自分が太っているとか痩せているとかと考えるときは、なにか比べる基準があるはずです。たとえば、昔のモテたときの体型であったり、好きなファッションを着こなせていたときであったりという過去の自分と比較する場合があるでしょう。もしくは、テレビやSNSでみるモデルやタレントであったり、人気があるYoutuberであったり、他人を比較の対象とすることもあります。

 

 

 

 

 

 

SNSと美容整形

以前に紹介しましたが、オランダ・ティルブルフ大学(Tilburg University)のAnne-Mette Hermansらは、平均年齢21歳のInstagramユーザー470名を対象にSNSと美容整形に関する調査をおこないました。その結果は、SNS(Instagram)はなにかしらユーザーの美容整形観に影響を与えているというものでした。

SNSとボディ・イメージへの注目

SNSが美容整形をしたいもしくはしたくないという意向に影響を与えているとするならば、そもそも自分の体型をどのようにとらえているかという体型への注目にもSNSは影響を与えていると考えることができます。その点について、イギリス・ケント大学(The University of Kent)のEmily Dentと Andrew Martinが「Negative comments and social media: How cognitive biases relate to body image concerns」(Body Image、2023)という研究を150名の大学生を対象におこなっています。この研究では、SNSで目にする言葉が自分自身のボディ・イメージの形成にどう影響するのかが調べられました。

 

その結果、自分自身や友人,有名人の身体イメージに関する単語をどれくらい覚えているかについて、その言葉の内容が正しいか正しくないかにかかわらず、人は自分に向けられた言葉は覚えていて、その言葉によって自分のボディ・イメージが影響を受けることがわかりました。分かりやすくいえば、人はいわれた言葉はいつまでも覚えていて、その言われたことに影響されやすいということでしょうか。

 

あたりまえの研究結果とおもうかもしれませんが、エビデンスとしてはっきりとあきらかになったことで、身体障害や摂食障害を持つ人の治療を目的とした認知的改善プログラムなどにも、今後は役立っていくでしょう。

まとめ

SNSは隙間時間の暇つぶしだけではなく、普段会わない人とのコミュニケーションツールとしても多くのひとに利用されています。SNSで飛び交う何気ない一言が、じつは大きな影響を人に与えていると考えると、使い方にもいろいろ注意が必要かもしれませんね。