恋人が欲しい、結婚したいと考えているにもかかわらず、恋人や結婚相手がいないという人は珍しくありませんよね。

 

国立社会保障人口問題研究所が毎年のようにおこなっている「未婚者に独身でいる理由」をたずねる調査では、必ずトップにくる回答が「適当な相手にまだめぐり会わないから」というもの。積極的に相手を探しているにもかかわらずめぐり会えない人も、恋愛に意識を向けることがないのでめぐり会わないというひともいるでしょう。

 

今回は、西村智の「未婚者の恋愛行動分析 : なぜ適当な相手にめぐり会わないのか」(経済学論究)という研究をもとに、なぜわたしたちは恋愛で適当な相手にめぐり会わないのかについて、考えてみたいと思います。

 

 

 

 

 

 

1.恋愛において、適当な相手に出会わないと感じる理由

まず、恋愛において適当な相手に出会わないと感じる理由を考えておきましょう。

(1)自己理解が足りない

自分自身の欲求やニーズを正確に理解していないと、適切な相手を見つけることが難しくなります。自分自身をよく知ることで、自分に合った相手を見つけることができるでしょう。

(2)自分の妥協点が定まっていない

恋愛において、どのようなことに対して妥協できるか、どのようなことに対して妥協できないかを自分で明確にしておくことが大切です。自分の妥協点が定まっていないと、自分に合わない相手を選んでしまい、失望することになります。

(3)適切な方法で出会いを探していない

恋愛において、適切な方法で出会いを探すことが重要です。例えば、自分と趣味や興味が共通するグループやコミュニティに参加することで、自分に合った相手と出会いやすくなるでしょう。

(4)恋愛に対する焦りやプレッシャーがある

恋愛に対する焦りやプレッシャーがあると、適当な相手に出会っても、その人を見る目が曇ってしまうことがあります。自分のペースで恋愛を楽しむことが大切です。

(5)自分自身が適当な相手でない可能性がある

自分自身が適当な相手でない場合もあります。例えば、コミュニケーション能力が低い、自分勝手な行動が目立つなど、相手にとって魅力的でない部分がある場合です。自分自身を見つめ直し、改善することが必要かもしれません。

2.恋人がいないが近いうちに欲しいと思っている人

さて、西村智の「未婚者の恋愛行動分析 : なぜ適当な相手にめぐり会わないのか」(経済学論究)という研究ですが、この研究では全国の25歳から39歳までの社会人未婚者1500人(男性750人、女性750人)を対象に調査がおこなわれました。雇用形態は、正社員が43.5%、非正社員が27.6%、自営業・経営者が6.1%、求職中が3.3%、非就業が16.4%です。ちなみに、分析対象者のうち恋人がいるのはわずか4 人に1人でした。

 

調査の結果、恋人がいないが近いうちに欲しいと思っている人には、①モラトリアム・タイプ、②低収入・出会いに困難を抱えるタイプ、③異性とのコミュニケーションに問題を抱えるタイプがあることがわかりました。①のモラトリアム・タイプとは、趣味や娯楽を優先するタイプのことです。そしてどうやら、「適当な相手にめぐり会わない」と考えているひとは、②と③の両方に該当する人に特に多いことがわかりました。

 

どうやら、「適当な相手にめぐり会わない」原因は人それぞれではあるものの、おおむね趣味の方が恋愛より楽しいと思っているためにめぐり会わない、低収入ためにめぐり会わない、異性とのコミュニケーションに問題があるためにめぐり会わないの3つのタイプがあるようです。

3.「適当な相手にめぐり会わない」の真相

調査対象者の中で恋人がいる人を恋愛成就型、それ以外の恋人がいない人たちを、恋愛サーチ型(恋人を探している)、恋愛モラトリアム型(恋人は欲しいが何もしていない)、恋愛無関心型(恋人が欲しいと思わない)として、詳しくみていきましょう。

 

「適当な相手にめぐり会わない」のは調査の結果、男性より女性が出会いに困難を感じていることがわかりました。同じことが未婚者でもあてはまります。これは、昨今の平均収入の低下や非正規化と関連しているかもしれません。

 

また、恋愛サーチ型ではコミュニケーション力の不足が出会いを困難にしていること、恋愛モラトリアム型では結婚の時期を定めないことが適当な相手との出会いとめぐり会えないことと関連していることがわかりました。

 

つまり、「適当な相手にめぐり会わない」はたんなるミスマッチ(出会いがない)の問題ではないわけです。マッチングを改善するためには、サーチ型はコミュニケーション力を高める必要がありますし、モラトリアム状態にある人は自ら結婚を先送りをしていることを自覚する必要があるんです。

4.まとめ

わたしたちは「出会いがない!」とよくいいますが、西村智の研究によれば、少なくとも本気で出会いを探していないのかも知れません。給料が安いとかは自分ではどうしようもなく、それこそ政府に少子化対策の一環の意味でも何とかしてもらわないといけない問題ですが、恋人を作るためのコミュニケーション力などは、自分で身につけるしかなさそうです。

 

これらの要因を考慮することで、適当な相手に出会いやすくなるかもしれません。ただし、恋愛にはタイミングや偶然の要素もあるため、焦らずに自分自身を磨き、機会が訪れたときに備えることも大切です。