Il lungo giorno del massacro (1968)

 

「虐殺の長い一日」

 

英語版も訳そのままに "The Long Day of the Massacre"

 

1968年、マカロニウエスタンの絶頂期に公開された本作は

仕事熱心な保安官が陰謀による冤罪で逃亡者に身をやつし、真相解明のために行動する、というプロットで

ジュリアーノ・ジェンマ氏あたりに似合いそうなストーリーだったりします(男気ある協力者や恋人の存在、極悪だけど憎めないメキシコギャングとそのファーストレディ的なクールな美女が出てくるあたりもそれっぽい)。

 

けれども本作はピーター・マーテル氏が主演。

なかなかにクセが強い主人公に仕上がってます。

(なんたってマカロニウエスタンでは悪役も多いですから)

Peter Martell (1938-2010)

スタントマンとしてキャリアをスタート、その後は脇役として多くの映画に出演(総数70本以上)、マカロニウエスタンでもよく見かける俳優さん。本作以外に "Due croci a Danger Pass" "Ringo, il cavaliere solitario" など幾つかの主演作があります。"Dio perdona… io no!" (1967) では主役のキャット・スティーブンス役にキャスティングされつつも、撮影前日のケガ(骨折)で降板を余儀なくされ、テレンス・ヒル氏が変わって主役を務めたという逸話は有名で、彼の不注意が結果的にテレンス・ヒル&バッド・スペンサーの超有名コンビを生み出したのかと思うと運命の数奇さを感じます。ちなみに「風来坊」も当初はピーター・マーテル氏とジョージ・イーストマン氏のコンビが想定されていたという逸話もあります。

 

彼が演じるのは保安官ジョー・ウィリアムズ。

腕は立つし正義感は強いけれど、なにせ荒っぽい。容疑者は有無を言わさず射殺してしまうという強引な手法には否定的意見も多いようで…

 

とくに裁判官は好ましく思っていないようで、冒頭からジョーを説得(説教?)しております。
演じているのはアンドレア・ファンタジア氏

Andrea Fantasia (??-1985)

フェンシングに長け、殺陣師およびスタントマンとして多くのイタリア映画に関わり、俳優としてもペプラム映画やマカロニウエスタンに出演されたそうです。また制作サイドでプロデューサーとしても活躍されたとのこと。

 

それでも強引な手法で保安官の務めに励むジョーの前に立ちはだかるのは凶悪なメキシコギャング団「ラ・ムエルテ」。

ボスはペドロという男。

演じたのはマヌエル・セラーノ氏

Manuel Serrano (1919-1981)

プエルトリコ系でNY出身、米軍の空挺部隊で相当な活躍をされ「タフで個性的なヤツ」で知られていたとか。その後ハリウッドで俳優活動をはじめ、ヨーロッパ映画で活躍しマカロニウエスタンでは本作以外に「ジョニーハムレット」のサンタナ役などが知られています。

実はかなり「出来上がった躯」をお持ちのセラーノ氏。タフな経験がそうさせたのでしょう。対するピーター・マーテル氏も元ミスター・イタリアなのだそうですが。

その割にお二方の拳闘アクションに関してはリアリティという意味でそこそこ(まあ当時はこんなものかも知れませんが)

 

演者の経歴に違わず、男気のあるキャラとして仕立て上げられているペドロは極悪ながらも、どこか憎めない存在だったりします。

 

そのペドロの手下、というか密偵であるクレイはジョーを排除しようと試みます。

クレイを演じたのはフランコ・ファンタジア氏

(前述のアンドレア・ファンタジア氏の弟さん)

Franco Fantasia (1924-2002)

ロードス島出身の彼は兄同様フェンシングの達人で、スタントマンや殺陣師としてキャリアを築き、剣劇系をはじめイタリア映画で大いに活躍されました(2000年までに130本以上の出演歴)。また後年は武器アドバイザーとしてもイタリア映画に貢献したそうです。マカロニウエスタンでもお馴染みの顔。

 

ちょっと間が抜けてるクレイは、見知らぬ農家夫婦の家をジョーの隠れ家と勘違い。勇んで襲撃したラ・ムエルテは「あれ?」と戸惑いつつも二人を殺害。

 

ここで存在感を見せつけたのはペドロの情婦パキータ。

演ずるは元ミス・イタリアのダニエラ・ジョルダーノ女史

Daniela Giordano (1947-2022)

