「メレンデスの闘い方が面白いかって言ったら……どうですか?」
by DREAM


5・29『DREAM.14』(さいたまスーパーアリーナ)にて行われるDREAMフェザー級ワンマッチ、ウィッキー聡生戦に臨む所英男にインタビュー。キャリア初のケージマッチに臨む所にウィッキー戦への意気込みを語ってもらった。【取材日:2010年5月9日】

──5・29『DREAM.14』(さいたまスーパーアリーナ)まで3週間を切りました。昨年の大晦日のキム・ジョンマン戦以来、半年ぶりの試合になりますね。

所 1月は少し休んで、それからは3月に出るつもりで練習はしてたので、ずっとそのまま来てる感じですね。半年というのはちょっと長くは感じましたけど、そんなに若いわけでもないので間を空けたのは良かったと思ってます。

──対戦相手のウィッキー選手の印象は?

所 “天才”というか“野生児”みたいな感じですよね。変則的で運動神経だけでやってるように見えるんですけど、試合を見てたらパンチもすごく見えづらそうですし、試合自体も面白くて好きな選手です。試合をするんじゃなかったらすごく応援したい選手です。

──あのようなトリッキーな打撃を使う選手はなかなかいませんよね。

所 いないですよね。多分、やったら分かりづらいだろうなって思います。下からか、上からかってけん制して、かと思ったら左で蹴ったりしてきますし、とにかく動きが速いんで、あのスピードについていけるかが心配です。だから一発でやられちゃうかもしれないですし、見えたら長くできる可能性もありますし、そういう意味では楽しみではありますよね。自分がどこまでできるのか。

──その打撃に対しての対策というのは?

所 今は打ち込みとかでこうしないといけないっていうのを決めてやったり、ボクシングジムとかで普通にスパーをしてるだけなんですけど、これからですね。今日(5月9日)までは内藤(大助)さんの試合があったので、野木(丈司トレーナー)さんにはこれから見てもらおうと思ってます。

──去年3月に行われた『DREAM.7』でのウィッキーvsエイブル・カラム戦は、どのような感想を持ちましたか?

所 あの試合に関しては会場でも見てて、一発当たったらウィッキー選手かなっていう感じでしたけど……、あれを見るとカラムが凄く強く見えますよね。ああやってガンガン前に出られると(ウィッキーは)やりづらいのかなという気はしますけど、僕はそういうタイプではないので、僕との試合ではまた違う展開になるだろうなって思います。

──笹原圭一DREAMイベント・プロデューサーは、4月23日の記者会見のときにウィッキー選手の体が以前よりでかくなっていたことを指摘していました。

所 僕もビックリしました。会見では控室が一緒だったんですけど、ウィッキー選手が着替えているのを見たとき「うわっ、でか!」って思いました。元々、筋骨隆々というか筋肉質な感じではあったと思うんですけど、それがアメリカに行ってでかくなったんでしょうね。でも、前日には63キロにしてることは間違いないわけですから。それに、パワーもそうですけど、やっぱりスピードですよね。あとはスタミナと。ちょっと怖いですけど、まあ、相手のことを考えててもしょうがないので。

──相手のことよりもいかに自分を磨いていくかというか。

所 そういうことですよね。誰と闘っても、やっぱり自分との闘いなんだと思います。「ちょっと怖い」って言いましたけど、高谷さんに比べたら……はい(笑)。

──高谷戦はよっぽどだったんですね(笑)。

所 試合をするときはそんなに思わなかったですけど、やっぱり怖いですよ、高谷さんは(苦笑)。でも、一番苦手な人間と試合をしたので、もう相手が怖いっていうのはないですね。僕らの階級にはもう、あれ以上の人はいないと思うので。……いないですよね?

