秋田県 新政酒造 頒布会 4月 | 釣肴で今宵も一杯

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当ブログでも度々紹介している秋田県にある、新政酒造

その新政酒造には毎年3カ月に及ぶ頒布会なるものがある。




当蔵は”玄人"向けの「頒布会」を行っている。こちらは、試験醸造酒や小難しい実験酒で埋め尽くされていることが多く、世間一般の常識とは趣が随分異なっている。「新政」をすでにある程度飲みこなしており、かつ日本酒についての教養を得たい人にとっては最適な題材だと思われる。(ただしビギナーはできるだけ購入を避けたほうが無難である)    新政酒造H Pより抜粋


今回も世間一般の常識のお酒とはかけ離れたものばかりでした…
今回のブログ内容はかなりマニアックですので悪しからず。





4月分は初の試み三本







其の一

96% 純米

日本酒の原料のお米は磨けば磨く程に美味しいと言われてきました。吟醸、大吟醸とお酒を別けるランクは精米歩合、お米をどれだけ磨いたかで区分されます。
通常の食べるお米の精米歩合で90%、スーパーなどで売られている安い普通酒で70%程、実際お米を磨けば磨く程、爽やかで軽快な酒質になります。その磨いたお酒の綺麗な酒質の代償に失われるのがお米本来の個性です。
最近の精米歩合を見ると1%の精米歩合や全量純米大吟醸蔵などがあります。俺も兼ねてより思っていたお米本来の個性は低精米にあると思いますし、新政酒造も「低精米で美味しいお酒を造れば
それは、純粋に酒造りの腕前が良い事を示してるいる」

そんな思いで利きます。



おすすめの酒器 陶器 磁器のぐい呑みや平盃

若干の色付き、上立香と含み香はまだ青い若いメロン。個性やコクがあるものの飲みやすく、旨みと甘みのバランスは流石。綺麗にフェードアウトする美味さは大吟醸とは違ったキレです。
一本目からレベル高!

お刺身


ホタルいかなどと…









其の二

亜麻猫 改

本来、日本酒には黄色麹が使われます。しかし、この亜麻猫は焼酎に使われる白麹が使われています。
その白麹の特徴は高い酸度を出す事です。
元々、自然界で生きてた菌で弱い為、敵を倒すのに酸っぱい酸を出すのです。
デビュー当時の酸度は2程でしたが現在の亜麻猫はその2倍以上の4.5を目指して設計してるそうです。この実験的な亜麻猫改は酸度8あります。白ワインや紹興酒程の酸度があり、かなり酸っぱいです。
アルコール度数は原酒で12.8%とかなりの低アルコールです。
酵母の発酵力を落としながら少ない酵母でゆっくり発酵させる事によって低いアルコール度数で完全発酵させるのです。その為発酵に掛かる日数はかなり長く醪日数40日以上と手間もかかり、しかも白麹は醪が溶けにくく、日本酒はアルコール度数が高い方が粕が少なくなるのですが、よく桐箱に入れらて5000円程で売られている大吟醸で粕歩合が40%なのに対し亜麻猫はアルコール度数が低いのと溶けない白麹が合わさり粕歩合が70%以上になるそうです。粕が70%と言う事は100に対して30%日本酒が出来て残りは酒粕になると言う事で、かなりの高コストです。

以前、新政社長の佐藤祐輔氏にお会いした時亜麻猫に関して「日本酒を造っているのか、酒粕を造っているのか、分からない…ウチは酒粕屋かって程出る」とおしゃってました。
それほど、手間とコストが掛かった日本酒です。



おすすめの酒器 ワイングラス必須

白ワインのような、でもワインより控えめな上立香、一口利くと「酸っぱ」ワインや紹興酒などの酸味の強いお酒は苦手なリュウイチですが、これは日本酒だ!美味い!
後味も酸が高いけどバランスもキレも良いのでサッパリいけます。
チーズなどの発酵食品やマダイのカルパッチョなどとベストコンビではないでしょうか?










其の三

木桶仕込元禄酒


江戸初期頃の伊丹地方の製法を現代風に再現した濃厚なお酒で日本酒度がマイナス28あります。
元禄仕込は現代の仕込と比較して水量が半分以下なのでマイナス28という、甘・旨口のお酒に仕上がります。
日本酒度とは日本酒に含まれる糖分の含有量を計る指標で糖分の多いものがマイナス、少ないものがプラスとなり辛口甘口の基準になります。販売されているお酒だとプラス5〜6ぐらいで辛口、マイナス3ぐらいで甘口の部類でしょうか。実際は日本酒度1〜3程度の振り幅は微妙なもので辛口甘口の判断基準には以前からリュウイチは疑問に感じてますし、日本酒度は一緒でも加水やアル添(新政はアル添、加水はしてません。全量純米原酒です)で感じ方は変わりますし、必ずしもプラス=辛口 マイナス=甘口とは感じないからです。本来、日本酒度は飲み手が甘辛を判断するものではなく、造り手が醪の発酵具合や絞りのタイミングの判断基準として使うものです。
話がズレましたが流石に日本酒度マイナス28は舌の上でとろけるような旨みの塊と濃厚でコクのある甘みを感じます。

そして、木桶仕込
江戸初期の基本製法、三段仕込みが完成しこれに合わせより大きな木桶が必要になり、人の背丈より大きな木桶が誕生しました。大きな木桶は現代の吟醸酒のサイズに相当する日本酒がいちどに仕込め、蔵の収益増大に影響しました。
そんな木桶が現在危機的状況で現在の日本酒タンクは琺瑯やステレオが常識で木桶を使う蔵は少ないです。そこにきて仕込み用の大桶の製造、補修ができる数少ない製桶場の藤井製桶場 株式会社ウッドワークが辞めてしまうとの事で(ここの木桶職人 上芝社長の話は機会があれば改めてするとして)佐藤社長は自社の社員を研修に出し自分の会社で木桶制作をしようとしてるらしく2020年木桶工房を開所予定らしいです。


おすすめの酒器お好みの酒器で

先執した通り、舌の上でとろけるような旨みの塊と濃厚でコクのある甘みと木桶を感じる微かなフレーバーがアクセントになり爽やかに感じます。

茄子の揚げ浸しや

モツ煮込み
など濃い目の味のものに



今年の頒布会はかなり数量が少ないらしく一点しか予約できませんでした。

もう、頒布会も始まってしまってますので酒屋さんでの購入はもう無理かと思いますが、呑める飲食店はありますので見つけたら、かなりマニアックな日本酒ですが是非お試し下さい。




今回は以前、佐藤社長にお会いした時に聞いた事をまとめました。