ブラザーズ・クエイの幻想博物館Cプロ | うぇぽんにっき

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久々に映画日記。久々に映画館行ってきました。昔通ってた懐かしのシアターイメージフォーラムで、懐かしのブラザーズクエイの短編企画です。


僕がアートアニメにハマるきっかけになった作家の一人(双子なんで二人か?)、ブラザーズ・クエイ。未見の短編『ファントム・ミュージアム』など、激熱のラインナップ。かなり楽しみに行ってきました。


劇場自体も狭いし、お客さんもたぶん30人いないぐらいだったけど、まず客席のテンションがすげー濃い!全力で楽しみにしている雰囲気がビシバシ伝わってくる。前の席に座ってた女子高生二人組の片割れが、座りながら「いやーいいねー。非日常だねー」なんて名言を吐いたり。かく言う俺も、1コマ逃さず全力で楽しむ気満々でいました。なんなら楽しみになりすぎてあんまり寝られなかったぐらい。どんだけー。


そんなわけでクエイでした。短編たちなので、一個ずつレビュってみましょう。えげつなくマニアックなレビューになりますが、みんなついてこれるかな?



『人工の夜景』(79年)

ビデオも持ってるのでもう何回か見た作品。彼らの処女作。でも実はあんまり好きじゃない。完成度においても、他の作品と比べて明らかに低いと思う。たぶん、すごく出来のいい自主映画なんだと思う。久々に見たけど、クエイ的なモチーフが既にたくさんあることに初めて気がついた。 ハシゴとか、手とか、引き出しとか、窓とか。そういう意味でも彼らの原点といえる作品なんだろうけど、やっぱりあんまり好きじゃなかった。


『アナモルフォーシス』(91年)

絵画技法アナモルフォーシスに関するアニメーションドキュメンタリー。これもはじめて見た。『シュヴァンクマイヤーの部屋』と同じような作品だと言っていいだろう。こういうカタチのドキュメンタリーって、彼らが先駆けなんじゃないかなぁ。アカデミー賞獲った、『ライアン』とかもそうだと思うけど、アニメーションとして再編するカタチ。面白かったというよりは、普通に勉強になった。


『ファントム・ミュージアム』(03年)

初めて見たのだが、期待したほどではなかった。これも半ドキュメンタリーって感じだなぁ。シュヴァンクマイエルの『組曲・自然の歴史』へのオマージュが随所に見られた気がする。でも何度かあった階段のショットは美しくて鳥肌が立った。ベルトリッチの『シャンドライの恋』で同じようなカットがあったなぁとか、そんなことを思い出したりもしたっけ。オブジェクトそのものの魅力、魔力を見せることに終始した点も、非常にシュヴァンクマイエル的だったかもしれない。ところどころのスローモーションは、しかしどれも素晴らしく美しかった。


『イン・アブセンティア』(00年)

もうずいぶん前にイメージフォーラムフェスティバルで一度見て、最近youtubeでもう一回見たんで三度目だったんだけど、めっちゃ凄かった。なんという狂気か!しばしば悪夢的と揶揄されるクエイ作品であるが、これぞ悪夢だ。スクリーンで見ると全然違うね。鳥肌立ちっぱなしだった。クエイ作品の一つの集大成と言ってもいいと思う。完璧に閉じた世界。鉛筆削りのエロス。エロスと背中合わせのタナトス。終盤になるにつれてほとばしる狂気の奔流を今回はまともにもらってしまい、見終わってしばらくの間立てなかった。



久々にクエイ作品を浴びて感じたことは、やはり彼らの作品における時間感覚の特異さ。通常、実際の上映時間の経過と共に映画の中の時間、物語も前に進むものであるが、彼らの場合はそうじゃない。悪夢のように時間はそこに留まり、前に進まない。繰り返し繰り返される情景は次第にその全容を明らかにして行き、最後は悪夢に目覚めるかのように唐突に訪れる。うぅむ。こういう時間の使い方をする作家は、ちょっと他には思い浮かばないかもしれない。


新作『ピアノチューナー・オブ・アースクエイク』ももうすぐ公開。楽しみで仕方がないよ。