてずいぶん粗野な荒くれガンマン、バーン・クロウ役はリック・ボイド氏

Federico Boido (1938-2014)

実は画家としての顔も持っている素敵な役者さん。マカロニウエスタンではお馴染みの悪役さんですが、他のジャンルでもその名を多く見かけます。2001年まで演技の仕事を続けられたそうです。

 

クロウ兄弟の手下には僕の好きな俳優さんリノ・コレッタ氏もいます。

Lino Coletta (1932-2012)

シチリア生まれの彼は60年代半ばから俳優活動をはじめ、マカロニウエスタンやマフィアものを含む娯楽映画の分野で80年代初頭まで活躍。

 

ウバルテ将軍の部下であるメキシコ軍大佐を演ずるのはご存じネロ・パッツアフィーニ氏

Nello Pazzafini (1934-1997)

マカロニファンなら知らぬ者はいないくらいのお馴染みさん。元プロサッカー選手でフェンシングの達人でもあるそうです。

 

同じくウバルテ将軍の腹心フィエスタを演じるのはカルロ・ガッディ氏

Carlo Gaddi (1936-1977)

ローマ教皇の椅子運びの責任者という重大な職に就きながら、その身体能力を生かして(格闘技の達人だそうです)俳優としても活躍、早逝が惜しまれる役者さんです。

 

宝探しを確実なものにするためサントが手を組んだのは怪力の持ち主リトル・チキン。こちらを演じたのはクリス・フエルタ氏

Chris Huerta (1935-2004)

悪役からコミカルな役までこなす彼、実は「さすらのガンマン」や「続・荒野の用心棒」にも出演されてたんですね~70年代以降はバッド・スペンサー的な「力持ちバディ」としての役柄が多かったようです。個人的には「盗っ人野郎サンタナ」の可哀想な保安官助手が印象的です。

 

サントが救った革命軍の中心人物、ドン・フィルミノ・メンドーサ。演じたのはジョルジュ・リゴー氏(左)

George Rigaud (1905-1984)

アルゼンチン生まれの彼は、移住先のフランスで俳優としてキャリアをスタート。1930年代からスペインやイタリアで大活躍、出演作は200本を超えるとされ1981年まで第一線で演じ続けられました。マカロニウエスタンでは「禿鷹のえさ」などなど

 

ドン・フィルミノ・メンドーサの娘フアナちゃん。本作のヒロイン枠ですね。

演ずるはピラール・ベラスケス嬢

Pilar Velázquez (1946-)

スペイン出身の彼女、1960年代から女優として活躍、主にイタリア映画~マカロニウエスタンやホラー~に多数出演なさってます。1979年、結婚を機にきっぱり33歳で引退されたといのこと(その後90年代にちょこっと復帰してたりするそうです)

 

ブラザー・ジョン役はアルド・バルベリート氏

Aldo Barberito (19245-1985)

60年代からイタリア娯楽映画で活躍し、カルニメオ監督作品の常連ぽいですが、実は声優として相当に活躍された方です。「グレンダイザー」「マジンガーZ」「鋼鉄ジーグ」「カムイ伝」等々

 

サントに協力する娼婦軍団を率いるマダム・メイ役はダダ・ガロッティ女史が演じました。

Dada Gallotti (1935-)

17歳で銀幕デビュー、その後1992年まで映画やTVで数多くの役柄をこなし第一線で活躍した女優さん。

 

まあ豪華な顔ぶれ!

この賑やかなキャストたちのドタバタを盛り上げるのが、ブルーノニコライ氏の躍動感溢れるサントラ。

Bruno Nicolai (1926-1991)

マカロニ・ウエスタンのサントラを代表する音楽家の一人。

このジャンルの作曲家と言ったら世間一般にはエンニオ・モリコーネ師が第一人者という認識かもしれません。確かにパイオニアとしての重要性と言う点では間違いない事実ですが、ニコライ氏の同ジャンルへの貢献度は、それを時に凌駕するものであります。

ローマの音楽院でペトラッシ氏の弟子であったことや、その影響から十二音技法を駆使すると言う点でエンニオ・モリコーネ師と共通の部分も多く、似た印象を与える楽曲も少なくないですね(実際長らくパートナーとして影響を与え合っただろうし)。

 

そんなニコライ氏による主題歌 "Libertad" 

聴けばいつでもテンションのあがる名曲です。

僕のマカロニ師匠である保田氏のYoutubeチャンネルから。ぜひ登録願います!

 

主題歌だけでなく劇中曲も独特で味わい深い曲の多いサントラ、自分なりにカバーしてみました。

お聴きいただければ幸いです!

 

アディオス、アミーゴ!

(^-^)