2022年3月1日から、政府の水際対策が緩和され、比較的自由に海外渡航ができるようになりました。日本国外にいる家族に会うため、仕事のため、観光のためなど、いろいろな理由で渡航を検討しはじめたひともいるでしょう。
ですが、具体的にどうすればいいのかわからないことも多いかもしれません。そこで今回は、3月末時点での筆者の経験をもとに紹介します。
タイへの入国
現在、タイへ入国する方法には3つあります。
- TEST & GO
- Sandbox Destinations
- Alternative Quarantine
TEST & GOは、条件をクリアすれば隔離措置が免除になるプログラム。Sandbox Destinationsは、プーケット、クラビ、パンガー、サムイ島、パンガン島、タオ島、パタヤ、シラチャー、シーチャン島、サタヒップ、チャン島など限定されたエリア内の滞在に限って隔離なしになるプログラム。Alternative Quarantineは、全世界からタイに入国する人を対象に、タイ入国後にタイ政府指定の検疫隔離施設にて一定期間、滞在する必要があるプログラムです。
日本人が現在、タイへ入国しようとすると、TEST & GOが一番簡単で現実的です。そこで、今回はTEST & GOについて紹介します。
TEST & GOで入国するには
TEST & GOで入国するには、①タイ入国14日前までにワクチン接種(ファイザー、モデルナ、アストラゼネカ、ジョンソンアンドジョンソン、シノバック、シノファーム、スプートニクV)が完了していること、②新型コロナウイルス感染症をカバーする2万ドル以上の医療保険(海外旅行保険)に加入していること、③タイ政府認可のSHA Extra Plus(SHA++)の基準を満たすホテルに一日目(到着後の初日)宿泊すること、が必要です。
もちろん、日本出発72時間前のPCR検査で陰性であること(4月1日以降、タイ入国に関してPCR検査検査は不要になりました。ですが、個人的には抗原検査でもかまわないので事前検査をオススメします。もしタイ入国時に陽性結果になれば、仕事や観光どころではなくなります。じつは、筆者の周りの大学教員のなかにも、72時間前のPCR検査検査で陽性となり、タイへの渡航を取りやめたという人も実際にいます。)、タイ入国時のPCR検査で陰性であることは当然ながら必要になってきます。
①タイ入国14日前までにワクチン接種
タイに入国するまでに、タイで認可されたワクチンを、2回以上接種が完了していることが必要です。日本国内ではファイザーかモデルナが接種されていますが、どちらも認可されているワクチンですので、特に問題はありません。
入国申請の際に、英文ワクチン接種証明書が必要ですが、日本の自治体が発行する海外渡航用のワクチン接種証明書はタイで有効ですので、住所のある役所で申請しておきましょう。
②新型コロナウイルス感染症をカバーする2万ドル以上の医療保険に加入
海外旅行に出掛けるさい、空港などで旅行保険に加入するというひともいれば、クレジットカードの付帯保険で出掛けるひともいるでしょう。なかには、保険に入らず、海外旅行に行くというひともいると思います。
案外知られていないのですが、海外旅行保険に加入していなくても、国民健康保険などの公的保険から医療費の還付が受けられます。これは「海外療養費制度」といわれ、支払われる金額は日本国内で同様の治療を受けた場合を基準として決められます。
ただし、海外療養費の申請は帰国後におこなうため、現地では医療費を全額支払う必要があるので、じゅうぶんな限度額のあるクレジットカードや現地で現金が引き出せるデビットカードやキャッシュカードを持っている必要があります。ただ、「診断内容明細書」「領収明細書」など必要書類が面倒なので、手間を考えると海外旅行保険に入っておくのがいいかもしれませんね。
さて、話を戻しますが、TEST & GOでは旅行保険は必須です。ですが、クレジットカードの付帯保険でも金額が2万ドル以上なら大丈夫なので、自分の持っているクレジットカード会社に確認してみてください。
クレジットカード会社の保険担当部門に、海外旅行で利用する旨を説明し、英文の医療保険証を発行してもらいましょう。そのとき、「保険期間は滞在の全期間をカバーしていること」「費用の部分が日本円表記ではなく、併記でもいいのでアメリカドル表記にもなっていること」を確認しておきましょう。
なお、クレジットカード会社にもよると思いますが、メールでのPDF送信だけではなく、印刷した原本の郵送も依頼しておくといいと思います。
③タイ政府認可のSHA Extra Plus(SHA++)の基準を満たすホテル
SHA Extra Plus(SHA++)とは、従業員の70%がワクチン接種をおえており、ホテルでのRT-PCR検査のために認定病院と提携した、Amazing Thailand SHa Plusという基準に合致したホテルです。
該当するホテルは、こちらのTourism Authority of Thailandのウェブサイトから確認できます。しかし、ただ該当するホテルに泊まればいいのではなく、空港までホテルからの送迎が用意されていること、初日にホテルでのPCR検査検査が含まれていること、5日以上タイに滞在する予定のひとは5日目に各自がおこなう抗原検査キットが含まれていないといけません。
というわけで、掲載されているホテルを探し、そこから直接予約するのはちょっと面倒というひともいるでしょう。そんなひとにオススメしたいのは、agoda(アゴダ)です。agoda(アゴダ)には、隔離滞在パッケージ(食事、新型コロナウィルス検査、空港ピックアップなどを含む)が紹介されているので、わかりやすく簡単に予約できます。
