「初めてで、どの投資信託を買えばいいのかわからない」「分散投資でリスクをきちんと抑えたい」と思うことはありませんか。投資信託は、少ない金額からいろいろな資産に投資できる便利なしくみです。ですが、選び方をまちがえると、値動きが大きすぎて不安になったり、自分の考え方に合わない商品を持ち続けることになったりします。
なかでも、三菱UFJアセットマネジメントのeMAXIS Slimシリーズは、インデックスファンドを中心とした低コスト型の投資信託としてよく知られています。全世界株式に投資する「オルカン」ことeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)、米国株式に投資するeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)、日本株式、先進国株式、新興国株式、そして8資産に分散するバランス型まで、選択肢はさまざまです。
そこで今回は、自分の好みやリスク許容度に合わせて、eMAXIS Slimシリーズのなかから候補を考えやすくする診断テストを作成しました。なお、この記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の投資信託の購入をすすめるものではありません。投資には元本割れのリスクがあります。最終的な投資判断は、ご自身の責任でおこなってください。

1.まず知っておきたい、投資信託選びの基本
診断に入る前に、投資信託を選ぶときに大切な考え方を確認しておきましょう。どの商品がよいかを考える前に、自分がどれくらい値動きに耐えられるのか、何年くらい運用できるのか、どの地域や資産に投資したいのかを整理することが大切です。
(1)投資信託は「元本保証」ではありません
投資信託は、預金とはちがいます。株式や債券、不動産投資信託など、値動きのある資産で運用されるため、基準価額が上がることもあれば下がることもあります。金融庁も、株式や投資信託などの運用商品は預貯金より高いリターンを期待できる一方で、元本割れのおそれがあると説明しています。つまり、「有名なファンドだから安心」「人気があるから絶対に増える」というわけではありません。投資を始める前には、生活費や近い将来に使うお金を分けて、余裕資金で考えることが基本です。
(2)分散投資はリスクを小さくする工夫です
ひとつの会社やひとつの国だけに投資すると、その会社や国の調子が悪くなったときに大きな影響を受けます。そこで大切になるのが分散投資です。信託協会は、投資信託は多くの投資家から集めたお金をまとめ、複数の株式や債券などに分散して投資するため、リスクを軽減しやすいと説明しています。ただし、分散していても損失が出ないわけではありません。リスクを「なくす」のではなく、「一か所に集中しすぎないようにする」考え方だととらえるとわかりやすいでしょう。
(3)海外資産では為替の影響も受けます
海外株式や海外債券に投資するファンドは、株価や債券価格だけではなく、円高・円安の影響も受けます。たとえば、三菱UFJアセットマネジメントは、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の基準価額の主な変動要因として、組入資産の価格変動と米ドル/円レートの変動を挙げています。つまり、米国株が上がっていても円高が進むと、円で見た基準価額が下がることがあります。海外投資は分散の面で魅力がありますが、為替リスクもあわせて理解しておきましょう。

2.あなたに合うeMAXIS Slim診断テスト
ここからは、あなたの運用スタイルに近いタイプを見つけるための簡単な診断です。それぞれの質問で、自分に一番近い答えを選んでください。A・B・C・D・Eのうち、いちばん多かったものが、あなたに近いタイプです。同数の場合は、より不安が少ないほうを選ぶとよいでしょう。
質問1:投資で一時的に値下がりしたとき、どう感じますか
A:ある程度の値下がりはあると思っている。世界全体に分散していれば続けられそうです。
B:大きく増える可能性を重視したいので、一時的な値下がりは受け入れられます。
C:海外だけでは不安なので、日本株もきちんと見ておきたいです。
D:値下がりが大きいと眠れなくなりそうなので、できるだけ値動きを抑えたいです。
E:リスクは高くても、成長が期待される地域に投資してみたいです。
質問2:投資先として一番しっくりくるのはどれですか
A:日本を含む世界中の株式に、まるごと投資したいです。
B:米国企業の成長力に期待したいです。
C:日本企業や日本経済にも関心があります。
D:株式だけでなく、債券やリートにも分けたいです。
E:新興国の成長に期待したいです。
質問3:投資にどれくらい手間をかけたいですか
A:できれば1本でシンプルに続けたいです。
B:米国中心と決めて、わかりやすく持ち続けたいです。
C:日本株を中心に、自分で組み合わせを考えたいです。
D:資産配分はファンドの中である程度まとめてほしいです。
E:リスクを理解したうえで、少し攻めた組み合わせも考えたいです。
質問4:あなたの運用期間はどれくらいですか
A:10年以上の長期で考えています。
B:10年以上で、値動きが大きくても成長を重視したいです。
C:長期で考えていますが、日本の資産も持っておきたいです。
D:長期ではあるものの、値動きはなるべくなだらかにしたいです。
E:長期でないと難しいと理解したうえで、新興国にも関心があります。
質問5:あなたに近い考え方はどれですか
A:迷ったら、まずは世界全体に広く分散したいです。
B:全世界よりも米国に集中したほうが納得できます。
C:円で暮らしているので、日本株への投資も大事にしたいです。
D:大きく増やすよりも、続けやすさを大切にしたいです。
E:値動きが大きくても、将来性のある市場を取り入れたいです。

