この原稿は今、バンコクで書いている。唐突な書き出しで、キョトンとされ人も多いだろう。

 

3月1日をさかいに、タイ入国と日本帰国の水際対策が緩和された。そのチャンスを生かして、タイに戻っている。「コロナがまだまだ猛威をふるっているなかで、何を考えているんだ」とお怒りになった人もいるはず。

 

2013年からバンコクに居をかまえ、2020年のコロナウイルス・パンデミック以来、丸2年も家を不在にした。観光旅行ではなく、帰宅なのでお許しいただきたい。

 

パンデミックにより、海外渡航が制限されたのはご存じの通りだ。出入国管理統計によれば、パンデミック直前の2019年12月の日本人出国者数は171万人、外国人入国者数は248万人。それが、2020年12月だと日本人出国者数は3万人、外国人入国者数は7万人まで減少する。

 

調べてみて、個人的にはパンデミックまっただなかでも、1ヶ月間に数万人は移動したのかと驚いた(ちなみに、2021年12月だと日本人出国者数が5万人、外国人入国者数は2万人)。

 

政府の水際対策は、観光旅行者を制限するだけではなく、留学生や技能実習生はもちろん、海外在住の家族との往来も制限した。その制限が緩和されたのだ。この機を逃さず、国境を越えた移動をする人も増えたことだろう。

 

これから数ヶ月は、留学生や技能実習生の渡日も慌ただしくなる。パンデミック中も、オンラインでの留学フェアなどが官民主催でおこなわれており、日本への留学を希望する外国人は多かった。

 

しかし、現実は水際対策で渡日することができなかった。政府発表によれば、2020年3月の時点で、在留資格認定を受けたが未入国の留学生は15万人いる。渡日できないのに勧誘しているわけだから、ほとんど「詐欺」のような状態だった。

 

ところで今回のタイ入国にあたっては、2回のワクチン接種と、入国前と入国後のPCR検査で問題がなければ、隔離は初日のPCR検査のためのホテル宿泊のみ。その後は自由に行動できる(5日目に抗原検査をして陰性であれば完全に自由となる)。

 

日本帰国時も、3回のワクチン接種と、帰国前と空港到着時のPCR検査で問題がなければ、隔離はない。航空券代と渡航前のPCR検査費用の高ささえ目をつぶれば、制限はほとんどないに等しい。

 

しばらくはこの状態が続くだろうが、タイ政府は4月からは入国前のPCR検査を廃止し、7月を目標にエンデミック移行を計画している。

 

さて、バンコクに戻ってすでに数日が経過している。街の様子を簡単にお伝えしておこう。多くの飲食店はまだまだ閉店しているところが多く、商店も閑散としている。経営者が変わった店も多い。旅行者をあてにして観光業で成立していた街の課題である。これは日本も同じだろう。