ただし、一つ注意が必要です。TEST & GOでは英文の予約確認書が必要なのですが、日本語で予約をすすめてしまうと、その後ウェブサイトを英文表記に変更しても、日本語の予約確認書しか発行されません。そのため、予約するときは言語を英語設定にしてからすすめていきましょう。
もし、日本語で予約してしまったら、日本語カスタマーサービス(03-5767-9333、年中無休 9:00〜24:00)に電話して、英文の予約確認書を発行してもらいましょう。
Thailand Passを申請する
さて、突然でてきたThailand Passという言葉。タイへの入国申請はTHAILAND PASSという申請手続きを行い、事前に入国許可を得る必要があります。いってみれば、アメリカに渡航する前に事前承認を受けるESTAのようなもので、ビザ(査証)とは異なります。オンラインでのみ申請できます。
タイランドパスは、タイランドパス申請システムから申請します。TEST & GOで入国するために用意した①英文のワクチン接種証明、②新型コロナウイルス感染症をカバーする2万ドル以上の医療保険の英文証書、③タイ政府認可のSHA Extra Plusホテルの英文の予約確認書、④パスポートの顔写真のページ、が必要です。
これらは基本的に、画像ファイル(jpeg、png)でアップロードするので用意しておきましょう。
Thailand Passは、書類の用意さえできていれば、あとは指示に従って入力、アップロードするだけなので、それほど難しくありません。
- https://tp.consular.go.th/にアクセスする。
- 画面の指示に従い、Choose a plan that’s right for youのページが表示されたら、Exemption from Quarantine (Test & Go)を選択して、Selectをクリック。
- あとは画面の指示に従い、必要情報の入力、必要書類のアップロードをおこなう。
なお、申請後の審査には5営業日程度かかります。これ以上かかる場合は、何か問題がある可能性があるとおもっていいでしょう。そして承認されると、Thailand Pass QR Codeが発行され、メールで送られてきます。
Thailand Passを名乗る偽メール
どういうわけか、Thailand Passを名乗る偽メール(スパムメール)が送られてくる事例がけっこうな割合で発生しているようです。Thailand Pass申請時に登録したメールアドレスに偽メールが送られてるくるため、おそらくシステムがハッキングされているのでしょう。
Thailand Passを管轄しているタイ王国外務省領事部が使用する正しいメールアドレスは「@tp.consular.go.th」「@consular.go.th」の2つのみ。これ以外からのメールは、すべて偽メールとおもって間違いありません。
送られてくるメールは、「名前」「生年月日」「パスポート番号下4桁」を返信しろというもの。上のメールの画像はじっさいに送られてきたものです。
Thailand Passを申請する側からすると、航空券もホテルも予約・購入済みなので、なんとしてもタイに入国したいと思っているところに、不備があるから情報を送れと言われたら、思わず送ってしまいますよね。
もし、本当に不備があったら「Your registration on the Thailand Pass system has been rejected」という件名で、メール本文に申請者の名前が記載され、上のようなメールが送られてきます。
じつは、Thailand Passを初めて申請するとき、agodaの予約確認書が完全な英語版ではなかったために、一度reject(拒否)されたんです。ですが、英文の予約確認書をagodaから送ってもらい(カスタマーセンターに電話しているあいだに、その場で登録メールアドレス宛に送ってくれます)、その画像だけを再度アップロードすれば2時間ほどでThailand Pass QR Codeが発行され、メールで送られてきました。
出発72時間前のPCR検査
ここまできたら、あとは出発72時間前にPCR検査を受けるだけです。このときの検査は、RT-PCR検査(real time RT-PCR)とよばれるものです。RT-PCR検査は、RNAからDNAを合成し、それからPCR検査をおこないます。ちなみに、PCR検査とは、調べたい生物の固有の遺伝子を増幅させることによって、目的とする生物がいるかいないかを調べる検査です。
この72時間前のPCR検査は、けっこう時間がかかります。だいたいどこの病院・クリニックでも、朝イチに検体(唾液)の採取をおこなって、証明書が発行されるのは夕方です。また、金額もまちまちです。安くて1万5千円くらいから、高いと3万円くらいします。ですので、検査結果がでるまでの時間のつぶし方や金額などと相談して、インターネットなどで調べてみるのをオススメします。
気をつけて出発しよう
ここまでが、2022年3月時点でのタイ(バンコク)への渡航方法です。コロナウイルス・パンデミック以前のように、思い立って翌日に渡航するというようなことはまだまだできませんが、それでも数ヶ月前に比べたら渡航しやすくなりました。
ですが、だからといってコロナウイルスに感染しにくくなったわけでも、簡単に治るようになったわけでもありません。どうしても理由があって渡航するというひとは、「自分も感染しない」「ひとにも感染させない」ことを意識して、渡航するようにしてください(なお、2022年3月現在、タイは「レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)」に指定されています)。
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