多様な人種や文化が混在するニューヨークで、アジア系デザイナー旋風が吹き荒れている。いずれも、アメリカ育ちで、ここ数年で台頭してきた若者ばかりだ。12日に閉幕した2008年春夏ニューヨークコレクションでも一気に注目が集まった。

 03年にデビューしたデレク・ラムは、中国系。自らの名を冠したブランドは、有望株だ。今回は、軽さと着心地の良さを重視した服を提案した。

 「ニューヨークは若い世代にオープンで、異文化を受け入れる土壌があるから、アジア系も活躍できる」と話す。


 韓国系米国人のドゥー・リー・チャンも同じく03年にデビューした。シンプルなデザインに、凝った手仕事をさりげなく盛り込む感性や技術が評価されている。


 05年にデビューした中国系のフィリップ・リムはクラシックなスタイルに遊び心を盛り込み、カジュアルに着崩すことを提案。


 アレキサンダー・ワンは中国系の23歳。モノトーンを中心にした服を見せた。ショー会場には、日本のバイヤーも姿を見せ、「ユーロ高でヨーロッパ製品が高騰する中、手ごろな価格で流行を程良く取り入れた商品は、日本の女性にも魅力」と話す。


 有名デザイナーを輩出しているニューヨークのパーソンズ・スクール・オブ・デザインでは、海外留学生の大半がアジア地域からだという。同校助教授の小川吉三郎さんも「オフィスはニューヨークでも工場は中国という会社も多く、地元との関係があるアジア系の人は強い」と話す。