いつのころからか、インターネット上などで「コミュ障」という言葉が聞かれるようになりました。「コミュ障」とは、「コミュニケーション障害」を短縮した言葉。ですが、そもそも「コミュニケーション障害」とは何なのでしょうか。もし、あなたや身近にいる人が「コミュニケーション障害」だったら、どうすればいいのでしょうか。

 

 

1:コミュ症とは?

インターネット上などでは「コミュニケーション障害」のことを省略して「コミュ障」と表現されることがあります。「コミュ症」と表記されることもありますが、これは「コミュ障」の誤字でしょう。ところで、「コミュニケーション障害」とはいったいなんでしょうか。

(1)自閉スペクトラム症とコミュニケーション障害

「自閉スペクトラム症」というのがあります。これは、これまで「自閉症」「アスペルガー症候群」「広汎性発達障害」などとよばれていたものを総称して、「自閉スペクトラム症」として呼ぶようになりました。

 

自閉スペクトラム症には、他者と視線が合いづらい、他者の表情や気持ちが理解しづらいといった症状がみられることがあり、一般的には社会的コミュニケーションの障害と位置づけています。つまり、コミュニケーション障害は、人によっては自閉スペクトラム症の可能性もあります。

 

ですが、かならずしも他人とコミュニケーションをとるのが苦手だからといって、自閉スペクトラム症とは限らないので、注意が必要です。

(2)コミュニケーション障害は大きな社会問題に

自閉スペクトラム症は、医学的には68人に1人の割合でいるとされており、単純計算でいえば日本にいる人の180万人以上が自閉スペクトラム症の可能性があるとされています。自閉スペクトラム症ではなく、他人とコミュニケーションをとるのが苦手という人もいるので、いわゆる「コミュニケーション障害」の人は、それほど珍しくはないのです。

 

そんなこともあり、最近では広島県立大学にコミュニケーション障害学科が設置されたりしています。

2:コミュ障の人の特徴5つ

それではコミュニケーション障害とされる人の特徴について考えていきましょう。

(1)空気が読めない

空気を読むことは、他者とのコミュニケーションをとるうえで、とても重要です。空気を読むとは言いますが、言い換えると相手の気持ちを察すること。それができないと、他者へ配慮することもできず、ときに「生意気だ」とか「周囲から浮いている」と思われます。

(2)社会的な規範が理解できない

社会的な規範とは、自分が生活している社会のルールです。法律のように文章化されてみんなに理解されているものもありますが、たいていは無意識のうちにルール化され共有されています。

 

例えば、夜遅くに大声で騒がないとか、先生や上司にタメ口で話しかけないなど。コミュニケーション障害の人は、そういうルールを察することが苦手なことが多く、人間関係にトラブルを生じさせることがあります。

(3)自分のルールを通す

自分が生活している社会のルールを察したり、理解できないばかりか、コミュニケーション障害の人は自分が決めたルールを押し通そうとします。そのため、他の人が仕事をしていてもマイペースに休憩を取ったり、社会的に非常識な行動をとったりしてしまうことがあります。

(4)よく言えば正直

空気が読めないことに通じますが、コミュニケーション障害の人は、「それを言ったらダメでしょう」というようなことを、他者に面と向かって言ってしまうことがあります。ある意味で正直者なのですが、空気や相手の気持ちを考えて、発言することが苦手なんです。

(5)人見知り

そして、そもそもですが、コミュニケーション障害の人は他者と関わることが苦手なので、人見知りであることが多いかもしれません。うまく話しかけられなかったり、相手の目を見て話すのが苦手だったりします。

3:コミュ障を治す方法

それでは、もしあなたや身近な人がコミュニケーション障害の可能性があったら、どうすればいいのでしょうか。

(1)空気を読むのではなく聞く

普通だったら、その場の空気とか相手の感情などは、察して理解します。ですが、コミュニケーション障害の人はそれが苦手です。苦手なことを無理してやろうとしてもうまくいきません。

 

だったら、空気を読もうとするのではなく、いったいどういう状況なのか、相手がどんな気持ちで、何を考えているのかを聞けばいいのです。それを積み重ねていけば、次第に空気が読めるようになり、他者の気持ちを察することができるようになります。

(2)自分を抑える

自分のルールや気持ちを優先したりするのを抑えましょう。言い換えるならば、自分を後回しにして、他者を優先すること。ですが、なかな簡単なことではありません。空気を読むのではなく聞くと合わせて、自分がどうしたいのかではなく、どうするべきかを優先するようにします。

(3)多くの人と仲良くしようとしない

不特定多数の人とコミュニケーションをして人間関係を維持することは、簡単なことではありません。無理をして、多くの人とコミュニケーションをとろうとするのではなく、まずは家族や身近な友人など、ごくごく少数の人間関係を充実させていき、徐々にコミュニケーションをする関係を広げていきましょう。

4:漫画『古見さんは、コミュ症です。』とは?

ところで、少年サンデーで連載されている漫画に『古見さんは、コミュ症です。』というのがあります。オダトモヒト氏による漫画作品ですが、コミュニケーション障害の女子高生と、そうではない男子高校生の交流を中心に描いたコメディ作品です。

気になる人は、ぜひチェックしてみてください。

 

 

5:まとめ

コミュニケーション障害とまではいかなくても、人とコミュニケーションをとるのが苦手という人は、それほどめずらしくありません。自分がコミュニケーション障害かもと思ったら、ぜひ専門家に相談してください。そして人とコミュニケーションをとるのが苦手という人は、少しずつ克服していきましょうね。