セックスすることを「抱く」とか「エッチする」なんて言いますが、意味に大差はなく、言わんとする行動はセックスのことです。

 

ですが、「抱く」というと、どこか愛があるような感じがしますよね。

 

男性が女性のことを「抱きたい」と思うのは、「エッチしたい」という気持ちと何か違うのでしょうか。

 

そこで今回は、男性が女性を抱きたいと思う心理に迫ります。

 

 

1:抱きたいと思うのは性欲?支配欲?それとも愛?

冒頭で、「抱く」と「エッチする」に大差はないと書きました。確かにどちらも「セックスをする」という意味です。このふたつの言葉にどういう違いがあるのかについて、言語学的に調べた研究は見あたらないので、実際のところわかりません。

 

国語辞書によれば、「抱く」は下記の通りです。

 

だ・く【抱く】

1㋐腕を回して、しっかりとかかえるように持つ。「子供を―・く」「肩を―・く」 ㋑卵をかえすために、鳥が卵の上にしゃがむ。「親鳥が卵を―・く」

2 男性が女性と共寝をする。同衾 (どうきん) する。「男に―・かれる」

3 人をまきぞえにする。人を罪に陥れる。

(出典:デジタル大辞泉/小学館)

この2の「男性が女性と共寝をする、同衾する」にあたる意味を指していますね。

ちなみに「同衾」とは、「ひとつの寝具の中に一緒に寝ること。特に男女が性的な関係を持つこと」とあり、ようはセックスをするという意味です。

また「エッチする」という言葉を辞書で調べてみると下記の通りでした。

エッチ

[名・形動](スル)《「変態」のローマ字書きhentaiの頭文字からという。「H」とも書く》

1 言動が性的にあらわで、いやらしいこと。また、そのさま。「ちょっとエッチな話」

2 俗に、性行為。性交。

(出典:デジタル大辞泉/小学館)

 

とあります。意味としてはセックスをすることなので、国語辞書的には、大差がないことがわかります。

 

ただし興味深いことに、「抱く」という言葉は能動的で、同時に「抱かれた」と受け身にすることができます。ですが「エッチする」は、「エッチされた」とは言いません。

 

一般的に考えれば、「抱く」のは男性であり、「抱かれる」のは女性というイメージがあります。

 

何が言いたいかといえば、「エッチする」という言葉は対等な関係のニュアンスがある一方で、「抱く」という言葉には、主従関係のニュアンスがあるのです。

 

その意味でいえば、行動そのものは同じでも、心理的には違うのかもしれません。冒頭で「抱く」とか「抱かれる」という言葉からは、愛があるように感じると書きましたが、実際のところは「抱いてやった」「抱かれてしまった」というような心理が隠れているかもしれませんよね。

 

そう考えると、「抱く」という行為は、愛があるセックスというよりも、男性が「性欲や支配欲から相手とセックスする」という方が近いかもしれません。もちろん、心理的な部分だけではなく、実際の主従関係のようなところも影響しているかもしれませんが。

 

2:男が好きな女性を抱きたいと思う心理とは?

 

人の行動には、必ず理由があります。一般的にはそれを、動機と呼んだり、欲求と呼んでいます。ひとまずここでは欲求という言葉を使いますが、欲求には大きくふたつあるとされています。

(1)生理的欲求

ひとつ目は、生理的欲求です。簡単に言うと、人が動物として命や種を維持して、生きるために必要な行動の原因となる欲求が当てはまります。水が飲みたい、食べ物を食べたい、寝たいなどが、これに当てはまるわけです。

 

水を飲むという行動も、水が飲みたいという欲求がなければ起こりません。水を飲みたいと思わなくて、長く水を飲まなかった結果、脱水症状になってしまい、命を落とすリスクにつながってしまいますね。なので、人には命を維持するために、水を飲みたいという欲求が起こるわけです。そして、それは食事や睡眠も同様です。

 

そして、生理的欲求には、セックスがしたいという欲求も存在します。セックスをして繁殖をしなければ、人という種が絶滅してしまうわけです。性欲それ自体は、種の維持という生理的欲求として位置づけられているんです。

 

その意味では、好きな相手であろうがなかろうが、誰かを抱きたい(=セックスがしたい)というのは、性欲という生理的欲求が根底にあると言わざるを得ません。

(2)社会的欲求

ちなみに、欲求にはもうひとつ社会的欲求というのがあります。人は生理的欲求だけで生きているわけではありません。人として、社会で生きていくうえで、さまざまな欲求(=願い)を持ちます。例えば、有名になりたい、きれいになりたい、友達に認められたい、愛されたいといった欲求です。

 

このような、直接的に生死に関わるものではないけれども、人が生きていくうえで生じる行動の原因が、社会的欲求なんです。

 

誰かを抱きたい(=セックスがしたい)というのが生理的欲求と言いましたが、実はそう簡単に割り切れるものではなく、誰かを愛したい、誰かに愛されたいという欲求は、社会的欲求です。そして、誰かを愛したい、誰かに愛されたいために、愛情表現としてセックスをするということもあるでしょう。

 

その意味では、誰かを抱きたい(=セックスがしたい)というのは、ときに社会的欲求を起因に起こる場合もあるのです。

 

3:女性が男性に抱かれたいと思う心理は男性とは違う感情?

 

女性が男性に抱かれたいという言葉は、セックスに主従関係があるようなニュアンスなので(男性が女性に抱かれたいとは、あまり言いませんよね)、個人的には好きではありません。また筆者は男なので女性が“抱かれたい”と思うことがあるのかどうかはわかりません。

 

ですが、仮にそういう感情が女性にわき起こるとして、それも突き詰めて言えば、セックスがしたいということですから、その抱かれたいと思う欲求は、男性も女性も同じです。

 

ただ、言葉として「抱く」「抱かれる」というニュアンスの違いだけの話です。

 

4:まとめ

抱きたいと思うのが単なる性欲かどうかという答えは、複雑です。確かに性欲が行動の原因ではあるけれども、じゃあ愛がないのかと聞かれれば、その時々によって違うという答えになるでしょうね。