ミス・パレルモからのミス・シチリア、そしてミス・イタリア、さらにミス・ヨーロッパコンテストの2位という輝かしい美貌を引っ提げ1967年女優デビュー、以後さまざまなジャンルで活躍、マカロニウエスタンでも「五人の軍隊」や "Buon funerale amigos!... paga Sartana" などで印象的な役柄をこなしております。1980年に突如女優業から足を洗いシチリアでUFO研究に勤しんだそうです。その後2015年に女優復帰を果たし2018年まで活躍されました。

 

やらかしたクレイに恐怖のお仕置きタイム。

そして本件をジョーの仕業に見せかけることに成功します。

ボス以上の冷酷さとクレバーさが際立ちます。

 

かくして7,000ドルの賞金首になってしまったジョー。

 

 

しかしメゲないジョーはラ・ムエルテの銀行強盗現場に赴き(たまたま?)ます。

 

そして彼らが盗み出した現金を強奪!

 

呆気にとられるペドロとクレイ(ちゃんと見張ってろよ)

 

しかしながら直ぐに追いつかれたジョー。

ギャング団に加わることを勧めるペドロ、断るジョー。

二人は素手での決闘を開始!

一進一退の攻防。

両者疲弊のタイミングで公安が追ってきたため、決闘は引き分けのまま強制終了となりました。

 

公安をやり過ごし、隠れ家に辿り着いたギャング団。優しいペドロはジョーの手足を縛りつつも、仲間達と一緒にぐっすりお休みタイム…

当然のごとく逃亡するジョー。

目覚めてジョーの不在に気づいたペドロの「二度見」がなかなか良い感じです笑

隣で眠そうなパキータ嬢(ペドロの情婦)も良い感じ笑

 

公安とギャング団双方から狙われる身となったジョーが心の拠り所としたのが恋人のララ。

ルイーザ・バラット女史(クレジットはリズ・バレット)が演じております。

Luisa Baratto (??-??)

1965年から女優業をはじめ、4年間に11本の出演作を残し1969年には引退されたそうです。ホラー映画やアクション系での活躍が目立ち、マカロニウエスタンでは「荒野のお尋ね者」「キラー・キッド」"Il pistolero segnato da Dio" のヒロイン役でお馴染みです。

 

二人を見守るララのお兄さん、アラン。

(インチキ薬売り)

演じたのはラルフ・イェッブ氏(クレジットは Ralph Webb)

Ralph Yebb (??-??)

実は彼についての詳細を渉猟し得ませんでした…汗
ご存じの方がいらっしゃいましたらご教示願いますm(_ _)m

 

ところが、いとも簡単に見つかってしまいます…

 

繰り広げられる逃走劇。

そしてまたしても呆気なく追いつかれてしまいます。

 

応戦するジョーとギャング団の銃撃戦が始まりますが…

気を抜いたジョーは再び囚われの身に。

 

カネの在処を知りたいペドロですが…

ジョーの縄を解いて、決闘の再開!

(前回水を差されたのと同じ態勢から、という義理堅さ)

 

結局不利になったペドロは銃で脅して再び(ていうか何度目?)のジョー捕縛。

吊し首になろうとも口を割らないジョー。

業を煮やしたパキータはまずアランを銃殺した上でララに酷いことするぞ!と脅しをかけます。

これには流石のジョーも降参。カネの在処を言わずにいられませんでした。

 

かくしてギャング団とジョー、ララはカネの隠し場所へ向かいます。

 

しかし待ち伏せしていたのは、ジョーの親友であり、ジョーの後任として保安官に就任したエバンス。

演じたのはグレン・サクソン氏

Glenn Saxon (1942-)

オランダ生まれの彼は20代前半にイタリアに移住しキャリアをスタート。ヒーロー映画での主演で頭角を現し、いくつかのマカロニウエスタンでの主演(「復讐のジャンゴ 岩山の決闘」や "Vete con Dios, gringo" "Carogne si nasce" "Il magnifico Texano" など)をはじめ、イタリアおよびドイツのアクション映画などで活躍、1990年代以降はオランダに戻ってロエル・ボスの名で(本名)TVを中心に俳優活動を続けているそうです。

 

エバンスはダイナマイト部隊を引き連れラ・ムエルテを襲撃します。

そして混乱に陥るギャング団に対し狙撃部隊で追い詰めます。有能!