──い、いないと思います。

所 多分、格闘技をやってなかったら接点はなかったと思いますし、普通に道で会っても喋りかけられないと思いますからね(笑)。でも、一番怖いのは、相手じゃなくて、自分を信じられなくなることなんですよね。それをDJ戦で痛い思いをしてわかって、それからは相手が怖いというよりは、自分を信じられない、自分の試合ができないっていうほうが怖いんです。試合でいかに自分の全部を出せるかが大事であって、相手はもう関係ないんですよね。

──この半年間で力を入れて練習したことってありますか?

所 まだまだなんですけど、左の使い方をすごくやってきたつもりです。でも、次はサウスポーなんで試すのは難しいかなと思います。

──勝負のポイントは?

所 集中力だと思います。集中を切らさず、いかにいいポジションに自分を持っていくかですね。

──今大会が急遽、ケージで行われることについてはどのように感じていますか?

所 対戦相手が決まってから発表されたので、いろいろ納得いってない部分はありますけど、決まったことを言ってもしょうがないので……。想像がつかないんですよね、自分がケージで闘うというのは。最初にケージと分かってたら出てなかったと思いますし。

──ほう、それはまたどうしてですか?

所 なんとなく嫌なんですよね。今こういうタイミングでやるというのも、なんかアメリカの2軍みたいになっちゃった感じがしますし。

──単純にケージで闘うということへの興味というのは?

所 ケージで闘うことを考えたことがなかったのでわかりませんが、ケージに憧れはありませんね。アマチュアのときってマットで試合をしていて、リングで闘うことにすごい憧れがあって、で、初めてリングで試合ができるってなったときは物凄いテンションが上がったんです。そういうのがまったくないんですよね。

──昨年10月に初のケージイベント『DREAM.12』が行われた際は、場外イベント参加のために来場されていますよね。

所 行きましたけど、ケージの中には入ってないですね。

──他のイベントでケージの中に入ったことは?

所 昔、UFC-Jで山本喧一さんがパット・ミレティッチとやったとき(00年12月)、バイトでオクタゴンの中を掃除してたんですよ。だから、ケージはバイト以来ってことですね(笑)。

──ケージ対策というのは行っているんですか?

所 やったことないので細かいところとかは分かんないですし、特に何か対策をしてってのはないですね。まあ、ウィッキー選手が金網に押し付けて何かをしてる場面も見たことないですし、だから、今回は皆さんがケージの試合でイメージするのとは違う試合になると思うんですけどね。でも、この先もケージでやるっていう可能性もあると思うので、ここは生き残らないといけませんよね。対応できなかったら切られるだけなんで。僕らは大会に従うことしかできないので、うまく対応できたらいいなと思います。

──今大会がケージで行われることになったのは、笹原さん曰く、この前のストライクフォースでの青木選手の敗戦(4・17ストライクフォース:青木真也vsギルバート・メレンデス)が一つのキッカケになったということなんですけど、青木vsメレンデス戦はご覧になりましたか?

所 見ました。練習仲間っていうのもありますけど、単純にショックですよね。青木さんは日本で一番強いと思うから、その選手が負けるというのは……。日の丸とDREAMを背負って行ってましたし、すごく悔しかったですね。

──その敗戦があって、DREAM、日本が世界と向き合っていくためには、DREAMもケージにして北米ルールにあわせたほうがいいのかとか、それともリングでヒジなし、1R10分などの独自なルール、極端な話、PRIDEみたいなサッカーボールキックや踏みつけもありにして日本独自の路線で行ったほうがいいのかとか、それを今回の『DREAM.14』をケージでやることによってみんなから意見を聞きたいということなんですが、所選手の意見を聞かせていただけますか。

所 ケージでやることによってですか……なんか、(リングス)実験リーグみたいですよね(苦笑)。う~ん……。なんて言うのか、野球で言うと、アメリカにはメジャーリーグがあって、日本にはプロ野球がありますけど、メジャーと日本では球の大きさも違いますし、ストライクゾーンも違いますよね。で、日本はアメリカより弱いのかと言ったら、WBCでは日本が勝ってるじゃないですか。アメリカに勝つために、別にメジャーのルールにしたわけじゃないですよね。多分、いきなりメジャーリーグの真似をしても日本のいいところがなくなるだけだと思うんですよ。……野球で例えるのもなんですけど(笑)。だからまあ……やっぱり宇野勝(元中日ドラゴンズ内野手)になるってことですかね。

──宇野勝さん!? ど、どういうことですか?

