6/18のラジオ番組 i-wave76.5FMいちのみや 毎週水曜夜9時
「幻界からの一撃!」



お届けしました「世界の波動から」
前国王妃の記念日、ということで「カンボジア特集」


カンボジアにはクメール王朝の古の佳き日を伝える素晴らしい音楽があります。






(スコーピオンズのTシャツ着てますが…)









しかし、先のブログに記したように

75年に始まるポルポト政権~クメールルージュの大虐殺で

文化らしい文化はすべて失われました。





「知識」を否定したこの政権は

知識人すべてを葬り、音楽家も例外なく、悲劇の露と消えました。

設備もすべて破壊され、一切は閉じた。



そう思われていました。




しかし、近年、奇跡的に残った音源を発掘し
さらに、「今」の息吹を加えて再生しようという動きがあります。



ええ。

カンボジアン・ロック再興の時

です。




かつてカンボジアの首都・プノンペンは「東洋のパリ」謳われる

美しく発展した町でした。

大戦後もその栄華は続き

「東南アジアの真珠」と呼ばれていました。



当然そこには文化が栄え、行き交う人たちは
流れる音楽に笑顔がこぼしていました。


英国~USA発のロックンロール、ビート系ロックはいち早く導入され
クメールの伝統音楽の影響を受けながら独自に発展し

実は当時、東洋で最も進んだロックミュージックを体現する国
そう形容されたりもしていたそうです。


75年の悪夢までは。




近年、この「奇跡の時代」の
数少ない記録をまとめたドキュメンタリー映画が作られました。

(日本未公開)

"Don't Think I've Forgotten"

「忘れた、なんて思わない」






失われたと思われていた黄金のカンボジアンロックが、今よみがえる。



そして。


それに呼応するかのように。


2000年代に入って、米西海岸で頭角を現したバンドがいます。


Dengue Fever



デング・フィーバー。

(ちなみにバンド名はデング熱・・・熱帯地方の恐ろしい感染症ですけどね汗)


中心になっているのが、カンボジア生まれのChhom Nimol嬢。



LAに棲むイーサンとザックのホルツマン兄弟は、彼女の歌声にKOされ
バンドを組む。

そして「カンボジアンロックを再び」を合言葉に

独特の音楽性~東洋的ビートロックの現代的解釈~で進撃中。


番組で紹介したのは "Mr. Orange"



いや~~~気持ちいい!!!

この感覚。サイケでオリエンタルでノスタルジックでヒッピー。


近年は
より「ロック」としてパワーアップしたアルバムをリリース。



ますます注目を浴びています。




なんというか、日本で言う「昭和歌謡」に通じるテイストですよね。






オルガンの音、ギターのフレーズ、ビートすべてが雰囲気あり過ぎ!






そして彼女ら(彼ら)は、「失われた」カンボジアンロックの
コンピレーションアルバムを企画したりもしています。




今や時代の寵児に。

Chhom Nimolさん、とっても表現力のあるヴォーカルですね。
アジア人として、アジアらしさを隠すことなく
それを誇りとして凛と歌いあげる。
感動的ですらあります。




バンドも、その意思をガッチリ支えるツワモノぞろい。






そして。


彼女たちが、「忘れたなんて思わない」

伝説的歌手こそ、ロ・セレイソティアさん。





1948年生まれ。

若くしてその才能を見いだされ、ポップシーンに燦然と輝いた歌姫。


「鈴の様な歌声」と親しまれ
先輩格の国民的歌手、シン・シサモットに可愛がられ芸能界の中心へ。

カンボジア歌謡界の大物、シン・シサモット




セレイソティアはディーヴァとして成長し

やがて国民的アイドル、スターに。




国王にも認められる頃には
「王都に輝く黄金の歌声」

と称されるまでになりました。




映画や舞台でも活躍。

歌もどんどん色々なものにチャレンジしていきました。





日本で例えるなら、美空ひばりさんの様な存在だったのでしょうか。


やっと手にした独立。戦火の影響が残る中、人々に希望を与えた彼女。




しかし、悪夢は彼女にも容赦はしませんでした。


こちらも日本では未公開の短編映画

"The Golden Voice" のトレイラー








先々週の放送では、エストニアの合唱から始まった愛国運動~独立運動
「歌う革命」を例にあげました。


「音楽が世界を動かす」と。




しかし、逆に


無慈悲な力が、人々の音楽をいとも簡単に奪ってしまうこともある。




どちらも、今の日本人には、遠い外国の、遠い過去のこと。






でも、それって、本当に、「自分たちにはあり得ない世界」の話でしょうか??

現在でも、世界のあらゆる地域で紛争、武力闘争が行われ
罪なき人々が葬られ、泣き、苦しんでいます。






日本だって

外国の言葉や歌が禁じられていた事が、わずか80年前にありました。

素晴らしい音楽家も、スポーツ選手も
軍服を着せられ、敵弾の雨あられの中に飛び込んで行きました。


ポルポトも、もとは純粋で温厚な人物だったと云われています。




生まれついて残虐な人間が、生まれついて鬼畜な者だけが

悲劇的な行動を起こすわけではない、と、思います。




集団心理や、間違った教育、間違った情報
ゆきすぎた信心など


ほんのちょっとのボタンの掛け違いで

あなたも、わたしも、第二、第三のポルポトになってしまうかもしれません。




「地獄」も「天国」も、実はすぐ身近にある~メメント・モリ

それは真実だと思います。




けれども、同じくすぐ近くに「希望」もある。




カンボジアの悲劇は、人の醜さを教えてくれるけれど

その後の、カンボジアンロック再興の信念は、それに負けない人の強さを教えてくれる。



二度と悪夢は見たくない。





セレイソティアさんの、純粋過ぎる歌声。心に響きます。







そして、奇跡のカンボジアンロック。

ちょっと、今キてるかもしれません。

いくつかコンピアルバムも出ていますので


エキゾチックでハッピーなオーラに包まれた音楽が欲しいなら
一度おためしあれ!





















いや~ラジオだしね

あんま暗い内容とか、ガチすぎる内容ってどうよ、とも思ったの。




でも、メジャーじゃないわけだし

あてがわれたパワープレイ曲をただ流すような、いいなりDJじゃ
ローカルの意味ないっしょ。


それこそ、権力の下僕じゃん。



真実は、陽も陰もあっての真実。



そしてそれが人間。



耳当たりのいいのも大事だけど

こんなご時世、僕は真実が一番だと思うし



いろいろ国際関係が取りざたされる昨今

もう一度、権力や戦争、政治の暴走や、「力」の意味

考えたいな、って思ったんです。






ご理解を



m(_ _)m