 

かくしてタイトルにある「虐殺」の末

ギャング団は壊滅に至りました。

 

最後まで抵抗していたペドロでしたが…

 

最終的にジョーの一撃で絶命。

 

ジョーはエバンスに別れを告げ

 

ララと共に新天地への旅を歩み始めます…

 

複雑なプロットではありませんが、それぞれのキャラが立っていて、またアクセントになるイベントによって飽きの来ない作品に仕上がっています。

監督はお馴染みアルバート・カーディフ名義のアルベルト・カルドーネ氏。

(毎度のことながら、カルドーネ氏はこの低解像度のちょっとコワいお写真しか見つからないのです、だれか良い画像持ってたら教えてください)

Alberto Cardone (1920-1977)

「地獄から来たプロガンマン」「砂塵に血を吐け」 "20.000 dollari sul 7" のドル倍増3部作と "L'ira di Dio" "Paga o uccidiamo tuo figlio" などのマカロニウエスタンを手がけました。

 

そして何と言っても本作をドラマティックに仕立て上げているのがサントラ。

(毎度ながらこちら、私のマカロニ師匠、保田さまのチャンネルから。みなさま是非登録を!)

 

おそろしくエモーショナルなトランペット、重厚なオルガン、切ないストリングスの響き、そして格調高いハープシコードのアルペジオ。

まさしくミケーレ・ラチェレンザの真骨頂。

 

Michele Lacerenza (1922-1989)

音楽院でのトランペット教師を経て、エンニオ・モリコーネ師との出会いから映画音楽の世界へ。彼こそがまさに西部劇=トランペットという定番の組み合わせを作った張本人であり、マカロニウエスタン劇伴におけるアイコニックな存在であることに異論はないでしょう。もちろん作曲家、編曲家としても超一流であることに間違いありません。

 

同じくアルベルト・カルドーネ監督の下で仕上げた "L'ira di Dio" に共通するサウンドですが、本作はよりラテン味を加え哀愁漂うサウンドになっております。

 

今回もなるべく本来の持ち味を崩さぬよう…と心がけながらカバーいたしました。

お楽しみいただければ幸いです!

 

すっかり桜も満開ですね!

新生活が始まる方も多いでしょう、くれぐれも体調に気をつけて、楽しくいきましょう~

 

アディオス、アミーゴ!

(^-^)

 

 

 

わたくし2016年より vita というバンドのベーシストとして活動しております。

 

ステージネームは「イカ大佐」

 

vita はVo, Gt の合六くん(通称ロクちゃん)が中心になって2006年頃(?)に結成されたロックバンド。

2007年の「バンドでどん」イベントでドラムの長濱くん(通称はまちゃん)が加入、その後テクニカルかつポップでプログレなバンドとして岐阜~名古屋界隈で活躍しておりました。

 

その頃からレパートリー "Change?" は vita の代表曲だったそうな。

 

紆余曲折を経て2016年、ベースの近藤氏(通称コンちゃん)の脱退に伴い、どういうわけか私に vita 参加の打診がありました。

 

確か「南部無双」のライブを、岐阜アフターダークまで観に来てくれたロクちゃんが、終演後に僕に声をかけてくれたのです。

 

南部無双↓

 

vita が凄く魅力的なバンドだってことは知ってたから

(実はこの時までに僕、vita とは4回も対バンしてたんです。1回目は新岐阜ステーションデパート、2回目は幻怪☆スプラッシュ、3回目は波動エクスプレス、4回目が南部無双)

僕的には興味津々でした。

 

オリジナル曲で本気でロックをやりたいんだ!というロクちゃんのアツい想いが言葉の端々に感じられて

これは何としてもやらなきゃ!と。

 

ほどなく、ロクちゃんからメールがあって、添付ファイルに "Change?" のベース抜きの音源が。

「おお、これはオーディションだな!」と意気込んでベースを重ねました。

気合いイッパツ、フェンダーを手に取って。

 

おお、今聴くとこれはこれで結構良いかも笑

なんとなく、僕の印象で3ピースな硬派だけどちょっとひねくれたロックバンドってことで、Beck, Bogart and Appice あたりがイメージ重なってたんでしょうか

