天使は創造主と共に星を留守にしていたあの時の事を想い出していた。

天使達の生まれた星に流星群が近づき、星の約4分の1という広大な面積が傷付き・・

天使達はそこに住む事さえままならない有り様だった。

創造主は言った。

「旅立ちの時が来た!

  お前達はまだできたばかりの星々に散ら

  ばり・・

  その星々に希望の光を灯すのだ。

  この宇宙にはまだ光が足りない・・

  どんな難関も手を取り合い乗り越えられ

  る様に・・

  その星に暮らす生き物達の道標と

  なるのだ。」

天使は創造主の言葉を聞いてまだ見ぬ未来を想像していた。

そしてこの星では・・

どんな未来が待っているのか、

自分ができる事を考えていた。


塊は人間の子供達の足元に転がっていた。

子供達は塊の事をまだ石ころくらいにしか思っていなかった。

それでも塊は嬉しかった・・

何時も誰かの声が聞こえたり、

誰かが近くを走って土煙を上げたり・・

毎日に変化が起きていたから。


竜は今度こそ見失わない様に、

塊が人間の集落から何かの拍子に離れてしまった時は、

塊をまたその集落のそばに運んだ。

人間達は火を上手く使い始めて、

獣から身を守る事を覚え始めていた。


ある時・・


創造主にも予測がつかないほど早く・・


この世界の仕組みを生まれながらに理解

する人間が生まれた。


創造主が天にとなえた言葉の破片がたまたま大地に残り・・

それを吸収した草の朝の雫を口にした母から・・

まだ生まれるには早すぎた男の子がうま

れたのだ。

男の子は塊をじっと見つめて・・・