世の中には、ちょっとしたことでもイライラして、すぐに怒ってしまう人もいれば、内心では腹が立っているにもかかわらず、それをうまく表現できないという人もいます。うまく怒れない人というのは、周囲からすれば無害ですが、本人はストレスが溜まりっぱなしでしょう。そこで今回は、怒りを表現できない原因と上手に怒る方法について考えてみました。

 

 

 

 

 

 

1:怒れない上司、怒れない親が増えている?

アンガーマネジメントというものが注目されています。これは怒りを予防し、制御するためのプログラム。つまり、すぐにカッとなる人が、それを抑えられるようになるための方法を学ぶものです。それだけ、すぐにイライラして怒りを抑えられない人がいるということなのですが、その反対に、怒ることができないという人もいます。その割合はどれくらいなのでしょうか。

 

詳細な研究があるわけではないのですが、10年以上前から、幼児教育の分野では、「子どもたちが怒れなくなっている」ということが指摘されています。

 

その理由として、社会福祉学の第一人者のひとりである藤岡孝志は、『怒らない子・怒れない子にどうかかわるか』(児童心理)という研究の中で、「本来怒ってもよさそうな場面であっても、関係性が崩れる事を過剰に意識し、怒りを表出できない」と分析しています。

 

子どものころにうまく怒れなかった人が、大人になって急に上手に怒れるようになるかというと、それは難しいでしょう。そう考えると、怒れない上司、怒れない親が増えている可能性も十分に考えられますね。

2:怒れない人あるある!怒れない人の特徴・原因5つ

(1)心配性

怒れない理由が「関係性が崩れることを過剰に意識」することにあるというのは、すでにご紹介しました。つまり、自分が怒ってしまったことで、仲が悪くなったり、嫌われたり、自分に対して敵意をもたれたりしたらどうしようという過剰な心配が、怒れない原因になっているのです。

 

ある意味、相手の気持ちを考えすぎてしまっているともいえるでしょう。反対に、すぐ怒る人は、相手の気持ちなんて何も考えてないともいえます。

(2)自分に自信がない

自分に自信がないことも、怒れない原因です。実際はどうかは別として、自分が正しいと思っているからこそ、間違ったことをしている人に対してイライラして怒るわけです。ですが、自分が正しいという自信がないと、果たして今怒っていいのだろうか……と迷ってしまい、結局怒れないということになります。

(3)八方美人

八方美人というのは、ネガティブな意味合いで「誰に対しても如才なく振る舞う人」という意味です。要は誰に対してもいい顔をするということですよね。

 

たとえ、ちゃんとした理由があったとしても、怒られることは決して気分がいいものではありません。そして、怒った人に対しても嫌な気持ちを抱きます。八方美人な人は、自分が非難されたくないという気持ちが強く、誰にでもいい顔をしたいがために、怒れないというよりも怒らないのです。

(4)自分が損をしてもいいと思っている

例えば、相手が悪くて自分が損をしたら、あなたはどうしますか。やっぱり怒ると思うんです。ですが、中には「自分さえ我慢すれば誰も嫌な気持ちにならないで丸く収まる」というような考えをしてしまう人がいます。よくいえば、周囲のことを気にかける協調的な人でもあるのですが、結果的にはいつも損をするという人もであります。

(5)いつも怒られている

いつも怒られる立場にいる人も、怒るタイミングがわからなくて怒れないという状況になりやすいです。

 

もちろん、いつも怒られているストレスのはけ口として、自分より立場の低い誰かをむやみやたらに怒るという場合もあります。しかし、自分がいつも怒られてつらいから、他の人にそんな嫌な思いをさせたくないと考えて怒れないという人もいるのです。

3:怒れない人は損?上手に怒りを表現する方法5つ

(1)怒るのではなく、意見を主張すると考える

怒るというのは、怒るほうも怒られるほうもいい気がしません。というのも一般的には、怒るという行為は、感情にまかせて相手を非難することだからです。

 

そこで、怒ることを相手を非難するのではなく、自分の意見を主張することと考えましょう。そして、まずは自分の意見を主張することから始めてみます。すると、正しく怒れるようにもなれるでしょう。

(2)事前に道筋を考える

うまく怒れない人の中には、どうやって怒ったらいいかわからないという人も多いでしょう。一般的な起承転結とは違いますが、ちゃんと怒るにも道筋が必要です。何も考えずに怒ってしまうと、結局何が言いたいのか相手に伝わらず、ただ不愉快に気持ちしか残りません。

 

なぜ怒っているのか、相手に何を求めているのかがわかるように、怒る前には話の道筋を考えましょう。

(3)その場で怒る

事前に道筋を考えるとは言いましたが、怒るときはあと回しにしてはいけません。あと回しにすると相手からすると「何を今さら」ということになります。怒るときは、その場で怒るようにしましょう。

(4)怒る内容は相手個人ではなく行動

恋人とのケンカでも、次第に論点がずれて、「そもそも~」などと相手の性格や内面に怒りが向いていることってありませんか。気持ちはわからなくはないですが、ちゃんと怒るためには、相手の性格や内面に触れることはやめましょう。あくまで、怒るきっかけになった行動やその結果だけに限定しないと、人間関係が崩れてしまいます。

(5)相手のためを考える

自分がイヤな気持ちになったから怒るというのはもってのほかです。また、自分が損をしてもいいと思って怒らないというのは、一見相手のことを考えているようで、実は相手が失敗をしなくなるチャンスを奪っているということでもあります。

 

もし、そのときにちゃんと怒っていれば、その人は後々に大失敗をすることはなくなるかもしれません。怒ることは、相手のためでもあることを覚えておきましょう。

4:まとめ

すぐに怒るのも問題ですが、怒れないのも問題です。そう考えると、怒るというのは、純粋にネガティブなだけでなく、奥が深い感情なのです。

 

難しいですが、うまくコントロールしていくことができれば、より生きていきやすいのではないでしょうか。