フェンダージャズベのフロントPUをメインにハイゲインな、荒々しい音で挑んでみた感じです。

 

でも、時間が経つうちにちょっと考え方を変えてみました。

ドラムのはまちゃんは、テクニカルだけど割と淡々と叩くタイプだと感じてて

何でもサラッとドライにこなしちゃうイメージ。

で、ロクちゃんの歌は歌詞も含めて、飄々とした空気が漂っている。ギターはヴォイシングも凝っててエモーショナルなんだけど、出てくる音は案外クール。

だから、ゴリッとして地に足のついたような安定感のあるベースっていう、前任のコンちゃんのスタイルは実に理にかなっているというか、3ピースのロックバンドとして実は完成度の高いアンサンブルのスタイルなんですよ。

だけど、せっかくトリオの一角が別人になったなら(なんたって1/3が変わるんですから)「これぞ新生 vita !」っていう部分があった方が絶対いいんじゃないの?

って。

 

そこで

フレットレスベースを試してみました。

 

比較的「硬質」な印象の vita に「しっとり感」を加えてみたくて。

前任コンちゃんの、ゴリゴリぶりぶりの重低音から

中域を強調した、揺らぐ感じの、サウンド的には遊撃手的な立ち位置のベースへ。

 

実はこれが正解かどうかは、今も判りません。

(未だに悩んでます。やっぱロックは重低音がカギだと思ってるし、アンサンブル的にもベースが重い方が落ち着くのは間違いないので)

 

でも、せっかくのオリジナル曲をやるバンドだし

最大限オリジナリティを出していかなきゃ、やる意味が無いんじゃないか、と自己弁護しつつ

初めての vita リハに持ち込んでみたら

…ロクちゃんも、はまちゃんも、何も言わない笑

 

「いや、自由にどうぞ」って。

 

そんな彼らの懐の深さに、また惚れ直しつつ

練習を重ね…

 

その頃、vita の新ベーシストが誰なのかという部分は明かされていなくて

じゃあ、いっそのこと「謎のベーシスト」のままでいこう、と。

 

そんな時にふと所用で出かけた東京の京橋ローソンの向かいにある函館アンテナショップ「函館もってきました」で出会ったのが、このコ

(生産中止してて最後の在庫だった)

 

かぶってみたら…なんだか楽しい。

 

 

そんなわけで

2016年10月09日、岐南クラブルーツの "Sweet Fish Town" イベントでイカ大佐はデビューしました。

 

 

あれから9年。演奏の基本骨格は変わっていませんが

ちょっとずつアレンジを加えて今に至ります。

 

 

2021年には「イカ大佐」名義のソロとして大幅にアレンジを加えたバージョンを作ってみたりもしました。

(コロナ禍だったので、ヒマしてたのね笑)

 

 

 

僕は今の vita のサウンド、けっこう気に入ってます。

アンサンブル的な「正解」で言うならちょっと違うのかも知れないけれど

やっぱりオリジナリティってのは全てに優先される事柄じゃないかな、などと思うのです。

 

これからも vita をよろしくお願いいたしますm(_ _)m

 

次はフレットレスベースに関して、ちょっと書いてみようかなブログ。

 

アディオス、アミーゴ!

(^-^)

 

 

 

 

 

Prega il morto e ammazza il vivo (1971)

"死者に祈り、生者を殺す"

 

英語圏では "Pray for the Dead" あるいは "Shoot the Living and Pray for the Dead" と題されております。

 

日本未公開ですが、独特な世界観がクセになる作品です。

1971年公開ですから、マカロニウエスタンとしては後期ないし晩期と言っていい時代の映画。

 

監督はジュゼッペ・ヴァリ氏

Giuseppe Vari (1924-1993)

本作以外にも「荒野のみな殺し」や "Hate thy Neighbor" など個性的な7本のマカロニウエスタンでメガホンをとり、その他を合わせて生涯30本ほどの映画を撮りました。また編集者としても多くの映画に関わっております。

 