3.診断結果:タイプ別の候補ファンド
ここでは、診断結果に合わせて、eMAXIS Slimシリーズのなかから候補になりやすいファンドを紹介します。あくまで「自分の考え方に近い候補」を整理するための目安です。購入前には、必ず最新の目論見書、手数料、投資リスク、NISAでの取扱い状況などを確認してください。
Aが多い人:迷ったら世界まるごと型
Aが多かった人は、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)が候補になります。日本を含む全世界の株式に広く投資するインデックス型の投資信託で、「オルカン」という愛称でも知られています。1本で世界全体に分散しやすいため、初めて投資信託を選ぶ人にも考えやすい商品です。ただし、株式100%のファンドです。世界に分散していても、世界的な株安のときには大きく下がることがあります。また、海外株式を含むため為替の影響も受けます。
Bが多い人:米国成長期待型
Bが多かった人は、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)が候補になります。S&P500指数に連動する投資成果をめざすファンドで、主に米国の大型株に投資します。米国企業の成長に期待したい人にはわかりやすい選択肢です。一方で、投資先が米国株式に集中します。米国市場が不調になった場合や、円高が進んだ場合には基準価額が大きく下がることがあります。全世界株式よりも地域集中のリスクが高い点を理解しておきましょう。
Cが多い人:日本株も意識したい型
Cが多かった人は、eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)や、eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)が候補になります。日本で暮らし、日本円で生活していると、日本企業の成長や日本経済の変化を身近に感じやすいものです。国内株式ファンドは為替の影響を受けにくい一方で、日本株式市場に集中するリスクがあります。すでに給与や不動産など生活基盤が日本に偏っている人は、投資まで日本に集中しすぎないかも確認したいところです。
Dが多い人:値動きゆるやか重視型
Dが多かった人は、eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)が候補になります。このファンドは、国内株式、先進国株式、新興国株式、国内債券、先進国債券、新興国債券、国内リート、先進国リートの8資産に均等に投資する考え方です。株式だけに投資するファンドより値動きが分散されやすい一方、債券やリートにも価格変動リスクがあります。海外資産には為替リスクもあります。また、株式市場が大きく上がる局面では、株式100%のファンドより上昇が控えめになることがあります。
Eが多い人:新興国チャレンジ型
Eが多かった人は、eMAXIS Slim 新興国株式インデックスが候補になります。新興国は、人口増加や経済成長への期待がある一方で、政治、制度、通貨、流動性などのリスクが大きくなりやすい地域です。短期間で大きく上がることもあれば、大きく下がることもあります。初心者がいきなり資産の中心にするより、全世界株式や先進国株式などを中心にしたうえで、一部に組み入れるかどうかを慎重に考えるほうが現実的です。

4.タイプ別に見る、気をつけたいリスク
どのファンドにも、それぞれのよさと注意点があります。ここでは、診断結果ごとに見落としやすいリスクを整理します。大切なのは、「どれが一番もうかるか」ではなく、「自分が下がったときにも持ち続けられるか」です。
(1)オルカンは万能ではありません
全世界株式に分散していると聞くと、とても安心に感じるかもしれません。たしかに、ひとつの国だけに投資するより分散効果は期待できます。ですが、オルカンも株式に投資するファンドです。世界的な金融危機や景気後退が起これば、全世界の株式が同時に下がることもあります。また、時価総額に応じた構成になるため、米国株式の比率が高くなりやすい時期もあります。「世界に分散しているから絶対に安心」ではなく、「株式の値動きを受け入れながら、世界に広く投資する商品」と理解しましょう。
(2)S&P500は米国集中のリスクがあります
S&P500は、米国を代表する株価指数のひとつです。長期で米国経済の成長に期待する人にとっては魅力的に見えるでしょう。しかし、米国株式に集中するということは、米国市場が不調なときに影響を強く受けるということでもあります。また、日本円で投資する場合、米ドル/円の為替変動も基準価額に影響します。三菱UFJアセットマネジメントも、米国株が上がっていても円高局面では基準価額が下落することがあると説明しています。強い市場に乗ることと、集中リスクを取ることは表裏一体です。
(3)バランス型でも損をすることはあります
8資産均等型のようなバランスファンドは、株式、債券、リートなどに分散するため、株式100%のファンドより値動きが抑えられやすいと考えられます。ただし、債券にも金利変動リスクがありますし、リートにも不動産市場や金利の影響があります。さらに海外資産には為替の影響もあります。つまり、バランス型は「安全資産」ではありません。値動きをゆるやかにする工夫がされたファンドであっても、元本保証ではないことを忘れないようにしましょう。
(4)新興国株式は期待と不安が大きくなりやすいです
新興国株式は、将来の成長に期待できる一方、値動きが大きくなりやすい資産です。政治の変化、通貨の下落、制度の不安定さ、情報開示の差など、先進国とは異なるリスクもあります。そのため、投資を始めたばかりの人が大きな金額を一度に入れると、値下がりしたときに不安になりやすいでしょう。新興国に関心がある場合でも、まずは全体の資産配分を考え、そのなかでどのくらいなら無理なく持てるかを決めることが大切です。

まとめ
eMAXIS Slimシリーズには、全世界株式、米国株式、先進国株式、新興国株式、国内株式、8資産均等型など、さまざまな選択肢があります。どれが一番よいかは、運用経験、運用期間、リスク許容度、投資にかけられる手間、そして自分がどんな未来を想定しているかによって変わります。
初めてで迷う人は、世界全体に広く分散するオルカンを候補にしやすいでしょう。米国の成長に強く期待する人はS&P500、日本株も重視したい人は国内株式、値動きを抑えたい人は8資産均等型、新興国の成長に関心がある人は新興国株式を一部に取り入れるという考え方もあります。
ただし、どのファンドを選んでも、投資に絶対はありません。将来の運用成果は保証されませんし、元本割れの可能性もあります。購入前には、必ず最新の公式ファンド情報や目論見書を確認し、手数料、投資対象、リスク、NISAでの取扱い状況を自分で確かめましょう。
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の購入・売却をすすめるものではありません。投資には元本割れを含むリスクがあります。投資判断は、必ずご自身の責任でおこなってください。
