いよいよ地球は新しい朝を迎えようとしていた・・

その朝の太陽の光が、分厚い氷に閉ざされた地球を癒し溶かしてゆくのだった。

この朝こそ我々が生きている現在へと続く人間の世界の始まりの朝である。

恐竜や人間の祖先(類人猿)や他の動物達は月に避難していたが・・

今一度形式場の死を迎え新しい生命体である恐竜よりずっとサイズの小さな動物として生まれ変ろうとしていた。

それは創造主の肉体を形どる太陽系の星々の中で起こる細胞分裂の様にその数を増やす為のものだった。

その中でも清らかな魂が数少ない人間として生まれ変わる。

記憶は消されたが・・

月の記憶だけが微かに残り、その後月を見上げるたびに郷愁を抱かせた。

カインは創造主の言い付けで英知のカケラを自分の恐竜だった頃の身体の近くに埋めた。

それは北極の氷の山の中深くに封印され、木星と地球、月が繋がりを持った瞬間でもあった。

その時はこの英知のカケラが未来の争いの火種になる事など誰にもわからなかった・・


千人は自分の寿命はあと少しだと気づいていた・・

千人はその後数十年の命を終え魂は二つにわかれる事も知っていた。

ぬくもりに満ちた一つはあの小さな女の子に・・ 

もう一つの痛みは別の人物へと繋がれていった・・

新たな人類の出発点は東の園につくられた小さな楽園・・

木の実は溢れ食べるものには苦労をしなかった。

創造主はあらゆる肉食獣達にこの園の中へは入らぬ様に告げた。

セロとイーサを中心に集う人間はまだ20人に満たない程だった。

千人はこの園で一番物知りの長老となり皆に知恵を与えていった。

カインは月と地球の子セロと木星の子イーサを大切に育てていった。

二人の塊はそれから8人の塊へと増え・・

この園を護る騎士団の様な存在となった。

この園に住む人間達の中でカインと千人にだけに沢山の記憶が残された・・

そしてそれは決して語られる事のない古の物語として封印され・・

いずれ大人になったセロだけに告げられるのであった。


創造主は言われた。

「地球は私の心・・

  心には影がはびこる事のない様に

  望みの光を灯すのだ・・

  心が望むものはいずれ現実の姿をみせ

  望まぬものは到達されていく・・

  何も望まず描かなければ・・

  この世界は終焉を迎える・・

  だがどんなに闇が深くとも

  望みの光が必ずその闇を払い・・

  新しい朝を運ぶであろう

  それは永遠に・・」


カインの塊エピソード0.5 

END