本作の評価は真っ二つに割れているようで

「退屈で最低」か「意欲的で独創的」か。

僕は後者を支持します。

「荒野の用心棒」で世界に衝撃が走った1964年から7年を経て、それこそ同じことの繰り返しはつまらないですから。

関係者たちは新たな突破口を探して試行錯誤していたことでしょう。

ガジェットで新鮮さを打ち出したり、ストーリー展開に新しさを求めたり、キャラ設定を大胆にしてみたり…

本作は作品全体のトーンが独創的ですよね。

静と動の「静」が全面に出つつ、常に一定の緊張感が支配していて。

当時としては斬新でアンニュイな音楽がそれに拍車をかけ

勿論ストーリーも捻りが効いている。

 

ちなみに、かのタランティーノ氏は「マカロニウエスタンベスト20」の16作目に本作をランクインさせております。

一説によると「ヘイトフル・エイト」の作劇に一定のインスパイアを与えたとか…

確かに本作や "Nevada -El más fabuloso golpe del Far-West" は、限られた空間の中で、誰が裏切り者か判らない緊張感の中で事態が推移するというプロットはかなり近い者がありますね。

 

そして前述しましたが、劇中流れる音楽が個性的で、映画の内容との相乗効果で独特な世界観を確立するのに一役買っています。

担当したのはマリオ・ミグリアルディ氏

Mario Migliardi (1919-2000)

ピアニストとして、オルガニストとして早くから各方面で名を馳せ、作曲家として1950-1970年代は映画やTVのサントラの分野でも活躍。

マカロニウエスタンでは本作の他、"Matalo!" "Il venditore di morte" いずれも個性的なサントラを世に遺しました。

 

主題歌 "Who is That Man?" の気怠くも何処かピンと張り詰めた空気感が、まさに本作の世界観を象徴しているようです。

 

歌っているのはお馴染み Ann Collin嬢

Ann Collin (1943-2016)

もとはNY生まれの歌手だそうで(最近ご逝去されたロバータ・フラック女史と一緒に活動していたこともあるとか)、ボストン大学で音楽楽士号を得た経歴があります。演劇のステージに立っていた時期もあるとか。1963年に家族(夫、息子)とともにイタリアに移住し、いくつかの映画に出演もされているとのことです。その後はさらにサウジアラビアやポーランドでも歌手活動したのち帰米、イリノイ州で教職に就いたそうです。音楽活動を通じての文化的功労に対して幾つかの賞を頂戴するに至ったそうで、しかし2016年白血病でお亡くなりになられたとのこと。

マカロニウエスタンのファンには "His name is King" や "That man" "A Man is Made of Love" で彼女の素晴らしい歌声でお馴染みですね。

 

同じく彼女の歌う挿入歌 "I'm not Your Pony" 

こちらもアンニュイでクールな空気の醸成に一役買っていますね。

 

さて物語は…

ジョン・ウェッブなる男がギャング団の手下(銀行強盗を終えたギャング団をメキシコまで導く役目の男)を射殺するところから始まります。

 

ジョン・ウェッブは、後からやってくる仲間に「ジャッカル牧場で待つ」と伝言を残す。

 

ウェッブを演ずるはパオロ・カゼッラ氏(ポール・サリバン名義)

Paolo Casella (1938-2005)
イタリア生まれの俳優さんで、1960年代から1980年代後半にかけて焼く15本の映画と幾つかのTVドラマに出演。マカロニウエスタンでは "La Velva" や "Che botte ragazzi!" などが挙げられます。

 

強盗団メンバーは「裏切者がいるんじゃないか」と互いに疑念を抱く。

 

ジャッカル牧場は駅馬車の中継地。

 

この簡素な宿場の主人はジョナサン。電信でホーガンギャング団が銀行強盗をはたらいてメキシコへ逃走を図っていることを知る。

ジョナサンを演じたのはダンテ・マッジオ氏(ダン・メイ名義)

Dante Maggio (1909-1992)

ナポリの演劇一家に生まれた彼は紆余曲折を経てやはり舞台人に。1930年代後半から舞台に立ち、やがて映画の世界へ。数多くのマカロニウエスタンの出演をはじめ、生涯110本の映画に出演されたそうです。

 

同じく宿場で働くのはジョナサンの孫娘サンディ。

演ずるはパトリツィア・アディウトリ嬢

Patrizia Adiutori (1950-2001)

ローマ生まれの女優さんで19歳で銀幕デビュー。12本の映画に出演歴があります。マカロニウエスタンは本作だけのようです。

 

