若いオスは言った・・

「想いどおりに・・

  ズ ベ テ ガ・・」

カインは少しためらったが何時もの様に望みは叶うだろう・・と語った。

その夜カインは眠りにつくと、白かったはずの塊が黒く染まって行く夢を見て・・

うなされて目を覚ました。

塊は真っ白なまま傍らにいた。

カインは自分が何故あの若いオスと向き合い、ためらいを覚えたのかを考えていた。

すると創造主は言われた。

「カインよ・・

  お前はよくやっている。

  世界には沢山の望みの光が灯されている

  だがカインよ・・

  光には影が寄り添う・・

  影がこの世界から無くなる事などないのだ。」

カインは創造主の言葉を聞いていた。

「カインよ・・

  影がはびこる事のない様に・・

  光を灯し続けるのだ。

  たとえ何があろうとも・・

  光を絶やしてはならぬ・・」

カインは創造主の言葉に深く頷いた。

塊は少し話せる様になり、カインの悩みを聞くようになっていた。

「カイン・・

  ヨ イ コ ト・・

  カ ン ガ エ ル・・ソ レ ダ ケ・・」

それから何日かして、あの時の若いオスが無差別に狩りをして・・

最後は仲間達からも追い詰められて・・

逃げる中で山の高みから落ち死んだと・・

カインは聞かされた。

カインは自分の不甲斐なさに涙した。


それでもカインは創造主の言葉を想い出して・・

毎日、望みの光を灯す役目を果たしていった。

ある夕暮れ・・

遠くの山から仙人がカインの前に現れた。

仙人は・・

カインの隣りにいる塊を見て、その真っ白な塊に深く礼節をもって頭を下げた。


「質問がある・・」

仙人はカインに語り出した・・