僕にとって「好きだ」という言葉は、
大切な友人を、語り合える仲間を失う魔法の言葉だった。
それはとても悲しいことだけれど、どうしようもないこと。
年を重ねて、守るべきものが増えて僕は、前よりいっそう臆病になった。
失うことが怖くて、僕はその魔法の言葉を忘れつつある。
それはとても悲しいことだけれど。
思いを伝えられなくてもいい。
君のスペシャルになんかなれなくたっていい。
ただ一緒に笑っていたい。
声に出した途端に、泡になって消えてしまう人魚姫のように。
僕は君の忠実な道化を演じるのだ。
(書き下ろし、金田一蓮十郎『マーメイドライン』に寄せて)