やって来た強盗団はジョン・ウェッブと一触即発。

しかしメキシコへの逃げ道を唯一知るウェッブは、ガイド料として戦利品(フェニックスの銀行から強奪した金塊)の半分を要求する。

ウェッブはここでも裏切者の存在を匂わす。

 

そこへ現れたのはダン・ホーガン。強盗団のリーダーであり、演じるはご存じクラウス・キンスキー氏

Klaus Kinski (1936-1991)

現在のポーランドに生まれ幼少期にベルリンに移住、彼自身は極貧生活だったと語るものの、後の兵役中の様々なエピソードとともに真偽不明のようです(あまりに極端な逸話が多いらしく…)。ともあれ捕虜時代に喜劇に駆り出されたのが最初の「演技」だったとか。戦後ドイツ国内の劇場に役者として出演するがトラブル続きだったようで、1950年代に入ってからは「朗読者」として人気を博すようになり、そののち国際的な映画への出演とその評価によって一級の俳優として認められるようになりました。マカロニウエスタンを語るうえでは欠かせない名優(怪優?)ですね。
 

背に腹は代えられないギャング団はウェッブに頼る他ない。ひとまずホーガンの愛人が戦利品を持ってやってくるのを待つことに。

しかしギャング団のリーダーの座を狙う副官リードは、ホーガンも裏切者の可能性があると断じて銃を取り上げる。

 

リードを演じたのはディノ・ストラノ氏(ディーン・ストラフォード名義)

Dino Strano (1935-1982)

元パラシュート部隊の彼は身体能力に長け、スタントマンとしてキャリアをスタートさせ、舞台俳優としても活躍されたそうです。マカロニウエスタンにも数多く出演しておりますが1980年代後半には病のため一線を退いたそうです。

 

それぞれ疑心暗鬼に駆られだしたギャング団の面々。

リードは電線を切断して電信連絡不能に陥れます。

 

そんな中、旅の一行がジョナサン・ランチを訪れます。

呑気にギャング団の手配書を見せびらかしたりして…

案の定、銃で脅され軟禁状態に。

 

緊張感が高まる中、遂にホーガンの愛人デイジーが待望の金塊を持ってやってきます。

デイジーを演じたのはアドリアナ・ジュフレ嬢

Adriana Giuffrè (1939-2023)

ローマ生まれの彼女の母親も女優さんだったそうです。若いころから映画界で活躍し、マカロニウエスタンにも「黄金の三兄弟」や「皆殺しのジャンゴ」「殺しが静かにやって来る」等の夢遺作に出演しております。1980年代に入ってからはコメディの分野で、その後はTVドラマでも活躍されたそうです。

 

 

「裏切者」の嫌疑が晴れたホーガンは、容赦なくリードを射殺。周囲を凍り付かせます。

 

狡猾なエレノアは夫と共にやってきた駅馬車の乗客でしたが、ホーガンを誘惑し身の安全を図ろうとします。

演じたのはビクトリア・ジニー嬢

Victoria Zinny (1943-)

アルゼンチン生まれ、故郷でいくつかの映画出演ののちにイタリアに移住、50本以上の映画に主点を果たしました。本作のほかマカロニウエスタンでは「ケオマ・ザ・リベンジャー」での売春宿のオーナー役が挙げられます。

 

ふと、そこにレンジャーがやってきます。

もちろん目的は潜伏したホーガン強盗団の探索。

もちろんホーガンたちは駅馬車の客たちに平静を装わせます。

「いやあ、電線が切れてるなんて思わなかった…雨のせいかな」ととぼけるジョナサン。

 

もちろん、強盗団は物陰に隠れて銃口を向け、いつでもレンジャーを撃ち殺せる準備。

 

見事騙され、何事もなかったように帰ってゆくレンジャー

 

しかしその間に納屋に隠れていたがギャング団二名と一人の女性(駅馬車の乗客)の間でトラブル。豪雨と雷鳴の中、三人ともが命を失う事態に。

まず、発情したスケルトンが女性を襲い、抵抗されたため絞殺に至らしめ

スケルトンを演じたのはフレディ・アンガーことゴフレド・ウンガー氏

Goffredo Unger (1933-2009)

ノルウェー出身、俳優と同時にスタントマンとしても活躍し、さらに約130本の映画で助監督としてもクレジットされており90年代末まで現役で活動されておりました。

 

