僕がまだ病院に勤めていた頃
通ってこられる患者さん達が
おっしゃった言葉があります。
異口同音に
歳をとって、昔できていた事が、今できなくて
情けない
と。
当時は、その言葉だけをとって
体が不自由になられて、ご苦労をされてるんだな…
と、思っていました。
もちろんその意味もあるとは思うのですが、
今はもう少し、考えを巡らせています。
それは
ご家族との関係性です。
今のご高齢者が子育てをされた時代
つまり僕らくらいか、それより上の世代は
「人に迷惑をかけてはいけない」
と、よく親が子に言って聞かせました。
判断基準の一つが、「他人の迷惑になるかどうか」
です。
この「迷惑」の定期が難しいのですが
病院で僕らにお話しされていた方の状況を鑑みると
「人の手を借りる=人に迷惑をかけている」
になっている様子です。
気持ちはわかりますよ。
人を手助けする立場でもなく
お世話する側でもなく
気ぃ付けや!と言われる側に…
そして気がつけば「後期高齢者」という
ネーミングを聞いただけでも、元気がなくなりそうな
カテゴリーに分類されている自分…。
全部ひっくるめて、「情けない」
になってたのかなぁ。
確かに、思うように動かない体は
子どもに解除してもらう必要が増えたり
動く度につい、「ヨイショ」とか「痛たた…」とか無意識で言っていたり。
そんなことを考えると、そんな話にもなりますよね。
でもね、ちょっと考えると、違った見方も出来るかな、と。
そうやって、病気や年齢の影響を受けて変化していく様子を
僕ら若い世代に見せ、触れさせ、気持ちをお話くださるのは
「時間は永遠ではない」
と、身を以て教えて下さっているのと同じだと感じます。
目や耳が問題をはらみ
腰は曲がり、膝は痛くなり…
そんなエンドレスな生活に
疲れが出てしまうこともありますよね。
そんな時は
この若い世代に、生き様を見せてやってるねん
とでも、考えて欲しいものです。
むしろ、関わりを持たせて頂いている人間からすると
ありがたい体験をさせて頂いてます。