所 だって、やっぱり青木さんとメレンデスの試合を見てても、メレンデスのあの闘い方が面白いかって言ったら……どうですか?

──なかなか一般層には届きづらいかもしれません。

所 元々、僕はファンなんで、ポイント稼ぐような試合って、青木さんがどこかのインタビューで言ってましたけど「そんな試合してお客さんは観に来ますか?」っていう。ほんとそのとおりだなと思うんですよね。

──「日本最弱」と呼ばれ掛けているこの現状というのはどう感じますか?

所 それは「自分は関係ない」って思ったら絶対にいけないことだと思います。ただ、かと言って、僕にできることといったら、さっき言ったようないい試合をして勝つっていうのが一番だと思うんですけど、僕の今の立場から言うと、絶対に勝って次に繋げることも大事で……同時にできたら一番いいんですけど、う~ん、難しいですね。難しいですけど、頑張ります。

──ウィッキー選手を相手に「いい試合をして勝つ」って相当……。

所 難しいですよね、間違いなく。負けたらちょっと自分のポジションというのも危うくなりますし、そういうのも考えてDREAMは組んだんでしょうけど、サバイバルですよね。見る人にとっては面白いと思いますけど。

──「サバイバル」って言葉が出ましたけど、DREAMからはずっとサバイバルですよね。

所 そうですね。なんなんですかねぇ? どんどん出てきますし(笑)。

──どんどん出てきますよね(笑)。今後、ヨアキム・ハンセン選手と当たる可能性だってあるわけですからね。

所 ハンセンとやる可能性があるなんて考えてことなかったですからね(笑)。まあ、今回のケージもそうですし、何が起こるのかわかんないんで、とにかく気持ちを強く持つことが大事だと思います。大変ですけど、そうやって状況がコロコロ変わるのも面白いですし(笑)。

──今後の目標を聞かせてください。

所 まずはウィッキー選手に勝って、次は7月になるか9月になるか分からないですけど、その試合に出してもらうってことですね、はい。

──DREAMフェザー級のベルトというのは?

所 欲しいですね。せっかく10年やってるんで、誰もが認めるベルトを巻きたいです。

──最後にファンへメッセージをお願いします。

所 まだ今年は仕事をしてないので、いい試合をして勝って、また見たいと思われるように頑張ります。

【『DREAM.14』対戦カード】

■DREAMミドル級ワンマッチ
桜庭和志(日本/ Laughter7)vsハレック・グレイシー(ブラジル/グレイシー柔術)

■DREAMウェルター級ワンマッチ
桜井“マッハ”速人(日本/マッハ道場)vsニック・ディアス(アメリカ/シーザー・グレイシー柔術)

■DREAMフェザー級ワンマッチ
高谷裕之(日本/高谷軍団)vsヨアキム・ハンセン(ノルウェー/フロントライン・アカデミー)

■DREAMフェザー級ワンマッチ
山本“KID”徳郁(日本/KRAZY BEE)vsキコ・ロペス(アメリカ/チーム・クエスト)

■DREAMフェザー級ワンマッチ
所英男(日本/チームZST)vs西浦“ウィッキー”聡生(日本/STGY)

■DREAMフェザー級ワンマッチ
宮田和幸(日本/Brave)vs大塚隆史(日本/AACC)

■DREAMフェザー級ワンマッチ
前田吉朗(日本/パンクラス稲垣組)vs大沢ケンジ(日本/和術慧舟會A-3)