殺害された踊り子マリエッタを演じたのはアンナ・ジンマーマン嬢

Anna Zinnemann (1946-)

1967年にデビューしたイタリアの女優さん。史劇や犯罪映画からドラマ性の高い作品に至るまで多彩な演技で1990年代まで映画およびTVで活躍されました。

 

スケルトンを咎めたディックは、口論からの殴り合いの末にナイフで刺されるも、最期の力を振り絞ってスケルトンを射殺しました。

ディックを演じたのはジャンジャコモ・エリア(ジョン・イーライ名義)

Giangiacomo Elia 

1970年代に活躍したイタリアの俳優さんで、「エクソシスト3」はじめ様々なジャンルの映画で活躍。マカロニウエスタンでは本作のほかに "Il tredicesimo è sempre Giuda" にも出演されております。

 

レンジャーをやり過ごしてホッとしたホーガンギャング団ですが、逆に駅馬車の客たちは絶望的な状況に。

エレノアの夫オズワルドはナイフでホーガンを襲うも失敗。

 

オズワルドの演者はアンソニー・ロックことアントニオ・ラ・ライナ氏

Antonio La Raina (1922-2000)

地元ナポリの劇場で舞台俳優としてしばらく活動し、その後1950年代から映画で活躍。またTVでも数多くの出演作があります。

 

オズワルドにナイフを手渡した御者はホーガンによって射殺されてしまいます。

 

夜が明けると、ホーガンたちは人ジョナサン・ランチを出ます。目指すはメキシコ国境。

 

人質として帯同させられた二人~サンディとエレノアは暑さで疲労困憊。

 

そのころジョナサン・ランチを再訪したレンジャーが彼らの追跡を開始。

ウェッブの正体が、かつてホーガンたちに家族を皆殺しにされた判事一家の生き残りであることが明らかにされます。

 

ホーガンらの旅は過酷さを極めます。

 

道を誤ったエレノアは流砂に呑まれ絶命

 

ホーガン不在の間に金塊とともに抜け駆けを図ったのはグリーン。

 

しかし、先回りをしていたホーガンが一枚上手でした。

 

あえなく射殺されるグリーン。

 

減ってゆく仲間。しかし国境は間近。

 

ついにメキシコが見える。

 

ここでウェッブはお役御免。

 

別れ際に「裏切者」の存在について語ると…

 

青ざめる側近コブラ。

 

コブラを演じたのはドメニコ・マッジオ氏(ミモ・マッジオ名義)

Domenico Maggio (1931-1988)

ナポリ生まれの俳優さんで、1950年代から活躍し様々なジャンルの映画に出演。マカロニウエスタンでは本作のほか "Black Killer" や「真昼の一匹狼」「続・復讐のガンマン」「西部決闘史」などに出演歴があります。

 

ホーガン演ずるクラウス・キンスキ氏の狂気に満ちた素晴らしい顔芸が楽しめます。

 

そして容赦なく射殺。

 

ウェッブが打ち明けたのは裏切者についてだけではありませんでした。必死に運んだ金塊がすべて偽物だったことも…

 

半狂乱のホーガン

 

さらに、ウェッブにとってホーガンが家族の仇であるということ。かくして二人の対決が始まる。

 

ウェッブはホーガンを葬り、復讐を遂げることに成功

 

去ってゆくウェッブ、追いかけるサンディ

 

なんだかんだでハッピーエンド。

 

以上、長々とではありましたが

本作は内容的にいろいろ捻りが効いて入り組んでいて、日本語版が(字幕も、もちろん吹き替えも)存在していないのでストーリーが把握しにくいかな、と思って

書き連ねてみました。

 

とにかく独創的。

ストーリーもサスペンス風味があり、カメラワークが芸術的というか印象の残るカットが多いし、役者たち(とくにクラウス・キンスキ氏)の顔芸が存分にたのしめて、かつ音楽が際立ってます。"Matalo!"に通ずる前衛的な劇伴が満載です。

 

イタリア語版ではありますがYoutubeで本編をお楽しみいただけます。

 

そしてカバー。

今回はなかなか難しかったです~この雰囲気をどうやって再現しようか、随分苦労しました。

お楽しみいただければ幸いです。

 

 

さて、春はもうすぐそこ。

別れと出会いの季節、前向きにいきましょうね

 

アディオス、アミーゴ!

(^-^)