節電ということで、クーラーの使用を控えている人も少なくないのではないでしょうか。夜寝るときも我慢して、窓を開けて涼をとっている人もいますよね。

 

最近では、窓を開けて寝ることで、泥棒の侵入や盗撮の被害が増えているといわれています。もちろん、これらについては用心しないといけないのですが、他にも窓を開けることで問題が起きそうです。

 

というのも、京都大学の松井利仁准教授が道路交通騒音による健康被害について算出したところ、騒音が健康被害に大きな影響をもたらしていることが明らかになりました(「我が国における道路交通騒音による健康損失」)。どのような影響があるのか、その内容を紹介します。

道路交通騒音の影響

道路交通騒音がもたらす健康被害は、世界的に問題になっています。世界保健機関(WHO)のヨーロッパ事務局によれば、5人にひとりが道路交通騒音のために睡眠障害を引き起こしているとされます(「Burden of disease from environmental noise. Quantification of healthy life years lost in Europe」)。

 

ですが、道路交通騒音はただ睡眠を阻害するだけではなく、そのほかにもいろいろな健康被害をもたらします。

 

たとえば、心筋梗塞などの心臓血管系疾患のリスクを上昇させたり、子どもの認知障害を引き起こしたりすることが知られています。また、道路交通騒音が原因で耳鳴りがおこり、そこから睡眠障害、精神的不安、欲求不満、就業困難、コミュニケーション障害に発展するとされます。

 

音量としては、心臓血管系疾患では55から80デシベル(目覚まし時計の音から水洗トイレを流す音)、子どもの認知障害では95デシベル(カラオケの店内)が目安に考えられています。

日本の健康被害

松井利仁准教授の結果によれば、道路交通騒音による健康被害とそのほかの疾病などと比較すると、道路交通騒音による健康被害はガンの5パーセントに過ぎませんでしたが、交通事故と比べると50パーセントでした。

 

環境リスクと比較すると、有害化学物質による健康被害の4倍近くの影響があり、大気汚染に匹敵する健康被害があることがわかりました。また、道路の状況別にみると、幹線道路に近接している場合の健康被害はガンに匹敵し、ある程度大きな道路に近接している場合では脳血管疾患と同程度の健康被害がみられました。

 

計算上の結果ではありますが、100人にひとりが道路交通騒音に起因する心疾患で死亡していることになります。

 

窓を開けることで、外の騒音が届きやすくなる今年の夏。節電も大事ですが、うるさくて眠れないなと感じたら、窓を閉めてエアコンを使うことをオススメします。健康に気をつけながら、夏を乗り切りたいものです。