バーチャルYouTuber(以下、VTuber)って知っていますか?
VTuberは、アニメーションやCG技術を用いて作られた仮想のキャラクターが、実際にYouTubeなどの動画配信サービス上で生放送や録画配信などをおこなう、YouTuberの一種です。実際にはYouTubeだけではなく、「ツイキャス」「IRIAM」「ニコニコ生放送」「ミラティブ」「SHOWROOM」などのプラットフォームで配信されています。
一般的には、2016年12月に活動を開始したキズナアイ(Kizuna AI)がYouTuber活動をおこなう際に、自身をVTuberと称したことがはじまりだといわれています。キズナアイは、CGによるキャラクターアニメーションです。
最近では、静岡新聞社・静岡放送の公認VTuberとして木乃華サクヤ(Sakuya Konohana)が登場するなど、VTuberは人気を集めています。なぜ、VTuber人気なのでしょうか?
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VTuberの活躍
VTuberの人気は、日本を中心に急速に広がっており、視聴者数やファン数が数百万人を超えるVTuberも多数存在しています。VTuberは、ゲーム実況やトーク番組、歌唱ライブなど、多様なジャンルで活躍しています。現在は1万人を超えるVTuberが活動しているとも。VTuberが実際にアイドルグループとして活動する場合もあり、音楽CDのリリースやライブイベントの開催などもおこなわれています。
たとえば、静岡新聞社・静岡放送の公認VTuberの木乃華サクヤは、静岡市の鈴木酒店から日本酒をリリースしたり、静岡県袋井市のひしだい製茶からペットボトルのお茶をリリースしたり、静岡県熱海市の常盤木羊羹店からお貸しをリリースしたりと、もはやYoutubeの外にまで活動の場を広げています。
(1)キズナアイ×日本政府観光局(JNTO)
日本政府観光局(JNTO)のニューヨーク事務所が実施するアメリカ市場向け訪日旅行促進キャンペーンにキズナアイが採用され、訪日促進アンバサダーとして活躍しました。
(2)根羽清ココロ×ロート製薬
根羽清ココロは、ロート製薬でスキンケアの研究者であり広報担当者という設定で活躍しています。2018年から起用されているので、もう5年も活動していることになります。
(2)N子・メイ・黒野×Netflix
Netflixは、世界中に広がるアニメファンとの交流促進の一環として、ネトフリアニメ公式VTuber「N子・メイ・黒野」をデビューさせました。YouTubeで配信される番組The N-ko Show」でさまざまな作品を紹介したり、声優やクリエイターにインタビューをしたりしています。
VTuberの人気の秘密
VTuberの人気の背景には、現代社会における孤独やストレス、コミュニケーション不足といった課題があるとされており、VTuberが提供する仮想空間でのコミュニケーションや交流が、多くの人々にとって心理的な支えとなっていると考えられています。
(1)リアクションがある
これまでのアニメや漫画のキャラクターは、一方向でのコミュニケーションでした。つまり、テレビを見ていてこちらが話しかけても、ディスプレイのなかから反応がないのと同じです。
ですが、VTuberはコメントを打てば読み上げて反応してくれることもあり、場合によってはこちらの投げかけに対して声をかけてくれることもあります。どちらかというとテレビではなくラジオの生放送に近いかもしれません。
もちろん全ての視聴者にVTuberから反応をもらえるわけではありません。ですが、コミュニケーションの可能性がゼロではないこと、視聴者との距離が近くファンを認知してくれることが、VTuber人気の最大の秘密かもしれません。
(2)スキャンダルがない
アイドルなど生身の人間には、かならずスキャンダルがつきまといます。推しのアイドルが同じ芸能人ならまだしも、マネージャーや一般人と交際しているのが発覚して炎上するなんてことがときどき起こります。また、清純派のイメージなのに、恋愛関係が奔放だったり、未成年なのにタバコを吸ったりということもよくあります。
ですが、VTuberはあくまでアニメーションやCG技術を用いて作られた仮想のキャラクターなので、スキャンダルとは無縁です。
(3)キャラが揺るがない
スキャンダルと関連して生身の人間で起こるのはキャラクターの不安定さです。例えば昔、小倉優子さんは「こりん星から来たゆうこりん」というキャラでメディアにでていましたが、2022年12月17日放送のMBSテレビのバラエティー「痛快!明石家電視台」に出演し、「こりん星は26歳くらいで言うのをやめた」と話しています。さすがに30歳や40歳になって「こりん星から来たゆうこりん」というキャラは無理ですよね。
これがVTuberだと、最初に設定したキャラクターを続けていくことも可能です。キャラクターコンセプトを明確に打ち出し、ぶれないことがVTuber人気の秘密です。
(4)二次創作が可能で身近な存在に
著作権などの権利関係の問題はありますが、認められれば二次創作が可能です。静岡新聞社・静岡放送の公認VTuberの木乃華サクヤが静岡県内の事業者としてコラボした商品を展開するのは、そのキャラクター人気が増幅されるきっかけにもなっています。コラボ商品が増えれば、それだけ身近な存在となり、親しみを覚えることにもつながります。
二次創作以外にも切り抜き動画などの手法で、VTuberが出演した動画を拡散させることも効率的に話題の動画をチェックできるので、人気に拍車をかけることにつながります。
VTuberのトラブル・事件
VTuberもけっしてトラブルや事件とは無縁というわけではありません。ときには、炎上してしまうような出来事がおこることもあります。
(1)なかの人が特定される
アニメーションやCG技術を用いて作られた仮想のキャラクターといっても、声を演じているなど「なかの人」は必ずいます。それが特定されたときには、なかの人の言動に注目が集まり、過去の失言や不道徳なおこないなどが糾弾され、炎上することもあるわけです。
ちなみに、N子・メイ・黒野の場合、アニメが大好きなNetflix社員が自らN子を演じ、社員ならではの親しみやすさで、アニメファンと接するというふうになかの人が社員と最初からばらしている手法も見られます。
(2)もの申す系キャラ
炎上商法を狙ってか、もの申す系キャラのVTuberもいます。ですが、ときにその発言が差別的であったり、過激になって他者を傷つけたりすることで炎上してしまうことがあります。
(3)運営が不慣れ
VTuberのキャラクター自体に問題がなくても、プレゼント企画などで個人情報の扱いに問題があったりと、運営が不慣れで起こるトラブルや事件もあります。
まとめ
VTuberは、今後いろいろな企業がマーケティングに採用してくるでしょう。そのときに、運営のミスやコラボ先の企業の不祥事などでVTuberのあり方が注目されるかもしれません。まだまだ登場したばかりのVTuber。今後の展開に注目です。