今回のブログは、前回の「ヒールカウンター」に続き、今回は「シャンク」という靴選びのポイントについて書いていきましょう。
まず、シャンクとは一体なんなのか?ということですが。
シャンクとは、靴底にある固い材料のことです。
例えば、こんな感じや
こんな感じなど、

ちょうど靴底の真ん中あたりにある固い部分です。
各メーカーさんや種類によって、材質や硬さは様々です。
中には、外からは見えなくても底の材料の中に入っているものもあり
ます。
このシャンクは、元々は鉄の材料で、現在もいわゆる男性の革靴や女性のパンプスなどに使われています。実際には、靴底の中に入っているため外からは見えません。
〈鉄材のシャンク〉
シャンクの機能は靴底がグニャっと曲がらないようにし、靴の形成を保つことです。
元々は鉄の材料ですが、現在はウォーキングシューズやスポーツシューズなど、素材や形がどんどん進化しています。
そして、その素材を中に埋め込むのではなく、靴底自体にその材料が使われる、
「シャンクソール」
と呼ばれる形になっています。
特に、ランニングシューズをはじめ各種競技用シューズでは、軽量で丈夫な素材が使われているものが多く存在します。
しかし、このシャンクですが。。。
冒頭の2枚の写真のようにしっかりとしたものもあれば、そうでないもの。
ものによっては、入っていないものまであります。
そして、ここからが私が重要視するポイントです。
まず、シャンクが「入っている靴」と「入っていない靴」の大きな違いを2つ説明します。
一つ目は、靴底の曲がる部分です。
下の写真を見てください。上側はしっかりとしたシャンクが入っているもので、下側はシャンクが入っていないものです。


それぞれ、靴底の曲がる部分の違いは一目瞭然です。
この時、とても大事になるのが、指の付け根でしっかりと靴底が曲がるのか?
ということです。
この指の付け根(MP関節と言うのですが)で曲がる部分を「返し」と呼びます。
この靴は「返し」がいい。「返し」が悪い。などと表現されます。
歩行中、歩行の中間から後半にかけてMP関節が大きく反っていきます。その時に、靴底がMP関節同じように曲がる靴とそうでない靴では、どちらがよりスムーズに前方への体重移動ができるのか、なんとなく想像できると思います。
特に、シャンクがしっかりしている靴では、MP関節部分の曲がりを柔らかくし「返し」をよくしている靴が多くあります。
MP関節部分で曲がらない靴、靴底全体が硬く
「返し」自体があまりない靴などは、MP関節の動きを阻害する可能性がでてきます。
そして、サイズが合っていない靴の場合もそのようなことが考えられます。
サイズの合っていない靴を履いてしまうと、MP関節と「返し」の部分が合わなくなるため、それが歩行に影響を与えてしまうことが考えられます。
さて次は、シャンクの入っている靴と入っていない靴の大きな違いの2つ目です。
先程は、靴を横から見て靴底の曲がり具合を見ました。
今度は、縦から見てみましょう。
下の写真を見て下さい。
靴の前足部側と後足部側を持って、強く捻じった時の写真です。

もう、どちらがシャンクがしっかりしているか、お分かりでしょう。
そうです。
上の写真です。
シャンクがない靴は、靴全体の構造も柔らかくなり写真のように捻じれやすくなります。
さて、これを歩行中の足で考えると、踵接地から足底全体が接地し荷重がかかり始めると、徐々に足首は内側に捻れてきます。
この時、足首の内側に倒れる事(回内)が過度に起こることが原因となる足部障害がたくさんあります。
過度な回内は、「一歩」の中での足底の接地時間が長くなります。
下の写真は踵が上がる瞬間に画像を止めたものです。

上の写真の方が、足首が回内しているのが分かると思います。
踵接地の後、荷重と共に足首は回内し、その後に地面を蹴りだすために足首は回外します。
この時に過度に回内している場合は足底が接地している時間が延長します。
ものすごく簡単に言うと、「土踏まずがつぶれている時間が長い」、ということです。
足底の接地時間が延長すれば、足首の回内に伴う下腿の内旋モーメントが大きくなります。
すると膝関節は屈曲が優位になるため負担が増大します。
というように、シャンクの違いにより、前額面上での足部の動きにも影響を及ぼします。
ちょっとした違いかもしれませんが、それが一歩だけの問題ではなく、何千歩、何万歩、となってくれば、少なからず体に影響を及ぼしている、と考えられます。
もちろん、シャンクのない靴、靴底が柔らかい靴が「絶対ダメだ」と言っているわけではありません。
それはそれで、
・その人本来の足の動きが阻害されない。
・あるいは、余分な材料を使わないことで靴が軽 量になる。
というような利点もあります。
今回は「シャンク」についてでした。
是非、靴を選ぶさいに見てください。








