「自尊心」とは、自分の人格を大切にする気持ちであり、自分の思想や言動などに自信をもち、他からの干渉を排除する心情のことです。自尊心が高すぎると周囲の人との軋轢が起きそうですが、低すぎるのも問題でしょう。そこで今回は、自尊心とはいったいなんなのか、そして自尊心が低い人の特徴や自尊心を高める方法について、見ていきましょう。

 

 

1:自尊心とは?自己肯定感とはどう違うの?

(1)自尊心とは何?

自尊心(self-esteem)は、心理学でよくでてくる言葉です。研究者によって定義は変わるのですが、おおざっぱにいえば「自分自身による自己への肯定的評価」のことを意味します。

 

自尊心が高いといえば、「自分自身による自己への肯定的評価が高い」ことを意味し、自尊心が低いといえば、「自分自身による自己への肯定的評価が低い」ことを意味します。

 

通常、人というのは、自分自身を価値あるものとして肯定的にとらえたいと望みます。言い換えるなら、自分に自信を持って、今の自分に満足したいと願うわけです。それができている状態が、自尊心が高いということなんです。

(2)自分の自尊心を知ってみる

自尊心の研究として有名なのは、1965年にモリス・ローゼンバーグ(Morris Rosenberg)が著した『Society and the adolescent self-image』という本です。この本で自尊心が紹介されて以降、多くの研究者が自尊心について研究しました。ここでは、ローゼンバーグの心理テストを参考に作った下記のテストをご紹介します。やってみて、自分の自尊心をはかってみましょう。

 

  1. 私は、自分自身にだいたい満足している。
  2. 私は、自分の外見を気に入っている。
  3. 私は、ほかの大半の人と同じくらいに物事がこなせる。
  4. 私には、けっこう長所があると思う。
  5. 私は、人並みには賢いと思う。
  6. 少なくとも、私はほかの人と同じくらい価値のある人間だと思う。
  7. 自分の今の体型に満足している。
  8. 私は、自分の能力に自信がある。
  9. 私は、自分のことを前向きに考えている。
  10. 私は、人から頼りにされていると思う。

 

いかがでしょうか。あてはまる数が多いほど、自尊心が高い傾向にあるといえるでしょう。

(3)自己肯定感とはどう違うの?

ところで、自尊心とよく似た言葉に、「自己肯定感」があります。自己肯定感とは、子どもに対するカウンセリングから生まれた言葉だとされています。その意味は、自尊心と同様に、研究者によって多少異なるのですが、おおざっぱに説明すると「現在の自分を自分として認める感覚」とされています。つまり、良い悪いも含めて、自分を受け入れられるかどうかが自己肯定感なんです。

 

極端にいえば自尊感情が低くても、そんな自分を好きだったり、自分を大切にしていたりすれば、自己肯定感は高いということになります。ちょっとややこしいのですが、自尊心と自己固定感は似たような言葉としてとらえられているものの、その内容や意味は、実は異なるのです。

2:自尊心が高い人との違いは?自尊心の低い人の特徴3つ

(1)親子関係がぎくしゃくしている

多くの研究で言われていることですが、自尊心が低い人は、親子関係がうまくいっていないことが多いです。良いところを褒める親や子供の気持ちを理解しようとする親の存在が、自尊心を高めることに影響するのですが、親子関係がうまくいっていないと、自尊心を高めるチャンスを失ってしまいます。

(2)他人と自分をすぐ比べる

自尊心は、あくまで「自分自身による自己への肯定的評価」のこと。なので、他の人と自分を比べる必要はありません。ですが、他人と比べたほうが、自分がよりすぐれているかどうかを実感しやすいというのもまた事実です。

 

ですが、他人と比べた結果、自分が劣っていると感じさせられてしまう場合もあ。自尊心が低い人は、すぐに周囲と自分を比べてしまい、自分が周囲より劣っていると感じている傾向にあります。

(3)上昇志向が強い

今の自分に満足できず不満を抱いた結果、自尊心が低くなっているとしたら、それは上昇志向の強さが災いしているかもしれません。常に「自分はもっとできるはず」と考えている場合、今の自分に満足することは難しいでしょう。

3:自尊心の低い人が自尊心を高める習慣3つ

(1)ありのままの自分を受け入れる

これは、自尊心というよりも、自己肯定感のほうが近いかもしれませんが、何よりも大事なことは、ありのままの自分を受け入れるということです。仮に否定的な要素があっても、それも含めて受け入れることができれば、自尊心を低下させず、維持していくことができます。

(2)褒める癖をつける

次に、褒める癖をつけましょう。それは、自分で自分を褒めることもそうですし、他人を褒めることも含みます。褒める習慣を身につけることで、何が自分のいいところなのかを知ることができます。すると、自分では全然ダメだと思っていたけれど、良いところもあるんだと気づくことができるんです。

 

また、他人を褒めることも、自分を褒めることと同じ効果があるといわれます。お返しで褒めてくれるかもしれないので、一石二鳥です。

(3)自己肯定感の高い人と一緒にいる

自己肯定感が高いであろう友達と一緒にいるようにしましょう。そういう友達と一緒にいると、考え方が前向きになるうえに、自尊心を高めることができるような意識や考え方を身につけることができるようになります。

4:まとめ

自分に自信を持っていて、自尊心が高いという人はそんなに多くないはず。なので、自分に自尊心がないからといって、悩む必要はありません。悩むことが、より自尊心を低くしてしまいます。考えすぎず、悩まないようにすることも大切だと思います。