あくる朝アイは脚の悪い老婆を探しに出かけた
・・

途中風が砂を巻き上げて視界を奪ったが

東の太陽を見ながら何とか北を目指した。

するとしばらくして小さな家が何軒か見えてきた。

家々を覗くとその中の一軒の家の窓に老婆が椅子に座っているのが見える。

アイはその家の扉をノックした。

「どうぞ・・

  扉は開いてるよ。」

老婆の声を聞いてアイは扉を開いた。

「こんにちはお婆さん。

  隣の集落から来たアイです。」

「おやあのアイちゃんかね!?

  ずいぶん大きくなって・・

  今日は何の用だい。」

光の主が書き換えた記憶により・・

老婆はまるで自分の孫を見つめる様に微笑んだ。

アイは老婆にそっと近づいて・・

「元気かなと思って・・

  久しぶりに顔を見にきたのよ。」

そう言いながら老婆の膝を優しく撫でた。

 すると老婆はゆっくりと目を閉じスヤスヤと眠ってしまった。

アイは手紙を残した。

「お婆さん今夜は満月です。

  久しぶりにお祭りに行ってみてはいかが

  ですか?

  満月の夜は素敵な魔法がかかるかも。」



サンドタウンの人々は砂漠の民・・

太陽はここでは灼熱の痛みを与える荒ぶ

る神であり・・

月は安らぎと心の調和をもたらす癒しの

神であった。

人々は月を信仰し・・

月に3日月が姿を隠す夜は家から出るも

のは少なかった。

今夜は神聖なる満月である。

人々は街の中心部にある広場を飾り付け
るのに大忙しであった。


キリーはまだ傷が癒えず眠っていた。


ゼィビイのロットはその日の夕暮れ
に・・

街の大聖堂の屋根裏へと天使達に連れら
れて行った。

ロットは不思議そうにしていたが・・

天使族の長がロットに話し始めた。

「今夜は満月の夜・・

  我々天使族の新しい仲間を紹介しよ

  う。」